【おとなの社会科見学・第4回(前半)】 “書く”ことを楽しむアイテム満載の文房具店カキモリ

ものづくりの街・浅草橋〜蔵前エリアには、大人がワクワクするお店がたくさん。「浅草橋を歩く」では、気になるお店をとことん深堀する企画“おとなの社会科見学”を連載しています。

第4回目は、鳥越神社のほど近く、三筋町にお店を構える大人気文具店「カキモリ」。今回は『“書く”ことを楽しむ』ためのアイテム満載、大人が心躍る文房具ワールドにお邪魔して、その魅力に迫ってきました。

2017年にリニューアル!浅草橋〜蔵前エリアを代表する大人気文具店

『カキモリ』は、浅草橋駅から徒歩約12分、蔵前から約8分の場所にあります。

以前は国際通り沿いにありましたが、2017年11月、現在の場所にリニューアルオープン。広さは2.5倍に、アイテムはより充実したラインナップとなり、さらに快適な時間を過ごせるようになりました。

広々としたフロアは、木のぬくもりとほのかな紙の香りが漂う温かみあふれる空間。
アイテムがゆとりある配置をなされていて、ゆったりとお買い物を楽しむことができます。

お店を案内してくれたのは、代表取締役の広瀬さん(写真中央)、そしてスタッフの中谷(なかや)さん(写真右)と山﨑さん(写真左)。

お店の歴史、文房具の魅力、そして“書く”ことの楽しさを教えてもらいます。

『書くって、たのしい』――さまざまなアイデアでメッセージを発信

広瀬さんが『カキモリ』をオープンしたのは2010年。実家が文具店だったことから、他業種の仕事を数年経たのちに文具業界へと転職しました。

しかし、デジタル化が進み、ネット販売が主流となりつつあった時代。広瀬さんは、これまでの店舗経営を続けていくことは難しいと考えました。

そして誕生したのが、こだわり抜いた商品だけを集めた文具店『カキモリ』。店名には、たくさんの“書く人(カキモリ)”に楽しんでもらいたい――という思いが込められています。

「“書く”という行為は、きっとこれからもなくなることはない」という広瀬さんの強い思いから生まれた「手作りノート」や「オリジナルインク」は、いまやお店の代名詞ともいえるアイテム。(オーダーインクが作成可能なインクスタンドは別店舗にて営業)

文房具に愛着を持つことで、“書く”ことはより一層楽しくなる。その思いは文房具愛好者や近隣の人々から徐々に伝わり、今では海外からの観光客もおとずれる大人気店となりました。

書くって、たのしい」。『カキモリ』が大切にしているこのテーマに沿って、お店にはたくさんのアイデアが散りばめられています。

店頭に並ぶレンタサイクルもそのひとつ。町にくり出し、道中のカフェで日記や手紙を書く。そんな楽しみ方を提案すべく、サービスを開始したのだそうです。

とってもキュートなオリジナルマップもいただけるので、地図を片手にお出かけするものおすすめですよ♪

店内にはワークショップスペースも。今後は“書く”ことに特化したイベントを開催予定なのだとか

「最近はデジタル化が進み、特に若い人は“書く”ということからどんどん遠ざかっています。けれど、ハンドメイドや手書きに興味を持っている人もたくさんいる。そんな人たちが気軽に参加して“書く”という行為の楽しさを知ってもらえるようなワークショップができたら、と思っています」(広瀬さん)

もうひとつ、『カキモリ』が大切にしているものがあります。それが、ものづくりの町ならではの伝統ある職人技。

近隣の職人さんがひとつひとつ手作りした商品を取り扱う、職人さんのメッセージを写真とともに店内に飾る……大切な職人技を守り、次世代に継承すべく、さまざまな取り組みを行なっているのも『カキモリ』の大きな魅力のひとつなのです。

あなた好みのペンがきっと見つかる、多種多様なラインナップ

それではさっそく、店内を散策。

まず、目に留まったのは、壁一面にずらりと並んだ万年筆。各ブランドから厳選した豊富なラインナップは、見ているだけで圧巻の品揃えです。

しかも、ほぼすべてのペンが試し書き可能。あなたにぴったりの一本を、心ゆくまで吟味してください。

「カキモリオリジナルガラスペン」は職人さんによるハンドメイド。一本一本、丁寧につくられています。

繊細かつ上品なガラスペンは、まるでアクセサリーのような美しさ。手に取るたびに心が踊ります。

万年筆は使い方が難しそう……という声から生まれたのが、オリジナル商品「ローラーボールペン」。

美しい色合いの万年筆インクを、ボールペンのように気軽に楽しめる画期的な商品です。

あまりの使いやすさに、取材陣はビックリ!「このペンの素晴らしさをもっと広めたい!」と、後日、プレゼント用に購入しに行ったほどです。

万年筆インクの独特の風合いは、文字の個性をより引き立ててくれます。

お気に入りのペンとインクで、ぜひ、あなたにしか書けないメッセージを綴ってみてください。

プレゼントにもおすすめ♪ オリジナル商品やレアアイテムが勢揃い

ほかにも、店内には魅力あふれるアイテムがいっぱい。文房具が大好きだと話してくれた中谷さんに案内してもらいながら、おすすめの商品をくまなくチェックしました

封筒、便せん、さらには中紙までカスタムできるオリジナルレターアイテムは、贈る人にあわせてレターセットを組み合わせることができる優れもの。しかも、便せんには名入れを施すこともできるのです。

どんな紙に書いて、どんな封筒に入れよう……手紙を“書く”ことが、いつもより楽しくなるかもしれませんね。

お店に並ぶアイテムは、デザイン性だけでなく機能性も重視したものばかり。

ここでしか手に入らない海外のグリーティングカード、子どもが安心して使える食物由来のクレヨン、職人さんが手がけるオリジナルアイテム……自宅用はもちろん、プレゼントにも喜ばれる逸品が揃っていました。

中谷さんイチオシの「ペーパーリーフ」は、桜の葉脈を型押しした大小さまざまなサイズのカードの詰め合わせ。

「手みやげに一言添えたり、小さなカードに香水をプッシュして手紙に同封したり、用途によってサイズを使い分けることができてとっても便利なんです。そして可愛い!」(中谷さん)

取材中、中谷さんをはじめ、スタッフの皆さんがお店のアイテムをとても大切にしていることが伝わりました。

皆さんが大切にしているものを、心を込めて提供してくれている。そんな空間でのお買い物は、心があたたかくなる充実した時間でした。

「あの人の字はきたない。だから好き」

「お父さんは、いつも無口だけど手紙ではおしゃべり」

これは『カキモリ』のHPに掲載されているメッセージです。なんて素敵な言葉なのだろうと、心を強く打たれました。

デジタル化が進む世界で“書く”ことは少しずつ特別な行為になりつつあります。

だからこそ、自分の頭の中を整理する、大切な人に思いを伝える、絵や文字を“書く”という行為自体を楽しむ。そんな時間が生活の中にあると、ほんの少し、気持ちにゆとりが生まれるかもしれません。

次回予告

後半では『カキモリ』の代名詞でもあるノートづくりに挑戦! 世界に一冊だけのノートを作ります。

▼スポット情報
店名:カキモリ
公式ページはこちら

取材・文:牧 五百音
撮影:伊勢 新九朗