お待たせしました! 今回ご紹介するのは、長きに渡り街の人々に愛され続けている「水新菜館」。言わずと知れた、浅草橋を代表する大人気中華料理店です。
何度も足を運んだ方も多いと思いますが、中には「行列に気後れしちゃう」「一見さんでも大丈夫なのかな…」という〝水新未経験者〟も。実は筆者もそのうちのひとりで、この度、念願かなってお店に初訪問することができました!
〝水新ビギナーさん〟必見のレポート、ぜひご覧ください♪
賑やかなのに居心地抜群…魅惑の〝水新ワールド〟へいざ入店!
浅草橋駅東口を出て、浅草方面へとてくてく歩いていくと、赤字に白抜きのインパクトある看板が徐々に近づいてきます。
ここが、今回ご紹介する「水新菜館(みずしんさいかん)」。お昼時になると必ず行列が生じ、いまやそれが街のシンボルとなりつつある超有名中華料理店です。
映画セットのようなレトロでノスタルジックな佇まいに加え、店頭には美味しそうなメニューがずらり。
筆者もお店の前を通るたび「美味しそう…」と後ろ髪を引かれる思いで通り過ぎたことが何度もありました。そしてついに! この度、ようやくお店に足を踏み入れることができたのです!
店内もノスタルジックな雰囲気で、ほっと落ち着く空間。まず驚いたのが、お店中がピカピカに輝いていたことでした。
街中華のお店って「床がつるつるしている」「古い油の匂いが染み付いている」というイメージをお持ちの方もいませんか? 同店は、その概念を覆すほど清潔で、清らかな空気がお店全体に漂っているのです。
そして、このお店を語る上でオーナー寺田さんの存在は欠かすことができません。お店に入ると、まずは寺田さんの「いらっしゃいませ♪」と弾むような明るい声。この声を聞いただけで、なんだか疲れがフッと吹き飛んだような気がします。
「お嬢さん、おしぼりをどうぞ」。この、こまやかかつスマートな寺田さんの接客サービスを見たいが為に、多くのお客さんがお店に足を運ぶのです。
どうしてこんなにお店がキレイなんですか? このタツノオトシゴはなんですか? 思わず飛び出た質問にも、寺田さんは気さくに応えてくれます。
「お客様に快適に過ごしていただくためには、隅々まで掃除をすることがなにより大切。うちはトイレも常にきれいな状態にしているので、女性の方にも喜んでもらっています。ちなみに、ディスプレイされているタツノオトシゴや草の根などは漢方として使うもの。今はオブジェと化して皆さまに親しまれています(笑)」
メニューが多彩すぎる!オーダーに迷ったら、オーナーに相談だ!
落ち着いたところで、早速メニューを拝見♪ と思ったら、壁一面に多種多様なラインナップ! メニュー表を開くと、点心、ご飯もの、麺類、肉料理、魚料理と、さらにたくさんのメニューがぎっしりと並んでいます。
ああどうしよう……どれをえらんでいいか分からない…と唸っていると、寺田さんが絶妙なタイミングでテーブルへとやってきて、おすすめを教えてくれました。
〝水新ビギナー〟である私たちは、ひとまず寺田さんがおすすめしてくれたものをオーダー。どんな料理がくるのか、ドキドキワクワクです。
オーダーが入ると、厨房では素早く調理が開始。カウンター越しに見える厨房内のライブ感を楽しみながら、料理の到着を待ちます。
料理が完成するまでの時間も退屈知らず。なぜなら、寺田さんの接客する立ち居振る舞いが芸術的に美しいのです。
「ご注文はお決まりですか?」「水分補給いかがですか?」お店がステージかの如く華麗なステップで動き回る寺田さんを見るためだけにお店をおとずれてもいい、と言っても過言ではありません。
寺田さんについては【浅草橋の粋人】でたっぷりお話をうかがったので、そちらもあわせてご一読いただけるとうれしいです。
【浅草橋の粋人】最高水準のおもてなしで、来客者に美味しさと感動と驚きを提供する名物店長 中華料理店『水新菜館』オーナー・寺田規行さんインタビュー取材陣が感激感動した絶品おすすめメニュー
