浅草橋に居を構える株式会社アングルが贈る、さまざまなアイデアグッズ……「d+」というブランドを徹底的に取材してきました!
メスティンで炊き上げる極上のお米を堪能したばかりではなく、d+の魅力をとことん深堀りいたします。
目次
試行錯誤の末に誕生した
d+の高機能メスティン!!
日本人の〝お米愛〟は世界一だ。
近ごろのお米の高騰化にともなう狂騒めいた出来事を見ると、「主食であるからそれは当然」と理屈で考える以上に、その愛(あるいは欲望)の深さをしみじみと感じてしまう。
読者の皆さんも胸に手を当ててみたら、こんな心の声が聞こえては来ないだろうか。
「いつだって美味しいお米を食べたい」
あるいは……。
「美味しくて炊けたお米を食べたい」
というような。
筆者はそんな〝声〟が聞こえて来る1人だ。いや、そんな〝声〟に悩まされて来た1人と言った方が良いかも知れない。実は常々、「我が家の安い炊飯器ではどうもお米が美味しく炊けない!」ことに不満を覚えていたからだ。……この度、筆者の悩みはめでたく解決しそうだ。
今回の取材で出会ったアイテムで炊く、極上の白飯によって。
そう、メスティンである。
こちらは株式会社アングルが贈る、d+(ディープラス)というブランドのメスティンだ。
キャンプ愛好家にとってはお馴染みのアイテムだが、改めて説明しよう。
メスティンとはアルミ製の飯盒のこと。四角形の弁当箱型のフォルムをしており、炊飯の他、パスタなどの麺類やアヒージョ、シュウマイをはじめとする蒸し料理も作れる調理器具だ。この万能性ゆえにキャンプ以外でも一人住まいの方の自炊にも重宝されており、〝メスティンレシピ〟を謳う料理レシピ本も数多く発売されている。
ただし、d+のメスティンはそんじょそこらの同製品とはワケが違う。まずは下記の画像をご覧いただきたい。
これらは代表の堀氏が開発に当たって試した他社製品のメスティンおよびご飯釜だ。「世界でもっともメスティンを使った男」だと自負する堀氏だが、研究の賜物として、d+のメスティンは他社製品と比較しても使い勝手の良いハイエンドな出来栄えとなっている。
例えばコーティングと底角。
d+のメスティンは全体にマーブルコートが施されている。見た目の高級感もさることながら、料理が焦げ付きにくく汚れ弾きも良い。加えて従来のメスティンは角に米粒が溜まりやすいというデメリットがあったが、その点も底角をゆるやかな角度に設計することで解消。つけ置き洗いをする手間が不要で消毒用アルコールでさっと拭くだけで良い。そのためキャンプの時のみならず、水が貴重となる災害時においても活躍できる。
次にハンドル。メスティンを使った者ならわかると思うが、安い作りのものほどハンドルがガタガタと安定せず、何とも心もとない。一方でd+のメスティンのハンドルは安定感抜群のロック式。「調理中にハンドルがすぽんと抜けたらどうしよう……」と一度でも心に過ったことがあるメスティン愛好者は是非ともお試しあれ。ちなみにd+のメスティンの蓋はフライパン代わりに使っても有用だ。
キャンプギアは実践あるのみ。今回は堀氏がこのメスティンを使って、カレーライスを調理してくれると言う。時刻はちょうど昼飯時。はしたないことを承知で告白するが、ご馳走していただけると聞いた時、思わず筆者は心の中でガッツポーズをしてしまった。
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まだまだある!
d+印のアイデアグッズに脱帽!

無論、現在のd+のメスティンが誕生するまでにも数多くの試作品があった。上記の写真の写るのはそのひとつ。ちなみに蓋の穴は温度が均一になっているか確かめるために開けられたもの。このような試行錯誤の結果、d+のメスティンは極厚の1.5ミリ(他社製品は基本的に0.8ミリから1ミリほど)。全体に熱が回り、炊きムラ・焼きムラが起きにくくなっている。

調理の準備が着々と進められていく。
さて、d+の製品は何もメスティンだけではない。調理の過程で我々編集部は堀氏が開発した数々のアイデアグッズを目の当たりにする。
例えばこちらの製品は自動炊飯シリンダー(※)。
右手に持つアルコールストーブに装着することで火力を抑え、メスティンで炊飯ができるまで燃焼時間を上げることができる優れもので、現在まで4万個を売り上げているヒット作だ。
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※こちらの製品は正確に言うと、同じく株式会社アングルが手掛けるIMCOというブランドのもの。今回の記事ではd+とIMCOの製品を併せて紹介して行く。
さらにこちらは電池要らずのゼンマイ式アナログタイマー。裏側にはマグネットが装着されており冷蔵庫などにもしっかりとくっ付く。ち、小さくてかわいい!
