旬のうなぎとやみつき豚ぷら!鳥越にある割烹料理店「大新」で味わう老舗の味

浅草橋駅を東口から出て、路地を北に進み、蔵前橋通りを渡ってすぐ。重厚な一枚板で作られた看板を掲げる割烹料理屋さんが現れます。

「季節料理」や「ふぐ料理」をふるまってくれるこのお店が、この鳥越で50年以上続いている老舗の「大新」です。

今回はこちらで、旬の“うなぎ”と珍しい“豚ぷら”をいただいてきました。

懐かしさすら覚える畳の広間でご飯

鳥越の地で80年近くの歴史をもつ大新。

実は、もともと魚屋さんで、柳橋や浜松町の料亭に卸したりもしていたそうです。

それが時代とともに現在の割烹料理屋へと業態を変え、50年ほど経つとのことでした。

建物は2階構造となっており、1階には厨房とテーブル・カウンター席、2階は大人数の宴会にも対応できる畳の広間になっています。

今回、我々はスタッフ2名でうかがわせていただいたのですが、ご厚意で特別に2階の広間の方に通していただきました。

2人だけだとガランとしてしまう広さの畳部屋で、隅には日本人形や和風小物が置いてある感じに、どこか“おばあちゃんち”的な原風景を錯覚して、つい、くつろいでしまいます。

お客様の顔ぶれとしては、やはり近隣にお住いの方がメインであり、現在はコロナの影響でなくなってしまいましたが、夜には2階の広間で最大60人くらいの宴会が開かれることも多かったそうです。

食欲不振なんて無縁の絶品定食

取材当日は7月末。土用の丑の日も近いということで、一つは「うな重」を注文!
そしてもう一つは、初めて聞く料理で気になった「豚ぷら定食」をいただきました。

「豚ぷら」の正体は、“豚肉の唐揚げ”のことだそうです。
ありそうでなかなか見たことがない料理ですが、もともとは九州出身のお客様に教えられて出すようになったのだとか。

そして、その日の仕入れ状況などに合わせて文字通り毎日メニューが違うという「日替わり弁当」は、常連さんが多く、価格がリーズナブルなこともあって一番人気のランチメニューなのだそうです。

・うな重(上) → 3200円
・豚ぷら定食 → 900円
・日替わり弁当 → 670円

分厚いかば焼きがごはんの上にドドンッと乗せられたうな重。

クセになる甘ダレが染み込み、香ばしく焼かれたホクホクの身は、白米が進んで仕方ありません!  しっかりと精がつき、この酷暑も乗り切れそうです。

初めて食べる豚ぷらは、鶏の唐揚げ同様に表面はサクッとしていて中はジューシー。

ただ、もちろん、口内に広がるのは豚肉の旨味です! カリカリの部分もあったりして、それがまたなんとも病みつきになります。

ホットスナック感覚の美味しさで、もちろんごはんのおかずにも合いますが、絶対にビールのお供に最適! コロナ禍でなければ昼から一杯やってしまうところでした。

日替わり弁当のメニューは、豚の串カツやゴーヤチャンプルーなど盛りだくさん。

このレベルのクオリティ、ボリュームで毎日違うものが670円というお手頃価格で食べられるのであれば、常連さんのなかで一番人気だというのも納得ですね。

そして、今回、お客様からすごく好評だという名物の「たまご焼き」もご厚意で添えていただきました。
甘く味付けされつつ、たまごの味が濃厚でとても美味しかったです。

お吸い物やほかの小鉢も充実しており、大満足な昼食になりました。

末永く続いて欲しい歴史ある老舗料理屋

今回は、夏真っ盛りの時期にうかがいましたが、冬になれば店を代表する“ふぐ料理”の提供も始まります。次回はぜひとも、ふぐを味わってみたいところです。

また、店内には所々に手形など、相撲関連の品が飾られていました。

大相撲の本場所が今の両国国技館で行なわれるようになったのは1984年。それまでは、蔵前の国技館で大相撲が開催されていたため、力士の方がよく訪れていたのだそうです。

現在では周辺にあった相撲部屋も全てなくなり、相撲関係のお客を見ることもなくなりました。

今まさに猛威を振るうコロナ禍も然り、長い歴史があるだけ移ろいゆくものも多いですが、それでも変わらず、この鳥越の地で愛され続ける大新。

皆さんもぜひ一度食べに行ってみてはいかがでしょう。

【大新】
〒111-0054
東京都台東区鳥越2丁目1―4
営業時間:11:30~14:00、18:00~21:00
※コロナ禍の影響で営業時間に変動あり

定休日:日曜・祝日(夜は予約制のため不定休)
お問い合わせ:03-3862-0035

文:小林
撮影:伊勢 新九朗