まずテーブルに登場したのは「肉巻き」。春巻きでも揚げ餃子でもない、ほかではなかなお目にかかれない同店自慢の逸品です。
食べてみると、確かにこれは新感覚! お肉がぎっしり入っているのに口当たりが軽く〝止められない止まらない〟魅惑の美味しさでした。メイン料理が到着するまでのおつまみにピッタリの一品ですよ♪
そして、来店客の大半が頼むという看板メニュー「あんかけ焼きそば」が満を持して登場。
「ここのあんかけ焼きそばを食べたら他ではもう食べられなくなる!」という人続出の、同店の代名詞的メニューです。
到着したお皿には、これでもかというほど具材がたっぷり! ゴージャスな見た目に、五感すべてが刺激されます。
パリパリモチモチの焼きそばと旨味が集結した餡との相性は言わずもがな抜群。そして、味はしっかりしているのに、喉越しは爽やかで、油っぽさをまったく感じません。
「うちは毎日新しい油を使用しているんですよ。新鮮な油だと味わいがすっきりして、胃もたれもしにくいんです」
寺田さんのお話を聞いている間も、食べ進める箸が止まりません。どうしよう、ボリュームたっぷりなのに一瞬で完食してしまいそう…太っちゃう!
「そんな方のために、小サイズのあんかけ焼きそばも用意してありますよ(笑)他の料理も楽しみたいという方や、小食な方にも喜んでもらっています」
お客のニーズにあわせた心配りが随所になされているのも、お店の大きな魅力のひとつです。
肉巻きやあんかけ焼きそばに夢中になっていると、最後の一品がやってきました。
それがこちらの「蠔油牛肉(ホーユーニューロー)」。まさに真打ちと称するにふさわしい、寺田さんイチオシのメニューです。
「蠔油牛肉とは、いわゆる牛肉のオイスター炒め。しかもうちで使用しているのはただのオイスターソースではありませんよ。国産の上質な素材でつくられた、絶品のオイスターソースなんです」
食べ応え◎のお肉と、シャキシャキ野菜と、キリッと濃い口のオイスターソースのリッチなハーモニー。
このメニューを一言で表すとしたら〝危険〟。無限に食べられるんじゃないかと錯覚を起こしてしまうほど〝危険な美味しさ〟なのです。
「多くの人が頼むあんかけ焼きそばももちろん美味しいですが、このメニューを頼むお客様も増えているんです。最近ではあんかけ焼きそばや人気商品の〝広東麺〟に追いつきそうなほど人気が上昇していますよ」
寺田さんの仰ることも納得。これは一度食べたらまた食べたくなる、無限ループの美味しさでした。
〝美味しい〟というワードばかり連発してしまいすみません。
ですが、このお店で食事を楽しんでいた取材陣からは「美味しい」「美味しい!」「美味しい…」という言葉しか出てきませんでした。
そしてこの〝美味しい〟に集中させてくれるのは、寺田さんをはじめとしたスタッフの皆さんによる心遣いの賜物。なぜ多くの人が足しげくこのお店に通うのか。その秘密が、なんとなく分かったように感じました。
「美味しかった?」
お会計の際の寺田さんの優しい声色で、幸せな気分はさらに倍増。こんなに満足感の高いランチタイムは、なかなか経験することができません。
「ごちそうさまでした。素敵な時間をありがとうございました。また必ず来ます!」と店を出て、〝初水新体験〟が終了しました。
まとめ
一言で紹介するなら「美味しい街中華のお店」。しかし、お店の魅力は言葉で伝えきることが難しいのも事実。「水新菜館」の真骨頂は「あの空間で、あの料理を食べること」なのだと改めて実感しました。
とはいえ、「お店で食べるのは難しい」という方にはテイクアウトもおすすめ。おうちでもあの味を楽しめるのは、ファンにとってはうれしい限りです。
また、隣接する「水新はなれ 紅(ほん)」では、落ち着いた空間でワインとのマリアージュを楽しむことができるのだとか。取材陣の間で巻き起こった〝水新フィーバー〟は、まだまだとどまることがなさそうです!
撮影/伊勢 新九朗
取材・文/牧 五百音