浅草橋に〝韓国好き〟必見のお店が誕生!リトル東大門なBag店「hime shop」とは?


浅草橋駅から徒歩6分のところにある、ガラス張りのおしゃれなお店。店内には色とりどりのバッグが飾ってあって、とっても面白そう!

……なのだけれども、いつ見に行っても閉まっている……?

お店のロゴにはどうして韓国語が……?

そんな思わず気になってしまうバッグ屋さんを訪ねてみました!

韓国から厳選して取り寄せたアイテムがずらりと並ぶ店内!

訪れたのは、韓国から輸入したバッグを販売する『hime Shop』。太陽光が差し込む明るい店内には、カラフルで可愛らしいバッグが所狭しと並べられています。

手提げのバッグだけでなく、小さなバッグやタグ、アクセサリーなどもとり扱っていて、一つ一つに手書きのかわいいポップが添えられています。

友達とお揃いにしたり、プレゼントしたくなる可愛い商品がたくさんあって、目移りしてしまいそう(※こちらのミニバッグは取材時にはたくさんあったのですが、実はもう残りあとわずかだとか)

椅子の上には、バッグの形をしたユニークなお手製座布団が!

カバン屋さんにオーダーしてカバーの中にクッションを入れて作ったそうです。

ふかふかで座り心地も抜群でした。全6色展開で、思わず1個欲しくなってしまいましたが、こちらは残念ながら非売品。

『韓国語で生きていく!』と決めて始めたカバンの販売業

お話を聞いたのは、店主のhimeさんとパク・スヒョン(박수현)さん。実は、himeさんは韓国好きの人の中では知らない人がいないくらい超有名なインフルエンサーなんです。

元々、韓国好きだったというわけでも、韓国語を学んでいたわけでもないというhimeさん。空いた時間にドラマを見ていたら、韓国ドラマ・映画にハマってしまったそう。

そこから、「しっかりと韓国語を学んでみたい!」と思い、日本の韓国語教室へ。新大久保にも通って、日本人と韓国人の交流勉強会にも参加するなど、意欲的に勉強したそう。

ちなみに、パク・スヒョンさんとは交流勉強会で出会ったんだとか!

1年半ほど勉強して、「もっと上手くなりたい!」と思い、いざ、韓国へ留学。朝から晩までみっちりと勉強して、韓国語を習得しました。

数年後、パク・スヒョンさんと共に日本に帰国したhimeさんは、留学の経験を活かして旅行代理店の仕事に就きますが、リストラされてしまったそう。

「元々仕事をしていたプログラマーの仕事をまたしたいとは思っていなかったんですよ。『私は韓国語で第2の人生を生きるんだ!』って思っていて。ただ、その時点では何の実績もない『留学して帰ってきた人』だったので。『じゃあどうしようかな』と思って、ひとまず韓国の情報を発信するブログを始めてみたんです。」(himeさん)

himeさんのアメブロ

留学を決めた時から、「絶対帰ってきたら韓国語を活かせる仕事に就きたい」と思っていたhimeさん。まずは、ブログを始めるところから始めてみたそう。韓国語の勉強方法や韓国で買ってきたものを紹介していたら、次第に読者から「私も欲しい!」という反応が返ってくるようになったそう。

「元々、売るつもりは全然無くって。私は基本的に、『コレ、あそこで買ったのよ~』というのを見せるインフルエンサーだったんです。『みんな行きたい人はそこに行ってみてね!』みたいな。みんなが「欲しい」っていうのなら、ちょっとずつ販売してみようかなって。試しながら少しずつ始めたんです。」(himeさん)

「ブログには値段も載せていたので、価格設定の調整も大変でした。」(パク・スヒョンさん)

韓国旅行でお客として通っているうちに交流を持った韓国・東大門(トンデムン)のバッグの卸店の社長さんにも、「5個でも10個でもいいからやってみたら?」と背中を押してもらえたそう。

そこから、拠点をブログからInstagramに移し、自宅で発送を行なうバッグの受注式の輸入販売を始めました。

最初こそ、韓国の卸店のバッグのみを販売していましたが、今では革の質をあげたり改良を加えたり、オリジナルの生地やデザインを使った「hime shop限定バッグ」が増えています。

