浅草橋の隅田川寄りに位置する柳橋。江戸時代から昭和の中期まで「花街」として知られ、たいへんな賑わいを見せ、かつては新橋、赤坂をしのぐ土地だったそうです。また、芸人の多い土地で、義太夫語りや狂言師が多くいたと言います。
今回紹介する喫茶店「ときわ」も、昭和の大スター大川橋蔵が幼少期を過ごした場所として有名です。そんな昭和時代から続く「ときわ」でお昼ごはんをいただいてまいりました。
(“ランチ”より、“お昼ごはん”が似合うお店ですね。)
そして、もちろん、有名な海苔サンドも。滞在時間中に伝わってきた地元の人に愛される場所「ときわ」についてレポートします。
昭和の香り漂う雰囲気ある喫茶店
浅草橋の駅から3分程度。今回私は、HI-CONDITIONで買い物をしたついでに寄ったので、大きな買い物袋とともに店内へ。
店内はカウンター5席、テーブルの4人掛けが2つと、奥に6人ほどが囲めそうな配置のテーブル席があります。
1人で気軽にきても、家族で来てもよさそうですね!平日のお昼に伺ったので、1人でランチに来ている方がカウンターで食べている姿を見かけました。
戦後すぐからやっているという老舗の「ときわ」。女将さんの素敵な写真が飾ってありました。
ほっとする家庭の味のお昼ごはん
お昼の時間はセルフサービス。自分でお茶や2種のおかずを選びます。いくつか種類がありました。
しょっぱい系と、甘い豆があり、好みで選べるのは嬉しいですね。
この日のお昼のメインメニューはさんまの塩焼と肉団子の酢ぶた風でした。編集長がさんまを、私は肉団子を頂きましたよ!
定食なので炊き立てのご飯と作りたての味噌汁もついてきます。メニューの雰囲気がまるで家庭のご飯ですよね。
暖かい味噌汁を少し飲んだ瞬間に、居間にいるような気持ちになり、こういう家庭の温かさを感じられるメニューをお昼に食べられるのは嬉しいものです。
美味しくてペロリと食べてしまったもぐもぐライターちえこじでございました。
気になる定番メニュー、そして海苔のトースト!
定番メニューの中に「のりトースト」という気になるメニューが。このお店で有名なメニューということで、これは頼まないわけにはいきません!頼むとさっそくパンを焼きはめてくれました。
焼けたパンにさっそくバターを! いい海苔を使い、たっぷり醤油をつけて、バターを塗ったパンにはさんでいきます。はじめは、海苔だけはさんでいたそうなのですが何かもの足りず、白ごまを入れたらこれが当たり! それ以来、このメニューが定番化したんだそうです。
それではさっそくいただきます。
たっぷり塗られた醤油が香ばしく、サンドイッチですがおつまみにピッタリ。最初、面白いと思っていた味もだんだんクセになり、パクパク食べ続けてしまいます。
切り落としたパンの耳もカリっと焼いてバターと一緒にだしてくださり、この耳も含めて手が止まらず、あっという間に平らげてしまいました。
第二の家のような落ち着く場所で今日もお昼を食べる
私がのりトーストに夢中になっている間にも、お昼を食べに地元の顔なじみさんがやってきます。すっと入ってきてお茶を用意し、もともといた方と会話をしながら、カウンターで楽しそうに話している姿が目に入ってきます。
そして、ときわのマスターもまじりながら、日々の徒然を話している様子は、きっとここ数十年続いている景色なのではないでしょうか。
変わらずにある場所で炊き立てのご飯と自分の好きなおかずを食べ、ほっと一息できる場所。あぁ、なんだか第二の家のようですね。
少し変わったのりトーストを食べてみたいと思って足を運んだ「ときわ」でしたが、おいしいトーストだけでなく、浅草橋で長く続く理由はわかる、ほっとする時間とも出会える場所でした。
店舗情報
ときわ
東京都台東区柳橋1丁目8−8−8
[ディナー](火)~(土)18:00~23:00(ラストオーダー 21:30)、(日)18:00〜22:00(ラストオーダー 21:00)
定休日:月曜日 第二火曜日
文:ちえこじ
写真:伊勢 新九朗