常連間違いなし!絶品和食とレア銘柄の日本酒が楽しめる隠れ家「〼kuramae」に行ってきた。

はじめに
僕は浅草橋・蔵前エリアに越してきてまだ1年ちょっとのペーペーだ。

いくつかお気に入りのお店を見つけてはいるものの、いまだペーペーであることは間違いない(つまりまだまだこの街を知らない)。そんな僕をペーペーから一気に”エリアマネージャー”まで格上げしてくれるような(つまりこの街を知った気になれるような)「知る人ぞ知る」最高のお店に出会ってしまった。

あなたもここだけ押さえておけば、「お!ディープな浅草橋を知ってるねー!」と一気に「課長」クラスにはなれる。

個人的な話だが、自宅から近すぎちゃって、ほんと「どうしてくれよう!」という気分である(もちろんいい意味で)。本当はあまり教えたくないのだけれど、今回は特別に極秘レポをお届けする。

その名は「〼kuramae(ますくらまえ)」

さっそくだが、まずお店の名前をご紹介しよう。

「〼kuramae」。

これで「ますくらまえ」と読む。うん、粋だ。

日本食のお店なのだが、料亭のような格式ばったお堅い雰囲気ではもちろんなく、気さくでオシャレな空間。そして、店名を聞いて勘の鋭い方はお気づきだろうが、「〼=ます」といえば、そう「日本酒」である。

「〼kuramae」は、浅草橋駅から徒歩7分ほどの住宅街の一角に”しれっ”とある「和食と日本酒」のお店だ。

住宅街にあるマンションの1Fに”しれっ”とある。

実は前から気になってはいた。僕はランニングが趣味なのでこの界隈もよく走っているのだが、この”しれっ”とした佇まいの”何やら良さげな店”がずっと気になっていたのだ。「静かな住宅街に”しれっ”とある店」ときたら、それはもう「隠れ家」として個人的に認定されるのだが、「隠れ家」は総じてオシャレで料理も美味いというのが相場。

おそらく、この界隈に住んでいる人は、皆、僕同様に思っているはずだ。

「何か気になる……」

そんなずっと気になっていたお店に、いよいよ突入してきた。楽しみすぎるぜ。

オープンキッチンでジャズが流れる気負わない和食居酒屋

店内は、オープンキッチンをコの字型のカウンター席が囲んでいるだけのコンパクトなレイアウト。BGMにはジャズが流れ、落ち着いた雰囲気。でもBARのような緊張感はなく、気負わずに居られる空間だ。

店内はオープンキッチンを囲む形でカウンター席が12席。

基本、調理は店主が行ない、サポートを奥様(美人です)が担当されるのだが、このお二人のキャラクターが実に絶妙なハーモニーを醸し出していて、お客は自然と笑顔で和やかな雰囲気になる。

実直な店主と、天然……いや、独特なワールドとリズムをお持ちな奥様。決してグイグイはこないが、打ち解けるほどにこの店の魅力(=店主ご夫婦の魅力)に憑りつかれていきそうだ。

常連さんがいるのもうなずける。

相性抜群の気さくなご夫婦で切り盛りしている。

「〼kuramae」の素敵ポイント

まずは、料理写真の前に、「〼kuramae」の「素敵!」と感じたポイントを3つ挙げてみたい。

①どの料理も美味い、とにかく美味い(今回10品注文、ハズレなし)
②レアな日本酒が豊富(日本酒詳しくなくても選ぶのが楽しい)
③美味いのにお値段良心的(あれだけ飲み食いしてあの値段)

とりあえず、飲食店評価の王道の切り口「料理」と「値段」から3つ挙げてみた。

……のだが。

3つじゃまったく伝えきれないのであと3つ追加する!笑

④店主夫婦のキャラクターが素敵(お二人の絶妙なバランス)
⑤一人でも気軽に立ち寄れそう(程よい距離間と気さくな雰囲気)
⑥陶器の中には店主お手製のものが混在(これは後ほど詳しく)

