来る人みんなが革に恋する革の手縫い教室「gigi fabbrica」【大人の社会科見学】

レザークラフトは、一度ハマると抜け出せない。

そんな噂を耳にしたことがあります。一度手を出すとアレもコレもと探究心が刺激されるだけでなく、自分好みの一品を作る喜びを覚えると、値段的にも既製品に対する関心が薄れるとか……。

そんな革への愛をゆっくりと教えてくれるのが、浅草橋に店を構えて11年になる「gigi fabbrica(ジジファブリカ)」です。

手縫いのレザークラフト教室をおこなっており、生徒さんのなかには10年選手もゾロゾロいるとか。愛すべき革の沼にハマると、どんな幸せがあるのか、代表の佐々木健友さんと生徒さんたちに教えていただきました。

浅草橋で拡大移転を続けて現在の地へ

gigi fabbricaは、元々浅草橋の革問屋の一角でクラフト教室を開いたのがスタートでした。その後、生徒さんが増え、移転を繰り返し7年前から現在の場所で営業しています。

「浅草橋にいるのは、元々ここで教室を始めたというのも理由ですが、やっぱり材料を買うとなると、このエリアが1番便利だからです。生徒さんも教室に行きながら、帰りに好きな革製品を買うなんてことを楽しんでます」(佐々木さん)

gigi fabbricaは、週4日、1日3コマ(1コマ3時間)の教室を開催。通うには月2回と3回コースがあり、月毎に希望の参加日を予約するシステムです。何より特徴的なのが、「カリキュラムが一切ない」というオーダーメイドな教室スタイルにあります。

「うちの教室では、初心者とか中級者といったカリキュラムがありません。本来スタート時は簡単なものから制作し、革に慣れていくのがセオリーではあります。でも、せっかく習いに行くのなら、欲しい物を作れなきゃ意味がありません。過去にはいきなり複雑な作りのバッグを作りたいと、教室の門を叩いてくれた方がいました。その方にはまず練習課題をやってもらい、その後、半年くらいかけて一緒にカバンを完成させていましたね」

半年もかけて作りたいものができたら、きっと達成感も愛着も凄そうです。
このように、gigi fabbricaでは、何をどのくらいかけて作るかは全て自由。長く通う生徒さんのなかには、平行して2,3個の作品作りに取り掛かっており、飽きたら別の制作を……と気の向くままに手を動かしている方もいるそうです。

また、gigi fabbricaの強みは、作りたいものはほぼ何でもトライできること。生徒さんのなかには、写真を見せて先生に型紙を起こしてもらい、制作をスタートさせるなんてオーダーメイドらしいやり取りをしている方もいらっしゃいました。

革愛は止まらない! アットホームな教室の魅力を聞いてみた

取材時には、4名の生徒さんが和気あいあい、楽しそうに作業をしていました。道具入れやカバン、扇子ケースにミニカバンなど、それぞれ作るものも経過もバラバラです。

「元々はビーズを買いに来て、パンフレットを見つけて興味を持ち、教室に通うようになりました」

こう話す生徒さんの一人は、すでに通って11年になるとか。過去には時計のベルトに毛皮の帽子、友達へのプレゼントにポーチなども制作したことがあったそう。

「うちのメインは手縫いです。ミシンよりも準備が楽で取り掛かりやすいというメリットもありますが、本当の高級品は全て手縫いだからというのもあります。手縫いはミシンでは制作できない領域までいけるので、制作はほとんど手縫いでおこなってもらっています」(佐々木さん)

こうした革への愛と手厚いカバーにより、多くの生徒さんが革と教室の虜となり、10年選手が続出しているようです。

レザークラフトするための道具を入れる袋もお手製

「やりたい物、作りたい物が無限に出てくるんです!」

「まさか作れると思ってなかったから、感動が凄くある!」

「ここに来て作品を見ていると、自分も作りたくなってくるんです」

生徒たちをクラフトワークの沼にどんどん鎮めるgigi fabbrica。

gigi fabbricaさんと浅草橋を歩く。をつないでくれた、生徒のひとり、関本さん。こんなに楽しい空間があることを浅草橋の人に知ってほしいという想いでDMを送ってくれました

とにかく生徒さんたちがパワフルで楽しそう!

作業しながら楽しい会話を繰り広げる生徒さんと佐々木さん。

今まで浅草橋で様々な取材をしてきましたが、こんなにもにぎやかで盛り上がった取材は初でした(笑)。

そんなテンションにもかかわらず、作業する手を止めないのだから、皆さん、本当にレザークラフトがお好きなのですね。

この日来ていた生徒さんたちによる、ここで作ったという作品を並べてもらいました。

どれもこれもお店で売っていてもおかしくなさそうなクオリティ!

それこそ、佐々木さんは、電車などで見知らぬ人がもっている革小物についつい目がいってしまい、「これ、今度つくってみよう」というように、気になったものは何でもつくってしまうんだとか。生徒さんたちもブランドもののバックを見て、「これと似たようなのを手作りしたい!」という発想になるんだそう。もはや、職人ですね!

編集長・伊勢がもっていたサコッシュ的なものにも目をつけ、「見せて見せて!」といろいろと分析していました。その後、つくりましたか?(笑)

一緒にレザークラフトしてみませんか?

ちなみに、店名の「gigi」の由来は、1958年のアメリカ映画「恋の手ほどき(アメリカ名称はgigi)」から来ているとか。

あなたも革に恋してみませんか?

【店舗情報】
gigi fabbrica
〒111-0053
東京都台東区浅草橋5-16-3 遠山ビル1F
03-5829-8276
10:00~19:00
※スクール来店時には事前予約必要

公式ページ

文:おおしまりえ
写真:伊勢 新九朗