女性にも人気!「鳳凰麻辣湯 簡」で薬膳たっぷり辛ウマい麻辣湯をすする

こんにちは、はじめまして。台東区周辺をぐるっとまわる!Gurutaiと申します。蔵前や浅草、上野や谷中、そしてここ浅草橋を含む台東区全域、ときには東東京全域を巡って飲食店やイベント、街の歴史、地理などを紹介してまわっています。

「浅草橋を歩く。」の投稿は以前から見させてもらっていた読者の立場でしたが、浅草橋にぜひおすすめしたいお店があるということで、記事を書かせていただくことになりました。

読者の皆さんは麻辣湯を食べたことがあるでしょうか?Gurutaiはあるときまでほぼ食べたことがなかったのですが一時期「あれ?麻辣湯って美味しいな…?」と気づいて少し食べ歩いていました。その中でのお気に入り、これは浅草橋でしか味わえないのではと感じて今も食べているのが今回紹介する「鳳凰麻辣湯 簡」の麻辣湯です。編集長の伊勢さんと一緒に行ってきました!

浅草橋の隠れた名店

浅草橋という街は駅前の大通りが大きいこと、駅周辺にチェーン系のお店が多いことから路地に入った個人店が目立ちにくい街ではありますが、読者の皆さんであればそうしたハードルは軽々と超えていることでしょう。

しかしこのお店は同名の「浅草橋旅館 簡」の1階にあることから、営業中の飲食店であることに気づかれないこともあったりと、まだたどり着いていない人も多いのではないかと思います。地元の人であれば、「江戸蕎麦手打處あさだ」の裏手の路地にあるといえば伝わりそうです。

お店がある建物は、大きなアーチ型が特徴的な白いビルです。入口は2つに分かれていて、左側には「浅草橋旅館 簡」の看板がつき、右の全面ガラスの引き戸は「鳳凰麻辣湯 簡」の垂れ幕が掲げられています。外には大きな白い甕、立て看板が並んでいます。

店内はテーブル席が6席、壁際のカウンター席があります。店先には干物が吊るしてあったり漢方の瓶が並んでいたり、黒板にはその漢方の解説が書かれてあったり、そして長いこと漬け込んでいそうな梅酒の瓶…などとインパクトのある内観です。

奥の方には梅酒の瓶、酒が並んでいて、見上げる位置の棚に瓶が並んでいます。各テーブルに背もたれ付きの椅子が4脚ずつ、足元には荷物入れのカゴ、机の上には調味料のほかセルフの水とコップ、ティッシュなどが置いてあります。

上の方にある棚には多くの漢方、香辛料らしい瓶がズラッと。

木枠の棚から吊るされていたのは何匹かの魚の干物。

黒板に書かれていたのは「薬膳の一覧」で、丁子(クローブ)、当帰、龍眼、甘草などの効能が説明されています。

麻辣湯ってどんな料理?

粉末の唐辛子や刻んだネギ、葉や茎の浮いたスープ。

麻辣湯とは麻(花椒などのしびれ)、辣(唐辛子などの辛み)をベースとしたスープで春雨や野菜を煮込んだ料理。簡のように本格派のお店ではそうしたポピュラーな香辛料だけでなく、漢方や薬膳を使って更に複雑味のある味わいを作り出しています。名前の通り辛い料理ではあるのですが辛さは調節できるので、得意というわけではないけど気になるという人にも食べてみてほしいメニューです。

実は先日、テレビ番組「マツコの知らない世界」でも麻辣湯回が放送されたため、このタイミングで注目している人もいるのではないかな……? と思います。春雨の代わりに中華麺を使ったり、春雨の中でもじゃがいもやさつまいもの春雨、緑豆春雨、そして板春雨や刀削麺など、思ったよりバリエーションがあることが番組でも解説されていました。

辛い、薬膳、体に良さそう、ダイエットにも向いていそうというイメージからか、特に女性に人気の高いメニューのように思います。このお店も実際に利用していても、外観の印象に反して女性客のほうが多いんですよね。

まずは一杯! そしておつまみも

せっかく伊勢さんを連れてきたということもあり、今回は麻辣湯だけでなく様々なおつまみを食べてみたいと思ってお酒と一緒に注文してみました。これらはディナーメニューとして17時以降の提供となっています。

一杯目はやはり中華らしく、青島ビールですね。爽やかであっさりした味わいはタレのしっかりした自家製チャーシューの味付けに合います。

緑色の小さめの青島ビールをそれぞれ注文。

刻みネギ、ごま、タレのかかった汁気たっぷりの豚肉。

そして伊勢さんが特に食べたいということで青菜炒め、キノコ炒めなどの炒め物も注文しています。

細かめに切ったセロリや空芯菜、にんにくや唐辛子で味付けされています。

キノコ炒めはしめじ、きくらげ、エリンギに豆もやしなど。

ディナーメニューは今回注文した青菜炒め(680円)、キノコ炒め(680円)、自家製チャーシュー(750円)のほか、黒酢酢豚(880円)、鳥の唐揚げ(680円)酸菜魚(高菜と白身魚の煮込み、980円)などが書かれています。

他のメニューも気になりましたが、このあたりにしておきました、が…結局最終的には食べ過ぎとなっていました。

次に注文したのは、かめ入りの紹興酒。なんと本当に、大きなかめに入った状態で販売されているんですね!