本当はまだまだ挙げられるけど、「美味くて安くて居心地良し」となったらもう行くしかないでしょ。

ちなみにこの日は、先客が2組。

1組は隣街の両国から毎週通っているという常連さんご夫婦、もう1組はシニア3人組(このグループのお一人がなんと店主のお母様だった!)。しばらくすると、男性が1名でご来店。この方は、なんと店主がニューヨークにいたころの料理人仲間!(現在もニューヨークで鮨店を営む料理人)。

店舗取材(僕)、常連さん、親御さん仲間、料理人仲間、と不思議なメンバーが集まったこの夜。はじめこそ、各々に食事を楽しんでいたのだが、店主ご夫婦を媒介として、徐々に会話がクロスしていく……。

この「人と空間の居心地の良さ」は、間違いなくこの店の醍醐味だと感じた。

今回食した絶品料理(全10品)

さて、そろそろあなたの「視覚」に訴えかけていきたい。今回、食した絶品料理の数々をお披露目しようじゃないか。是非、「食い入るように」見ていただき、まずは食べた気になってください。(実際に食べたくなったらお店へGO)。

1品目:お通しの「生タコ醤油」

1品目:お通しの「生タコポン酢」

2品目:菜の花のお浸し

2品目:菜の花のお浸し

3品目:ふきのとう味噌。これだけで2時間はちびちびいける。

3品目:ふきのとう味噌。これだけで2時間はちびちびいける。

4品目:とりあえず5点盛り1800円(※3点盛りは1200円)

4品目:お刺身7点盛り1980円

内容は店主お任せ。今回は「イトヨリダイ・しょっこ(かんぱちの子供)・ほたて・キンメダイ・シメサバ・イサキ・ホタルイカの7種類。

5品目:佐賀県有田より直送‼︎ 絶品"ありたどり"。

5品目:佐賀県有田より直送‼︎ 絶品”ありたどり”。

店主オススメ。

塩で味は付いているが、ごま油とわさびをつけての「味変」も楽しんでほしい。

とにかくめちゃくちゃうまい。

ありたどりは焼く前にお酒を霧吹で吹きかけ、さらに、塩をモコズキッチンばりに高い場所から振りかける。

6品目:定番のポテサラ

6品目:定番のポテサラ

7品目:芽キャベツベーコン炒め

7品目:芽キャベツベーコン炒め

8品目:だし巻き玉子

8品目:だし巻き玉子

見ればわかる、このフワフワ感。卵の隣に添えられた大根おろしは、”粗目”なのがポイント高し。フワフワとシャキシャキの食感が楽しい

 9品目:クロハモと新玉葱かき揚げ。

9品目:クロハモと新玉葱かき揚げ。

これがまたうまいんだ。そして、ボリューム満点。

10品目:〆のお食事 炊き込み土鍋ご飯(海鮮) 味噌汁、新香付き

10品目:〆のお食事 炊き込み土鍋ご飯(海鮮) 味噌汁、新香付き

なかなか食べた。でも、まだまだいけた。だって、本当に美味すぎるのだ。

どれもこれも美味すぎて、優劣がつけられないのだけど、あえていうなら店主オススメの「ありたどりのレバー」は絶品だった。絶品の上をいく表現があれば教えてほしい(超絶品とか?笑)。

間違いなく、今まで食べた鳥レバーのなかで断トツ。これは行ったら絶対食べたほうがいい。食べなきゃダメ。

今回呑んだレア日本酒(3種類)

こちらも一応紹介しておく。僕は日本酒に詳しいわけではないのでフィーリングとネーミングで選んだのだが、どれも「危険な」日本酒だった(※呑みやすくて危険の意)。

1杯目:「shirakiku black label」 純吟 無濾過生原酒「コシヒカリ」(京都)

1杯目:「shirakiku black label」 純吟 無濾過生原酒「コシヒカリ」(京都)

「コシヒカリで造る最高の日本酒を追求」と書いてある。「最高」を目指すその姿勢が素晴らしい。味ももちろん素晴らしかった。

3杯目:「五人娘」 自然酒 無濾過生琥珀色(千葉県産)

3杯目:「五人娘」 自然酒 無濾過生琥珀色(千葉県産)