部屋がバッグだらけになってしまって作ったショールーム

お客さんとメールでやり取りをするところから始まったバッグの販売業。届いたメールを集計して、まとめて韓国の工場へ発注していました。

「やっぱりきちんと検品しないといけないので、全部、とりあえずは家に来ないといけないんですよ。」(パク・スヒョンさん)

「韓国の工場から、直接お客様にお送りしたことはありません。どうしても日本人の目でしっかり見ないと良い品を届けられないので。工場の人もよく指摘したところを忘れちゃうから(笑)」(himeさん)

「誰かに手伝って欲しいな」と思いつつも、2人だけの基準があるので、検品作業は絶対に他の人に任せたりしていないそう。

「お客様はみんな、バッグを1カ月以上待っているので。やっと届いたという時に、例えばポケットが縫い付けられていたりしたら嫌じゃないですか。やっぱり、箱を開けたときの「わぁ!」って気持ちを、そのままにしておいてあげたいというのがあって。だから検品は大事にしているんです。」(himeさん)

検品では、縫製の確認だけでなく革の模様などもしっかりと確認しているそう。天然の革を使っているので、どうしても1個1個のバッグに差が出てきてしまうため、予備を多めに発注し、良いものを厳選してお届けしているんです。

そこで問題になったのが、あまってしまった予備在庫。

「お客様から100個注文が来たとしたら、105個注文するんですね。そうすると5個余るんですよ。それが、バッグ1種に対して20カラーあるから、1回で100個の予備在庫ができてしまう。それを4年間ちょくちょくやっていくと、かなりの数が溜まってしまって…。」(パク・スヒョンさん)

元々、10畳の部屋に住んでいたというお二人。そこに大量のダンボールが積み重なってしまったから大変なことになってしまったそう。

「もう限界が来ていて。夫(パク・スヒョンさん)のストレスが溜まってしまって。ダンボールを見ると、「早く終わらせなきゃいけない!」って思っちゃうみたいで。トイレ行くのにも壁伝いで歩かないといけないくらいになってしまったので、『検品する場所が必要だな』って。」(himeさん)

自宅を引っ越すかなどの候補もあったそうですが、「そのお金を出すなら、お店というかショールームをやってほうが意味あるのでは? 実物がみたいという人もいたし。」ということで、お店を開くことにしたそう。

「家に置いておいたら、この人(パク・スヒョンさん)すぐ捨てるとかいうんですよ!(笑) ちゃんと売れば欲しい人はいっぱいいるのに。」(himeさん)

「4個~5個だけをネットで売るのは手間がかかるんです。それに、ここにあるのは、ちょっと調子が悪いものもあるから、手に取ってもらって納得して買ってもらわないと不安だなって思っていて。」(パク・スヒョンさん)

「Instagramだけ見ていて、『本物を見てみないと買えない』という方も結構いらっしゃって。ここで実物を見て、納得して『注文します』と言っていただく方も多いですし、在庫があったらパッと買っていっちゃう方もいます。」(himeさん)

ちなみに、営業日はhimeさんのInstagramで確認することができます。最新のバッグ情報もアップしているので、来店の際はチェックしてから行くことをオススメします!

上記は2022年7月の営業日。たまに開いている平日には、浅草橋の方がふらっとやってくるそう。

ここで疑問になってくるのは、「どうして新大久保ではなく浅草橋にお店を出したのか」。日本で韓国といえば、多くの人が思い浮かべるのは新大久保。浅草橋にも韓国料理のお店はありますが、あまり韓国のイメージはありません。

「実は、このキーホルダーやバッグで使っているチェーンは浅草橋の『貴和製作所』さんのところで制作しているんです。韓国製や中国製で安く作ろうとすると、どうしても壊れやすかったり、安っぽい見た目になってしまったり、触り心地が良くなかったりして。そういうのは嫌だったので、貴和製作所さんとコラボできないかなぁと思っていたんです。」(himeさん)

なんと、まだお店を出すと決まる前に、浅草橋の名店である「貴和製作所」さんとコラボ商品をだしていたんです!

「チェーンは金・銀・黒の3色があって、貴和製作所さんのほうに黒がなくなっちゃったんです。だから、黒のチェーンに関してはhime Shopでしか販売していないんです。無くなったら頼めばいいけれど、貴和製作所さんのお店では黒のチェーンは置いてないです。(※注:ロットで注文すれば制作は可能)」(himeさん)

この星のキーホルダーは、革は韓国から取り寄せて、貴和製作所さんと一緒に作っているそう。ここで貴和製作所さんのお名前を聞くなんて思っても見なかったのでびっくりです!

