1981年の設立以来、アパレル商品をはじめ、バッグやキッチン用品、ステーショナリー、雑貨など多岐にわたるノベルティや販促グッズを製作している浅草橋の『ユニファースト』。
2019年に二代目の橋本敦さんが代表取締役社長に就任し、エンドユーザーが喜ぶユニークかつ迅速なサービスで、年間300社以上の企業と取引するものづくり集団が新しいフェーズに入った。
その「つくりたいを形にする」スピリットが生み出す、エポックメイキングなオリジナル商品の魅力と地域貢献への思いとは——。
[前編]「“つくりたい”を形にする」 [ユニファースト]代表取締役社長・橋本敦さんインタビュー付加価値を高め、顧客を満足させ続けたい
販促グッズ、ノベルティの製作は、既製品に名前やロゴを入れるだけと思われがちだが、ユニファーストの強みは生産力の高さだけでなく、オリジナル製品を生み出す企画力、デザイン力にある。
SNSで話題となった大手旅行代理店H.I.Sのオリジナルトラベルバックや、世界60カ国以上で喜ばれた周年事業記念バッグなど、経験豊かなエキスパート集団が顧客と共に一から創り出したオリジナル製品は、例をあげれば枚挙にいとまがない。
昨年、代表取締役社長に就任した橋本さんは、その強みをより進化させるため、企画開発部門を新設した。
打ち出した新たな経営理念は、「“つくりたい”を形にする会社」。
その精神で、高い付加価値を提供し続けることが何より大事だと話す。
「企画、デザインともに言われたことだけをやるのではなく、時流やニーズを読み、お客様が求めているレベルからさらに上をいくもの。思いもよらなかったアイデアにリーチできるものを提案し、付加価値を高める。それで顧客を満足させ続けます。」
その思いを具現化したのが、昨年開発した自社プライベートブランド商品だ。
ありそうでなかった何度も使えるビブス
スポーツ観戦やイベントでチーム名がプリントされたビブスは誰もが知るところだが、一般的には1、2回しか着ないことが多い。
もともと、ユニファーストでもノベルティとしてビブスを製作していたが、それを何回も使えるようにブラッシュアップしたのが『着られるエコバッグ』だ。
これは、ビブスの底に着けたファスナーを閉めるとエコバッグに早変わりし、観戦後に荷物を入れられるだけでなく、強度もしっかりしているので日常の買い物にも使える新しいエコグッズだ。
ベテランの営業担当が開発し、様々な業界から発注を受け、プロスポーツや大学のスポーツチームだけでなく、誰もが知る大手電機メーカーのボランティアにも使用されている。
1年で20万個売り上げた技ありエコバッグ
そういった“ありそうで無かったひと工夫”のアイデアは、新しいエコバッグも生み出した。それが「レジカゴで使えるエコバッグ」。
こちらは、早ければ2020年7月から有料のレジ袋が義務化されることに着想を得て、エコバッグ持参が当たり前になる時代に先駆けて開発された商品だ。
通常のエコバッグの開閉部にゴムを着けることで、消費者は会計後にそのまま帰れるストレスフリーな買い物ができ、店舗側はレジカゴの縁にひっかけるだけなので混雑緩和にもなるという双方の利便性を追究。さらに、ペットボトルのリサイクル繊維を使用し、昨今うたわれているSDGs(持続可能な開発目標)も実現している。
こちらも数多くの企業から問い合わせがあり、開発して1年で20万個を売り上げるヒット商品となった。
その着眼点もさることながら、橋本さんに代替わりしてマーケティングやPRを強化し、発信力が高まったこともヒットの背景にある。
「今の時代は作りっぱなしではなく、どう発信し売っていくかが大事。そこで前職の広告代理店時代の経験がいかされています。いま世の中になく、社会に求められるものを創ることで、顧客の課題解決や社会貢献を実現したい」
「街の経済発展に貢献していきたい」
橋本さんのそういった社会貢献への思いは、浅草橋にも繋がっている。
浅草橋3丁目に自社ビルを構え、常日頃から街に「家のようなほっとする安心感」を覚えていると話す。
「いい意味で都会っぽくなく、江戸風情があるのに下町すぎない雰囲気が好きです。東京では希薄な人と人の息づかいを感じる繋がりもあって、また行きたくなるお店も多い」
日々働きながら、トンテキが名物の『食堂酒場グラシア』や、柳橋のイタリアン『ボンマルシェボンテ』、老舗蕎麦屋『あさだ』、街中華の名店『水新菜館』など、地元に根付いた個人店の美食を楽しんでいるとか。
「グラシア (食堂酒場Gracia)」はその瞬間を最高にする料理を提供してくれる穴場スポット実は、当サイトを運営する伊勢出版とは、鳥越神社の絵馬に貼ったQRコードを通じて縁が生まれ、先述した2商品のオリジナル動画の製作に至った。
「千貫神輿」渡御のロックさでも有名!鳥越祭の鳥越神社で例大祭御朱印を頂いてきた。「今でも魅力的ですが、浅草橋はまだまだポテンシャルがあり、わかりやすいコンテンツができれば、もっと若い人の来街や企業の誘致に繋がると思います。これからも私たちなりの方法で街の経済発展に貢献していきたいですね」
文:藤谷 良介
写真:伊勢 新九朗