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おっと。〝くっ付く〟と言えばこちらの紹介を忘れていた。実はd+のメスティンは吸盤タイプの着脱式リッドノブ。単品でも販売されており、現在はベージュ・グリーン・グレー・ブラックの4色を展開中!
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さて突然だが、ここでひとつ皆さんに問おう。
災害時に使う燃料と聞くと何を想像するだろうか。
1分ほどシンキングタイムを設けるので、次に進む前にちょっと考えてみてほしい。シンキングタイム開始!!

ちなみにこちらが今回ご馳走になったカレーのルーである。熟考の末、伊勢代表はラムキーマカレー、筆者は濃厚ビーフカレー選んだ。濃厚バターチキンカレーも美味しそうだな~。
シンキングタイム終了! ……いかがだろう。大半の方が固形燃料かガスボンベを想像したのではないだろうか。従来は、それで良い。が、燃料の長持ち具合や安全性を考えるとそれらは最適解とは言い難い面がある。実は今回の取材で、我々編集部はその〝答え〟を見つけてしまったかも知れないのである。下記の製品だ。
ジエチレングリコール燃料である。……と言っても写真を見ただけではその凄味は伝わらないだろう。解説していこう。
ジエチレングリコール燃料の優れたところは主にふたつある。ひとつは継続して使えること。固形燃料などが一度着火したら使い切るしかない一方で、余った分はまた次に使い回せるのだ。
もうひとつは圧倒的な安全性である。ジエチレングリコール燃料の引火点は152度。濃度60パーセントのアルコール消毒液の引火点が26度程度だと考えると相当高く、直に火を近付けてもあるいはこぼしてしまっても大丈夫。過去には保管庫のガスボンベが火災に見舞われて大惨事になったことがある。その点を踏まえるとジエチレングリコール燃料は平時のみならず、災害でライフラインが不安定な時など思わぬ二次災害のリスクを軽減できる代物だと言えるだろう。
とはいえ、「引火点が高いということは炊事に使う時もすぐに火が付かないんじゃないの?」と疑問に思う方もいるだろう。……心配ご無用。それを解消するのがd+のアイデアグッズ。ジエチレンシリンダーという製品があれば、簡単に着火できてしまうのだ。論より証拠。調理の準備がてら実験してみよう。
向かって左が通常のアルコール燃料。右がジエチレングリコール燃料である。まずは通常のアルコール燃料に着火。
チャッカマンで簡単に火が付いた。一方のジエチレングリコール燃料はしばらく当ててもなかなか火が付かない。
では、ここでジエチレンシリンダーを設置。写真だとわかりにくいが右の受け皿の中にあるもうひと回り小さい皿がそれだ。すると……。
つ、付いた~!!
飛びっきりの奇術を見た時のような驚きが我々編集部に広がる。……奇術。いや、これは科学の力の結晶だ。種を明かそう。実はジエチレンシリンダーの中はメッシュになっており、毛細管現象(液体や気体が細い管や隙間を浸透して行くこと)によって瞬間的に火が付くのだ。……と言ってもド文系の我々編集部はその理屈をいまいち理解できなかったが、それでも子どもの頃の理科の実感で味わった感動を久方ぶりに味わった。
ちなみにジエチレングリコール燃料は注射器を使って量を加減することで、好みに応じた燃焼時間に調整可能。ちなみに写真に写る注射器、ポケットストーブもd+の製品だ。そして……。
それらを収めたd+おうちキャンプ炊飯セット※である。
さて、ここまでの記事の中で〝災害時〟というキーワードが散見するようにd+の製品は防災グッズとしても有用。防災グッズといえば購入してもついどこかにしまい込みがちだが、その点、おうちキャンプ炊飯セットは目に付きやすい本棚に収納可能。有事の際にも見つけやすい。
※ピンク色の方がフルセットタイプ。黒色の方がスタンダートタイム。ジエチレングリコール燃料はフルセットタイプにしか入ってないのでご注意あれ。ただフルセットタイプにもスタンダートタイムにも、今回の記事では紹介しきれなかったd+の便利グッズが入っている。
もちろん筆者が指摘するまでもなく、上記のセットはすでに防災グッズとして注目されている。昨年、d+おうちキャンプ炊飯セット(フルセット)は「第98回東京インターナショナルギフトショー 秋2024」にて実施された防災グッズ大賞展にてアイデア賞を受賞。防災グッズのセットは巷に多くあるが、日本人の生命線と言える炊飯に特化した数少ないこのアイテム、この機会にあなたの家の本棚にも迎え入れてはいかがだろうか。
