[店舗のみ閉店]森光子も愛した浅草橋の手土産屋「おいしい御進物 柳ばし 逸品会」潜入報告

『芸は売るが色は売らない』

お客に媚びず、粋を極めた存在と言われていたのが柳橋の芸者さん。

そんな芸者さんたちに認められ続けてきたのが、今回ご紹介する『おいしい御進物 逸品会』さん。柳橋一等地に今も尚、お客様を大切にし続けているお店が存在するということが、浅草橋の誇りですね。

さて、いったい、どんなお店なのでしょう。

と、覗いてみると、おやおや、お若い方がお二人店頭にいらっしゃる。

※2024年8月いっぱいをもって柳橋の店舗が閉店となりました。

ECサイトなどでは引き続き販売されますので、気になる方はホームページへ。

逸品会

花柳界と共に歩んだ逸品会の歴史

昭和30年代の柳橋は、新橋や赤坂にも負けず引けを取らない賑わいの花街でした。政財界のドンや大手企業のお偉いさん・日本橋の旦那衆など、多くの粋人が足を運んだというのは有名な話。そんな花街をみて、逸品会の現代表取締役である高橋青嗣さんの祖父にあたる先代が、『これはイケる!!』と(→このように言ったかは定かではありませんがw)昭和33年に開業したそうな。

今回、取材を快く受けてくださった方こそが、高橋青嗣さんと、高橋さんの義兄である店長の芦田裕耶さん。

歴史を語るにはちょいとお若すぎじゃありませんか? と思いつつも、とても詳しく話してくださる姿に、‟さすがだな~”と老舗のプライドを感じました。

逸品会さんの存在は知っていましたが、こんなに奥深い歴史があることにビックリ。

創業当初は、柳橋に本店を構え、わずか3坪の支店が周辺にあったそうです。支店は引っ越しを繰り返し、あるとき先代が、人の流れをみて浅草橋の現在の場所にたどり着いたとのこと。現在のように、オリジナリティ高い商品の製造元をみつけてくるとういう方法ではなく、すでに名高い「風月堂」や「文明堂」のお菓子を販売していたそうです。

その後、‟バームクーヘン”で有名なアノお店もまだないころ、目利きの職人と出会い、販売することとなり、このバームクーヘンこそが逸品会の歴史の始まりなのです。

なんと、販売中止になったのはつい最近だそうですよ! その職人がご高齢になられたことがきっかけで……。残念ですが、時代のつきものですね。(食べたことある方いますか~⁉)

その間にも商品数は増え、現在もなお人気のある《はごろも》は、もう50年以上愛されているのです。

この《はごろも》、一見普通の薄焼きせんべい。しかし、食べた人にしかわからないこの食感‼  歯を使わず舌で割れるほどの薄さなんですよ!!

なんと、この薄さは鉋(かんな)を使っており、乾燥時、飛ばされないよう扇風機は壁の方向に設置し、間接的な風を送っているというのです。どれだけ薄いのか⁉

かの森光子が楽屋の差し入れに!

財政界のドンが知ってるんですもの、芸能人が知らないわけないですね! 吉田茂さんや森光子さんも逸品会の魅力を知るひとりでした。 花柳界が栄えたころから現在まで、人の‟クチコミ”というのは、最大の販売ツールですね。

森光子さんは、お相撲好きが有名だったようですが、そのときに知った《宴の華》にたいそう惚れ込み、撮影時の楽屋の差し入れに買って行かれたそうです。

この《宴の華》も職人のこだわり抜いた製法が詰まっています。そして、逸品会の代名詞と言えるほどの売れ筋商品になりました。

オクラやロータス、人参、さつまいもという、素材と味と形を活かした製法!

逸品会初心者さんは、まず食べてみるべし‼(アレルギーはご確認くださいね)

食べなきゃホント伝わらない。

迷ったらコレを選ぶべし。

先にお伝えした《はごろも》や《宴の華》ならば、まず間違いないでしょう。

季節の商品も含まれておりますが、ここで私の大好きな商品と、お店のオススメ商品を並べてみました! 皆さんのオススメはありますか?

《百恵の大好きラインナップ》

チーズスティック・手巻き納豆あられ・ヴァッフェル※味は季節によって変わります。

《お店のオススメ》

左から、はごろも・宴の華・ポップル(塩かりん)

あ~全部食べたい。

少し崩れた形の物は、「久助商品」としてお買い得(※久助(きゅうすけ)とは、製造工程で割れたり欠けたりした、規格外の煎餅やあられなどを集めて、正規品よりも安い価格で販売するもの)。

もちろん、味に落ち度はございません。百恵購入!

オクラや納豆は噛めば噛むほど粘り気が出て、口の中で素材が復活する感じ。

ポップルは一見どこにでもありそうですが、見えない違いがあるのです。それは色味。単なる色ではなく、揚げる製法過程でしっかりと油切りができている証。自慢の一品です。

他にも

止まらない

※季節によって商品が入れ替わることがあります。

そのほか、夏時期には、くずきりや水ようかん、フルーツゼリーなど涼し気な商品があったり、2月にはモロゾフのチョコレート、そして、春をさきどる桜まんじゅうなど、どの季節に行っても飽きのこないラインナップでして、胡坐(あぐら)をかいていないアグレッシブさを感じました。

季節の変化と加速する進化

そして、まさに今、さらなる進化を遂げています!!

まずは、商品。

‟店長(社長?)イチオシ”商品がこちら。

「黒糖きなこくるみ」と「塩ミルクくるみ」のくるみシリーズ。添加物を最大限に抑え、素材にもこだわる信念は変わらず、今回はパッケージにもこだわりました。通常のパッケージより気密性が良いとのこと。この商品、店長的には塩ミルク推しだったのに、市場の反応は真逆だったのです!

ここが商売としての面白いところでもあり、お店としてはドキドキするところですね。店長、ずっとなぜだろう~と考えてました(笑)。皆さん、黒糖好き? 塩ミルクの味の想像ができないから!? いまだ謎に包まれています。

もうひとつ、進化し復活したかりんとう。

素敵な職人が見つかったということで復活できたそうです。しかも、味にも変化が!

ショコラかりんがこの春先のオススメ‼

大きさも上品であり、硬さも絶妙。硬すぎず、柔らかすぎず。お味のパウダーも手につきにくい絶妙なまぶし。圧巻です。

私もお話聞きながら逸品会マニアになってきましたよ。

お菓子にとらわれず、お茶のお供も気になります。

これからの逸品会~新ロゴに込められた想い~

そして、進化のもうひとつ。新しくロゴが誕生してしたのです。

今までも見慣れた柳と柳橋の絵はありました。しかし、ロゴを作ることによって、現在考案中のパッケージにも反映できます。先代の直筆‟逸品会”を残し、文字を囲む円は柳。社内でかーなーり議論が繰り広げられたようです。ここにも社運を掛けていらっしゃる強い想いを感じました。

時代のニーズに応えていくアイデアと発想を常にキャッチしていけるよう、この新しいロゴに想いを込めて……。

このように、まだまだ書ききれない進化がたくさんありますが、ここから先はぜひ、皆さまの目で感じてきて欲しいです。

店内のディスプレイや商品から、いくつ見つけられるでしょうか⁉

これからの逸品会に目が離せません。

取材・文/清水 百恵(浅草橋勝手に親善大使)
撮影/伊勢 新九朗

【おいしい御進物逸品会】
住所:東京都台東区柳橋1-13-3
電話:03-3863-4661
営業時間:10:00~18:00(※営業時間を変更することもあります。お問い合わせいただければ幸いです)
定休日:日曜日

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