「問屋街がすごく好きなので、馬喰町とかにいくとすごくワクワクするんです。馬喰町の何倍もすごいのが東大門(トンデムン)だと思っていて。浅草橋は元々、縁があった街ではないんですけれども、来てみたら自分が好きなものが山のようにあって。『居心地いいんだけど!』みたいな感じです(笑) 自宅も浅草橋のほうへ引っ越してきたんですよ。辿り着いたって感じです。」(himeさん)

himeさんのバッグの中には、『浅草橋FANBOOK』が! これはとっても嬉しい!!

himeさん曰く、浅草橋には商人特有のゆるっとした雰囲気があるのだとか。

「近くにある『葉もれ日さん』も、「受験生がいるから休みます」って言って、お店閉めていらっしゃいましたよね。営業日も時間も自由な所がいいなって思っていて。新大久保だと、「毎日開けてナンボ」みたいな感じがするじゃないですか。この雰囲気が合っていたんだと思います。」(himeさん)

これからも“好き”を突き詰めていく

自分が「あ、いいな」と思ったことと、好きなことを突き詰めていった結果、「hime Shop」というお店を出店するまで大きくなったhimeさんのご活動。himeさんはバッグ屋・インフルエンサーとしてだけではなく、作家としても活躍しています。

『浅草橋を歩く。』編集部も本とバッグを購入させていただきました。

本にはサインもいただいて、思わずホクホクしちゃいました!

サインがカワイイ!

ちなみに、「古書みつけ 浅草橋」では、himeさんの本も展示中。是非、“みつけ”に来てくださいね!

今後は、こういった作家の活動も続けつつ、バッグの販売の幅を広げていきたいと考えているのだとか。

「オンラインショップをやってほしいという要望もいただき、オンラインショップもスタートさせました!」(himeさん)

せっかくお店というスペースができたのだから、他にもやりたいことがあるそう。

「ちょっと広めのテーブルと座布団まで作ったので、韓国語講座みたいなセミナーやワークショップもやりたいと思っています。もうちょっと情勢が落ち着いたら、人を集めてやりたいですね。他にも、『浅草橋散歩』っていうのもやってみたいです。元々、新大久保を紹介するツアー『新大久保散歩』っていうのをやっていたので、その浅草橋版って感じで。」(himeさん)

今でもhimeさんは、お店に訪れたお客さんに、「友安製作所カフェさん行ってね!」「蔵前神社行ってから、ダンデライオンさんに絶対行ってください」と観光案内をしているのだとか。『hime Shop』を中心に、新しい浅草橋の楽しみ方が生まれそうです! 『浅草橋散歩』を行なう際はぜひ、『浅草橋を歩く。』も一緒にやらせてください!

読者やフォロワーさんの「やってほしい!」という願いを叶えてきて、それが仕事になったhimeさんと、himeさんの夢を全力でサポートするパク・スヒョンさんが、浅草橋でどんな旋風を巻き起こしてくれるのか。編集部としても今から楽しみです。

2022年10月時点での最新作はこちら!

その都度、主力の商品が変わるhime shop。2022年10月現在の新作は、ちょっとしたお出かけの際のアクセントにもなる横型のミニバッグ。かわいい! カラーバリエーションも豊富なので、迷ってしまいます。

ちなみに、こちらのバッグにつけられているファスナーのタブとショルダーベルトのチェーンは、地元・浅草橋が誇るアクセサリー材料ショップ「貴和製作所」のもの。

全国的にも有名な「貴和製作所」さんは、実は浅草橋に本店があるんです。

 そして、ファスナーについているオリジナルのチャームも、貴和製作所さんにつくってもらったものだそうです。

まさに地産地消なコラボに編集部もワクワクしてきました。

これはいよいよ、浅草橋を歩く。でも、「貴和製作所」さんの取材が可能となる日が近いのか……!?

himeさん、おつなぎ宜しくお願い致しまーす!

【hime Shop】
〒 111-0053
東京都台東区浅草橋3-5-8
営業日はInstagramでチェック!

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取材・文/増田 朱音
撮影/伊勢 新九朗