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コロナ禍で芽生えた
〝人の役に立つもの作り〟への意志
……だんだんと美味しい匂いがして来た。
カレーの完成にはまだ時間がかかる。その間、我々編集部は堀氏にキャンプ・防災グッズを作るようになったきっかけを聞いてみることにした。
堀氏が代表を務める株式会社アングルはそもそもノベルティ・オリジナルグッズを主に開発する会社。今期で26期を迎える。
ペットボトルに付くフィギアなど多い時には一千万個を作っていたが、未だに記憶に新しいコロナパンデミックによって株式会社アングル、そして堀氏は転機を迎えることになる。
「当社で作るグッズはイベントやキャンペーンで配布するもの。ところがコロナでそれどころではなくなってしまいました。会社の状況も大変でしたが、未知のウイルスで世界全体の先行きが見えない中、「真剣に人の役に立つもの作りをしたい」と思うようになったんです」
そんな折、堀氏はたまたまYouTubeでメスティンの動画を視聴する。

堀氏は昔からもの作りが大好き。少年時代にはオーディオ機器を自作したことも。また、株式会社アングルの業務としても、某映像制作会社の自然環境を映した映像の未使用部分からヒーリングビデオを制作したこともあるとか。そのような着眼点・企画力の高さがd+の製品開発にも活かされていることは言うまでもない。
「そのメスティンの動画が何だか気になって。実際に購入して使ってみました。すると思っていた以上にお米が美味しく炊けたんです。ただ使い勝手がどうにも悪い。「それならば世界で1番使い勝手の良いメスティンを作ろう!」と思い今に至ります」
堀氏のもの作り精神に火が付いたのだ。その後の飽くなき試行錯誤についてはすでに記事で触れた通り。結果、〝キャンプ〟という枠組みを超えた優れた防災グッズの数々が誕生した。
一方でコロナ禍の株式会社アングルの窮状は我々の想像が及ばないほど大変なものだったと思われる。そんな中で「誰かの役に立ちたい」という思いを強めた堀氏の人としての強さ(優しさ)に筆者は感服した。
そういえば、以前取材した「Studio 門出」の門出さんも、コロナ禍でハンドメイド作家の方々と出会ったことが、浅草橋での写真館のオープンにつながった。堀氏や門出氏のような方々がいたことは、巷に浸透する〝コロナの記憶〟の前では見過ごされがちだ。そんなコロナ禍の小さなサイドストーリーを取材して行くことも、我々「浅草橋を歩く。」の役割なのかも知れない。
いよいよ完成!!
極上のおうちキャンプ飯でお腹いっぱいに
さあ、お米が炊きあがった。
ご開帳~!!
湯気立つ炊き立てほやほやの白米が眩しい。まずはカレーをかけずに一口。
う、美味い!!!!!!!!!!!!!!
この瞬間、筆者は自宅用にd+のメスティンを購入することを決意した。
近ごろは災害時にアルファ化米という急速乾燥させて長期保存に特化したお米が使われがちだが、味では断然にこっちに軍配が上がる!
そして、カレーを……。実食中、我々編集部は「やばい!」「すげえ!」という言葉を繰り返した。食レポとしてはどうかとも思う。だが、空腹時に本当に美味しいものを食べた時、人は言葉を弄することを忘れるものだ。
実は筆者、この日は朝食もまとめに食べていなかった。空っぽの胃を温かく満たすカレーライスに、大げさではなく涙がこみ上げて来た。
さらに鮭と味噌汁! 堀氏のおもてなしにすっかり甘えてしまう我々編集部。
締めのカフェオレとチョコレートを平らげた時には、何ともいえない多幸感に包まれていた。おうちキャンプ最高!!
お腹も満たされたところで、今回の取材もこれにて閉幕。
取材の最後に堀氏が述べた「このメスティンで作ったご飯を食べて災害時にも元気になってほしい」と語っていたことが印象に残っている。いわずもがな災害の時は体力の消耗が激しい。そんな時、間に合わせの非常食ではなくホカホカのメスティン料理を食べることができたら、それだけで勇気づけられるかも知れない。
現在、堀氏はd+のメスティンについて知ってもらうために、料理教室などさまざまなイベントを企画中。また、今回紹介した各種グッズも下記のオンラインストアで購入できるので、気になった方は是非ともご覧あれ。
浅草橋を歩く。のYouTubeでは炊き上げからの実食動画も公開中。記事とともにお召し上がりください。
株式会社アングル
住所:東京都台東区浅草橋1-6-1 浅草橋ビル3F
お問い合わせ:03-5833-5166
E-mail:info@an-gle.co.jp
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