呑兵衛にとって「馴染みの店」というのは、「ありのままの自分」で酔える誰にも教えたくない秘密基地的な存在・・・と、いい意味で出し惜しみする方もいるのではないでしょうか。
今回お邪魔した「炭火焼鶏 ことり」は、そんな常連さんが夜な夜な集う鶏屋さん。
実際、以前取材外で来店した際、「本当にココは教えたくない! でも、好きな店だからついポロリと話をしてしまう(笑)」と、お店への愛を語るナイスミドルと並んだこともありました(笑)
「浅草橋を歩く。」初参加の私、トミタがそんなエピソードを引っ提げ、編集長を引っ張り出して実録レポを敢行!
左党の心もググッと掴む日本酒も捨て難いですが、まずは、浅草橋界隈では珍しい生ビール『マスターズドリーム』で乾杯です♪
浅草橋の裏路地にある秘密基地
新旧さまざまな飲食店が並ぶ浅草橋駅周辺。そんな中、個性的なお店が集まる路地裏のビル2階にことりはあります。
浅草橋東口から徒歩1分という場所にも「裏路地」があるのも浅草橋のいいところ。
ささっつ!扉を開け、階段を上がれば……そこは呑兵衛さんたちの拠り所。
週末とあって、店内はほぼ満席だったので、残念ながら店内写真は撮れず。
ま、正確に言うと、後半に撮る機会がありましたが、気がつけば二人ともほろ酔い気分で完全にスルーしてしまいました(笑)
でも、4年目とは思えないほど、綺麗で清潔感のある店内。トイレも広めで、掃除の手が行き届いているのも高ポイントかと(←のっけから上から目線かーい!)。
呑兵衛コンビが推す串と肴
気の利いたお通しと一品料理
まずはお通し。
私、「お通しはお店の予告編」が持論であり、外食の際はココでテンションが大きく変わります。
ひと目でわかる丁寧な盛り付け、味も優しく、もっと食べたくなる絶妙なボリューム!
はい、言うまでもなくテンションマックスです(笑)
一品目は、ささみ刺し。
パサパサ感はゼロ!むしろ、もも肉か?と思うくらいの柔らかさ。これだけでビール2杯はイケます。
続いて、この時期が旬である谷中生姜。
一般的な生姜とは違い、辛味が少ないのが特徴。程よい酸味が酔いどれモードにそっとブレーキをかけてくれる名脇役。
編集長にとってマストな一品。コチラがメニュー内にあると必ず頼むのだとか。
焼鳥は三種の薬味でオレジナルの楽しみ方を。
ココで真打・焼鳥を待つ間、テーブルに常備してある薬味を見てイメージトレーニングを。
こちらの薬味、京都から取り寄せた一般販売されていない代物。焼鳥はまず、そのまま食べてから、自分好みのパンチと風味を加えて楽しむのがことりスタイル。
個人的に驚いたのがレバー。千葉県銘柄鶏『水郷赤鶏』を使い、フワッとした食感のあとに、炭火の香ばしさが広がります。
一般的なレバーとは違い、赤身に違い独特の旨味があるので、非常にアトを引きますね!
私的には、ゆず一味が最強の相棒かと。
串は全て程よいサイズになっているので、女性でも食べやすいと思います!
『はつもと』とはハツ(心臓)とレバーにつながる部位であり、脂のジューシーな味わいが楽しめるのが特徴。今回注文した焼鳥の中で最も柔らかく、旨味が強いのでお酒がススム!
王道から希少部位まで揃っていますので、大半の方は相当悩む。が、そんな時には味のバランス&コスパが良い「おまかせ串盛(1,450円〜)」が吉。
薬味のチョイスも、スタッフさんから提案してくれるので、遠慮なく聞いてみましょう!
ハイコスパのボトルワインもあり
ビールもほどほどに、時間と共にワインへシフト。
スーリア・ロッソ(イタリア・ミディアムボディ)
フルボトルなのに、お値段たったの3,000円!なハイコスパワイン。せっかくなので、ワイン目線のお料理を。
ワインと言えばコレでしょ!濃厚で、甘みの強いパテ…その相性は言うまでもなく、最高です。
クリームチーズの味噌漬け
個人的には今宵のMVP!実に「ワイン泥棒」な一品で、ひと口食べればお口が欲します、赤ワインをね(笑)
コッテリ系が続いたので、箸休め的な料理も数品チョイス。
ポテトサラダ
問答無用な酒の肴。ジャガイモを完全に潰すタイプとは違い、芋とキューリの歯ごたえを残したヤンチャ系ポテサラ。
水なすのお刺身
こちらも夏の旬食材。野菜の味がダイレクトに伝わるので、塩だけでシンプルに頂くのがベスト。
ひとしきりワインを楽しみ、気がつけば終電まであと少し…。
が、しかし、ココで終われないのが腹ペコ編集長。
コチラをただの卵かけごはんと思ったら痛い目みます、良い意味で。
出汁トロロを忍ばせた卵かけごはんに、燻製醤油をかけた一品ですが、その味わいは本当に絶品。
優しい口当たりですが、しっかりとした食べ応え。編集長もお気に召したらしく、ほぼ一気に完食です。
店主が浅草橋を選んだ理由
お腹も満たされ、最後に店主・小笹さんからお話しを伺う時間を頂きました。
店主は北海道の出身で、単身東京へ移ってからは名店を渡り歩き、料理と接客を学んで4年前に独立。
「昔から店を構えられている先人の皆様を始め、若い世代も次々と集まり、新しい東京の魅力を感じて、浅草橋に店を構えました。そんな街を皆で盛り上げ、楽しい街にしていきたいですね!」
そんな想いを、優しい表情で話してくれました。
「料理人の人柄が料理にあらわれる」と言う評論家もいましたが、まさに、本当にソレ。料理は全て優しく、奥深く、店主の想いがダイレクトに伝わる代物ばかり。
小笹さんの人柄と、それが見事に反映された料理の数々に惹かれ、連日カウンターが賑わっているのも納得ですね。
各地の銘酒が定期的に入荷されるので、別の機会に日本酒と一品料理でしっぽりレポートってのも悪くないかも。取材を終え、しみじみと感じました。
「本当にこの店、教えたくないけど、知ってほしい……カモ」
通いやすい手頃な価格設定、お酒との相性を考慮した巧みな料理たち、スタッフのキャラ、ゆっくりと呑める空間作りetc…
みんなに知ってほしいけど、もっと流行ったら入ることができなくなっちゃう・・・?
冒頭でも書いた、常連さんのナイスミドルが話していた事が腹落ちしましたね。
小笹さんとスタッフさん、面白いお話しと美味しいお料理、本当にご馳走さまでした!
店舗情報
「炭火焼鶏 ことり」 営業時間:17:30~23:30 ※土曜は17:00~ 定休日:日曜 お問い合わせ:050-5303-8237
文・写真:トミタ キョーヘイ
写真サポート:伊勢 新九朗