※2杯目は写真を撮り忘れてしまったのだが笑、銘柄は佐賀県産の「天吹(あまぶき)」恋する春 純米大吟醸「非公開」を愉しんだ。

「恋する春」に「五人娘」に、なんだか嗜好性を疑われそうだが、これはたまたまである。

随所に感じる「プロのこだわり」

絶品料理に舌を打ちながら、店主夫婦ともたくさんお話させていただいたのでその辺りもお伝えしておきたい。

店主はこれまで日本食のお店でキャリアを積んだあと、2016年11月に「〼kuramae」をオープン。物件内見の日にすぐ傍の鳥越神社で祭りが行なわれており、下町育ちの奥様の”祭り好き”も相まってこの場所に決めたそうだ。ちなみに、店主はニューヨークでも5年のキャリアを持つグローバル人財!

編集部による、鳥越神社レポートはコチラから↓

「千貫神輿」渡御のロックさでも有名!鳥越祭の鳥越神社で例大祭御朱印を頂いてきた。

素人がいうのもなんだか申し訳ないのだが、日本食一筋なだけあって随所に、「プロのこだわり」を感じた。(勝手に、日本食料理人のこだわりは一級品である、と思っている)

まず、食材へのこだわり。海鮮は基本函館直送(この日は足立市場からの仕入れ。これはこれでどれも新鮮で美味。)、野菜は季節モノをふんだんに。さらに、魚を捌く、器に盛り付ける、といった一連の所作からは、これまた「日本食のプロ」としての細やかさも感じた。(オープンキッチンスタイルなのも楽しいポイントです)

刺身を捌く手つきは職人そのもの。

次にお酒へのこだわり。ここは日本酒が売りだが、いわゆる定番銘柄は置いていない。あるのはレア銘柄ばかり常時15~30種類が並んでいる。

日本酒好きにとってはたまらないだろう。

全銘柄グラス1杯(100㎖)550円で少しずつ”味見”が楽しめる。ちなみに銘柄のストックが半分ぐらいになると”新たな銘柄”を仕入れるそうなので、行く度に新しい出会いが待っているかもしれない。

棚に並べられた”レア日本酒”の数々。

棚に並べられた”レア日本酒”の数々。

升にお猪口に徳利。良き。

升にお猪口に徳利。良き。

〼kuramaeオリジナルデザインのお猪口。

〼kuramaeオリジナルデザインのお猪口。

最後にこれだけはお伝えしておきたい(素敵ポイント⑥の話)

素敵ポイント⑥に、「陶器の中には店主お手製のものが混在」と書いた。ここについて是非触れておきたい。

実は店主は料理人でありながら、趣味で「陶芸」をされているのだ! なんとご自宅近所の陶芸教室があり、”ろくろ”を回している。なんと多彩な……。

自分で作った陶器をお店でも実際に使用しているのだが、自作したものには陶器の裏に、「慎」(←お名前の一字)、もしくは「〼」の型が押されている。

しかも、陶芸を始めた初期の頃のものは「慎」、最近のものには「〼」と創作時期によって型が異なる。なんだこの宝探し要素は。「慎」を探したくなるじゃないか。

型が「〼」のもの。

型が「〼」のもの。

型が「慎」のもの。こっちのほうが初期。

型が「慎」のもの。こっちのほうが初期。

料理が出てきてすぐに器の裏を確認するのはせっかく綺麗に盛られた料理を崩しかねないので、確かめるのは料理を完食したあとが望ましい。

美味しい料理を楽しませたあとに宝探しまでさせるなんて、なんて粋な計らいなんだ(狙ってないかもしれないけど)。そんな「店主手作りの陶器」を見つけるのもこの店で過ごす時間の楽しみである。

「〼kuramae」、是非ふらっと一杯行ってみてください。

あ、行くときは誘ってくださいね、近所なので(笑)

店舗情報

文:山猿(『山猿日誌』)
写真:伊勢 新九朗

店  名:〼kuramae(マスクラマエ)
住  所:東京都台東区三筋1-4-1 ライオンズプラザ蔵前 103
予約可否:可
電話番号:03-5809-1494
営業時間:火~土 17:00~22:30(L.O.)
日・祝 17:00〜21:30(L.O.)
定休日 :月曜日
支払方法:カード可(VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners)
座  席:12席
個  室:なし
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※店舗情報は、3月2日現在の情報になります。