おいしいお寿司、優しい大将、気配り上手な女将さん ……。バシッ子に愛される名店「梅寿司」で心も身体も癒される

うだるような暑さが続く毎日。夏バテ気味で、食欲が湧かないという人も多いのではないでしょうか?

そんな方々にぜひ足を運んでいただきたいのが、柳橋にある『梅寿司』さん。絶品のお寿司を味わえるだけでなく、雰囲気、コストパフォーマンス、あらゆる面で満足度の高いお食事が楽しめるとっても素敵なお店なのです。

今回はお昼に訪問して、ゴージャスにお寿司ランチタイムを満喫♪ 本格的な夏の到来に向け、英気を養ってまいりました!

創業は昭和2年! 三代に渡り受け継がれてきた〝梅寿司イズム〟/梅寿司

やってきたのは、柳橋中央通りにお店を構える『梅寿司』。手入れが施された草木がなんとも雅で、入り口に辿り着いた瞬間、非日常的な気分を味わうことができます。

高級感漂う外観を目にして「一見さんお断りなのかも……」と不安になったのも束の間。大将と女将さんが弾んだ声で「いらっしゃいませ!」と我々を出迎えてくれました。

カウンターと小上がり席がある店内は、こじんまりとした空間ながらゆったりとした座席配置。アットホームな雰囲気が漂い、ホームへ帰ってきたような居心地の良さを感じます。

カウンター内でお寿司を握るのは、三代目店主の塚田昌之さん。
「店は昭和2年に私の祖父が開業したんです。祖父は私が2歳の時に亡くなったので、店名の由来をちゃんと聞いたことがないんです(笑)」
気さくで朗らか、そして柔和な雰囲気を醸し出す塚田さん。「お寿司屋さんの大将はこだわりが強くて少し怖いイメージ」という概念を大きく覆してくれるお人柄です。

「写真は今から30年ほど前の店内ですかね。その頃は手を洗うための蛇口が設置されていたんです。8月にはカウンターを新調する予定です。場所はずっと変わりませんが、時代やニーズにあわせて細かい部分は色々と変化していますね」(塚田さん)
塚田さんは高校卒業後すぐ職人さんになり、このお店一筋でお寿司を握り続けているそうです。そしてなんと、塚田さんは『長谷川商店』と『大黒家』のご店主と同級生! 全員お店を引き継いだ三代目同士であり、幼稚園・小学校を共に過ごした仲なのだそうです。
「三者三様、性格もお店のカラーも全く違うでしょ(笑)。でも、大黒家さんとは市場で会えば色々話すし、コロナになってから長谷川さんが連日のように来てくれたことがあります。本当に、2人に対してはありがたいな、心強いな、という気持ちでいっぱいです」(塚田さん)

このお話を聞いて「いつか3人で座談会をしてもらおう……!」と心に誓った取材陣なのでした。

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〝特上にぎり〟は極上ネタのオンパレード!

同店のメニューは、基本的に昼も夜も同じ。夜はお酒を嗜む人が多いため、予算に応じてお刺身などのおつまみもオーダーできるそうです。
お寿司×お酒は至高の組み合わせ。ですが今回はランチのため、そして情勢を鑑みて、お寿司のみをじっくり味わうことにしました。

せっかくなので、奮発して(編集長が)特上のにぎりをオーダー! 一品目は、寿司ネタの鉄板であり高級部位でもある中トロ。もちろん、文句なしの圧巻のおいしさです。
塚田さんは毎日豊洲市場へと出向き、その日最も状態のいいネタを選定。マグロも、部位や状態によって調理法を変え、魅力を最大限に引き出した状態で提供をしてくれます。

お次はイカと白身。と、ここでふとあることに気づきます。酢飯がキリッとしていて、くどさが全くなく、とてもスッキリとした味わいなのです。
「酢飯に使っているのは、赤酢と塩だけ。アナゴやカンピョウなどの甘いネタとの相性を考えて、あえて酢飯に甘みを入れていないんです」(塚田さん)

酢飯が淡麗なため、ネタの甘味、旨味が一層際立ちます。
次に登場した赤貝を食べた際も「赤貝ってこんなに上品な甘味が含まれているんだ!」とびっくり。

酢飯に驚いている間にも、続々と握りたてのお寿司が目の前にやってきます。
ウニもイクラもたっぷり! 編集長は「おいしい! おいしすぎる!」と怒涛の勢いで食べ進めていました。