柄杓を使って白く塗られた大きなかめから酒を掬い出します。

氷を入れてグラスに注いだ紹興酒。とても濃い茶色。

個人で買う人もいるんでしょうか。紹興酒は飲み慣れていないのでこれ、という他との違いがわかるわけではないのですが……せっかくなので紹興酒もいいですね。

麻辣湯専門店の特徴的な共通のシステム

初めて麻辣湯のお店を利用するときは戸惑う人もいると思いますが、典型的な多くのお店でほぼ同じシステムが使われているので、一度行けばどこの麻辣湯でも適応できるはずです。

まず冷蔵庫の中にパッキングされて並んだ食材の中から、好きなものを選んでボウルにとります。ビニール手袋が用意されているところでは忘れずに使いましょう。

このお店ではボウルとビニール手袋が用意されています。

冷蔵庫にズラッと並んだトッピング食材。ボウルに食材を取っていきます。

この食材はお店によって様々で、簡を含め多くのお店で30〜50程度の食材が常時並んでいます。キノコ、肉、様々な水餃子やワンタン、空芯菜やパクチーなどの野菜といったもので、これを3〜4種選んでいきます。簡では通常3種まで、追加料金110円でこの食材を1つ追加できます。ちなみに、本場では取り放題レベルでこの食材をたくさんよそって食べるのだそうで、このシステムは日本に導入された際の標準のようです(他にも量り売りのようなシステムのお店もあります)。

Gurutaiはほぼいつも豚肉(またはワンタン系)、半熟煮玉子、パクチーを選んでいます。

ボウルにとったパクチー、豚肉、煮玉子。

気分によってここにキノコやその他の野菜を追加していますね。最近別の日に伺った際はパクチーの代わりに空芯菜、そしてフクロ茸をいただきましたがこれもおすすめです。

そして食材をカウンターに持っていき、辛さと麺の種類を選びます。簡では辛さが5段階(4以上は+70円)、お店のおすすめは2です。辛さやしびれが苦手な人は0も選べます。麺は春雨と中華麺(+50円)を選ぶことができますが、Gurutaiおすすめは麻辣湯らしく春雨。中華麺より若干軽い食感が麻辣湯を楽しむのにあっています。このお店で使っている春雨は太めでムチッとしていて意外と食べごたえもあります。

注文方法は壁の貼り紙でも説明されています。

チャーシューご飯と麻辣湯。ご飯は小さめの器ですがどしっとお肉が乗っています。

チャーシューご飯。脂でご飯がつやっとしています。

麻辣湯と杏仁豆腐。杏仁豆腐にはクコの実が乗っています。

価格は具材3種付き、そして更にセットで選べる杏仁豆腐またはチャーシューの乗ったご飯がついてきて、お値段なんと825円です。これ正直激安だと思うんですよね……。

麻辣湯の楽しみ方

春雨にはほんのり色がついてちょっと太め。

麻辣湯はそのビジュアルと構成要素からラーメンや担々麺に類似したものと思われがちですが、名前に「湯」とつくようにスープが主役の料理です。麺を食べてスープを飲む前にお腹いっぱいになるくらいなら、麺を減らしてでもスープを飲み干すほうがいいと思います。簡のスープは花椒や唐辛子、漢方、薬膳だけではなく、鳥と豚、そして様々な干物でだしをとった旨味があり、その味わいは複雑です。スープを味わうための春雨であり、具材なんですね。

一口すすると花椒や唐辛子と同じくらい強い様々な薬膳の刺激を受け、2辛で十分に汗は吹き出、そしてしっかりした旨味を感じ、更にレンゲが進みます。スープが残らないように少しずつ具や春雨を食べるのがいいと思います。

煮玉子。ラーメンのようですね。

具材は3種を標準としていますが、これにもりもりと追加で具材を注文する人もいます。以前の常連さんには10や20の具材を追加する人もいたそうで、そういう人が数人集団でやってきたら、彼らの訪れたあとには冷蔵庫が空になってしまう! ということもあったそうです。

……それは多少やりすぎかもしれませんが、Gurutai自身も、行くたびにだんだんと1度に注文する具材の数が増えていっています。そのうち追加食材10くらいは試してみたいなと!

温さんありがとうございました!

店主の温さんはお一人で簡を運営しています。更に旅館の運営もしているため忙しそうですが、こうして手の込んだ料理を提供しています。今回取材のためにGurutaiも初めて温さんにいろんな話を伺いました。

東京でご夫婦別々のお店を切り盛りし、40年近く前から中華料理を提供し続けてきたそうですが、現在提供している料理のラインナップを見るに、町中華のようなポピュラーな料理とは異なる地方中華料理、いわゆるガチ中華寄りのものだったのでしょう。

当時を振り返り、その頃は死ぬほど忙しかったと懐かしそうに語ってくれました。休みの日にも馴染みのお客さんにお店に来てほしいと誘われたりと大忙し。そうした時期を経て、今後はもっとゆったりお店をやろうということで2020年浅草橋にこのお店をオープンしたそうです。

この4年でかなり年季の入った感じに色褪せた垂れ幕。鳳凰麻辣湯(フンファンマーラータン)簡とあります。

現在はほぼ麻辣湯オンリーのお店ですが、お話を聞いてからは麻辣湯以外のメニューを注文したときはバリバリと活躍していたときの温さんをイメージしてしまいます。

おわりに

Gurutaiは今後もこの「浅草橋を歩く。」に記事を書きたいと考えていますが、普段の投稿はぜひInstagramを覗いてみてください。また、この日は更にハシゴした店もありますので、そちらの紹介もお待ちください!

文/Gurutai(@gurutai_tokyo
写真/伊勢新九朗

鳳凰麻辣湯 簡
住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋2丁目29−6 田口ビル 1階
営業時間
昼営業:月曜〜土曜 11時30分~14時30分
夜営業:月曜〜土曜 17時00分~21時00分
(月曜のみ20時閉店)
定休日:土曜・日曜・祝日