浅草橋から都営浅草線で2駅。言わずと知れた浅草へのアクセスはほんの数分で気軽に訪れることができます。
御朱印本を多く手掛けている編集部のため、せっかくなので浅草橋周辺で頂ける御朱印めぐりも連載していきます。
まずは、改元時に多くの人が訪れた浅草神社へ!
制作中の本の取材も兼ねて、禰宜(ねぎ)さんからお話も聞いてきました。
浅草寺横にありながらあまり知られていない社
禰宜さん曰く、「浅草寺に訪れる90%の方は浅草神社の存在を知りません」とのことで、編集部も浅草橋という近隣にありながら、浅草寺には行ったことはあれど、隣に神社があることは知りませんでした(←あまりに勉強不足)。
しかし、皆さん「三社祭」という言葉は聞いたことがあるはずです。東京の初夏を彩るお祭りとして有名ですが、これこそが浅草神社の祭式なのです。
そう、「三社祭=浅草寺」ではないのです。
このあたりから勘違いをなさっている方が多そうですが、そもそも浅草寺が誕生したのも浅草神社あってこそだったのです。
浅草神社の由来
さかのぼること約1400年、推古天皇の時代、628年3月18日の早朝、漁師の檜前浜成&竹成の兄弟が、浅草浦(現在の隅田川)で漁をしていたところ、なぜだかその日は一匹の魚も獲れず、投網にはただ人形の尊像だけがかかるという始末でした。
価値あるものとは知らぬ2人は像を海に戻したところ、何度投げ入れても戻ってきてしまうので不思議に思い、今の駒形から上陸して木の切り株に安置しました。
その出来事を文化人であった土師真中知に語ったところ、「これぞ聖観世音菩薩の仏像にして現世御利益仏たり、自らも帰依の念深き仏体である」と告げられたというのです。
『浅草寺縁起』に見られる観音御示現に伴う浅草寺の起源であり、その御利益を求めて時の将軍や武家をはじめ庶民に至るまで多くの参詣者を得て、寒村であった郷土は興隆・発展の一途を辿ります。(浅草神社HPより)
そして、この観音御示現にかかわった、檜前浜成・竹成兄弟と土師真中知を三社様として祀ったのが浅草神社のはじまりということなのです。
その後、明治の神仏分離令で浅草寺と分離して三社明神社と改め、最終的に浅草郷の総鎮守として浅草神社に定められたそうです。
つまりは、浅草神社に祀られている三社様がいなければ、浅草寺もなかった! ということになり、浅草寺に詣でるのならば浅草神社も詣でておかなければということになるのです。
禰宜さんから認められた人だけが書き入れできる御朱印
改元後、三社祭の特別御朱印の頒布が中止された浅草神社ですが、季節に応じて特別な御朱印を頒布されることでも有名です。
こちらは通常頂ける御朱印で、「浅草」の文字が旧字体で書かれているのが特徴的。浅草神社の御朱印を数十年にわたって書き続けてきた禰宜さんによると、彼が認めた書き手のみがお書き入れすることができるそうです。
つまり、数人の書き手がいることから、そのときどきで異なる御朱印を頂くことができるのです。
ちなみに、このほかにも、恵比寿社と被官稲荷神社という末社の御朱印も頂けるのですが、お話を聞いた禰宜さんはこれら3種の御朱印をある手法で書き分けているそうです。
その秘密については、現在弊社編集部にて制作中の書籍にて明かしていきますので、発売したらお知らせいたします(笑)。
境内散策
【境内】
浅草寺に比べると規模は小さくなりますが、境内の至るところに様々な石碑があることでも知られています。向かって右手にあるのが社務所。
【夫婦狛犬】
いつからあるのかが不明の、全国的にも珍しい夫婦の狛犬。「良縁」「恋愛成就」「夫婦和合」の願いを込めて祀られています。
【霊獣】
社殿に刻まれている霊獣。このほかに鳳凰と麒麟がありますが、この飛龍という霊獣はあまり見かけたことがなく、浅草神社でも一番質問の多い霊獣だそうです。
水を司る霊獣で、体が魚で翼を持ち、胴が短くて尾びれがあります。
【おみくじ処】
多くの参拝者で賑わってもらいたいという想いから、様々なおみくじが設置されています。特別御朱印をはじめ、こういったアイデアは浅草神社に務めるすべての人たちの間で意見交換をしてつくられているのだとか。
【鯛みくじ】
三社様の二社が漁労をしていたこと、恵比寿様が左手に鯛を抱えていることから、鯛みくじで御神託を受けることができます。
鯛は昔から縁起の良い魚とされ、「めでたい」という言葉に通じることから慶事や祭事など、様々なシーンで使われてきました。
ぶらり歩いて見つけたこと
おみくじ処の横には絵馬コーナーも。面白い願い事を見つけてしまったので撮ってみました。「体調、くずしませんように」と編集部でも祈っておきます。
また、取材に訪れたとき、ちょうど神前結婚式を挙げられている新夫婦がいらっしゃいました。しかも、国際結婚!
このあと人力車に乗って境内をあとにしていましたが、なんとも素敵な結婚式の一幕に出会えました。
本当におめでとうございます!
取材後、仲見世通りの裏手にあったフルーツ串屋さんで山梨県産の苺串を頂きました。ミルクかけ放題でしたが、このままで十分な甘味!
疲れた体にしみわたりました。仲見世通りは魅力的なお店がたくさんあるので、今後もレポートしていきたいと思います。
歩き終えて。(編集後記)
三社祭に特別御朱印もいいけれど、何もない日に訪れてこそ、御朱印と真摯に向き合える気がしました。
境内をゆっくりとまわるもよし、訪れる参拝者を眺めてみるもよし、帰りに仲見世通りで一杯……なんてことができたら、もう幸福すぎて何もいらないのではと思えてしまいました。
境内で氷結飲んでるオッサンがたまらなくうらやましかった・・・!
- 浅草神社 〒111-0032 東京都台東区浅草2-3-1
- 浅草神社公式ページはこちら
撮影・文:伊勢新九朗