そして、ここで真打ちのアナゴが登場します。私は昔、祖父から「お寿司屋さんはアナゴがおいしいお店を選びなさい」という言葉を聞かされていました。
「アナゴや小肌は、お寿司屋さんごとに調理法や調味料の配合が異なります。同じ味は一つとしてないんですよね。だからどのお店も〝うちのアナゴや小肌はこれだ!〟というこだわりを持っているんです」(塚田さん)
『梅寿司』のアナゴは、ふわふわとろとろ。なのにしっかりと身のおいしさを感じることができる、極上の味わいです。

とうとうにぎりも終盤に差し掛かってきました。最後は巻物のお寿司でフィニッシュ。
名残惜しさとともに、最後のネタへの期待がどんどん高まっていきます。

登場したのは、鉄火巻きとカンピョウ巻き。同店の看板メニューでもある2品がトリを飾りました。
「マグロへのこだわりはもちろんですが、うちはカンピョウ、薄焼きたまご、おぼろなどはすべて手作り。どのネタも調理は大変ですが、江戸前にとって甘い味付けのネタは〝要〟ともいうべき存在です」(塚田さん)
脇役に思われがちのネタにこそ手間隙をかける。にぎりを堪能することによって〝梅寿司イズム〟を存分に感じることができました。

こだわりが凝縮された〝ちらし〟や〝マル秘メニュー〟も必食!

「ランチはちらしを注文する人が多いですね。ちらしは酢飯の量も多いので、ボリューム重視の方にはちらしをオススメします」(塚田さん)
せっかくなので、ちらしも特上をオーダー。基本ネタに加え、中トロや貝まで盛り込まれた特上ちらしはまさしく〝宝石箱〟! 選りすぐりの海鮮、カンピョウやたまごなどの甘いネタ、酢飯のハーモニーがたまりません!
ちなみに、お酒を飲む方や甘いネタが苦手な人のための「甘抜きちらし」なるメニューも用意されていましたよ♪

にぎり、ちらしを心ゆくまで堪能して大満足……かと思いきや、編集長が「もう少しお寿司を食べたい!」と塚田さんに相談。
すると塚田さん、しばし考えたのちに「せっかくなので、うちのとっておきマル秘メニューを召し上がりますか?」と、なんとも嬉しい提案をしてくださいました!

このマル秘メニューは、舌の肥えた力士さんのために特別に考案したメニュー。力士さんたちは来店するたび、このメニューを必ず頼んだといいます。
「基本は〝トロたく〟なんですけれど、そこにうちならではの一工夫を凝らしているんです。これがね、自分でいうのもなんですが、とにかく絶妙な味わいになっているんですよ(笑)」(塚田さん)

全貌をお見せすることはできませんが、このマル秘メニュー、驚くほど絶品でした!!
「常連さんでもなかなかお目にかかれないメニューですが、お客様と会話をする中で提供することもありますし、とにかく神出鬼没のメニューです(笑)。ただ味は折り紙付きなので、機会があればお出しいたしますよ」(塚田さん)

また、来店した方全員にお味噌汁と果物のサービスも。女将さんはタイミングを見計らい、絶妙な間合いでお茶やお味噌汁などの提供や、おしぼりの交換をしてくれました。
細やかな心配りに、心もほっこり。お店に滞在している間は悩みやストレスも消え去り、癒しのひとときを過ごすことができます。

瑞々しいデザートを食べて、夢見心地のお寿司ランチが終了。
お腹はいっぱいのはずなのに、あれも食べたい! これも食べたい! 今度はお酒を嗜みながらおつまみも堪能したい! とどんどん夢が膨らみます。
「アナゴが旬の8、9、10月は〝あなとろ重〟もオススメですよ。脂が乗ったアナゴはふっくらとしていて絶品なんです。白焼きもぜひ召し上がっていただきたいですね」(塚田さん)

まとめ

どんな質問にも気さくに答えてくれる大将。細やかにアシストをしてくれる女将さん。そして、こだわりが詰まりに詰まった絶品お寿司。
ハードルが高いと思われがちな〝ソロカウンター寿司〟も『梅寿司』さんなら安心してトライすることができそうです。
8月にはカウンターもリニューアルし、さらにパワーアップする予定の『梅寿司』。緊急事態宣言が明けたら、心置きなくお酒とお寿司を堪能したいと思います!

【梅寿司】
〒111-0052
台東区柳橋2丁目4−1
お問い合わせ:03-3851-1682

撮影/伊勢 新九朗
取材・文/牧 五百音