編集プロダクションの下に書店が誕生!ブックライターが営む「古書みつけ 浅草橋」

〝なんでも有る〟ことで有名な浅草橋に、これまで無かったものがひとつだけありました。それが〝本屋〟。しかしやっと、とうとう、ついに、浅草橋に〝本屋〟が誕生したのです!

ということで、今回は2021年10月8日にオープンしたばかりの『古書みつけ 浅草橋』を最速徹底レポート♪ 知って得する情報や小ネタを、あますことなくとことんご紹介いたします!

見附、見つけ、実つけ――店名に込められた3つの意味/古書みつけ

ご紹介するスポットがあるのは、柳橋ほど近くの路地裏。新装開店したとは思えないほど街の雰囲気に馴染んでいるこちらのお店が「古書みつけ 浅草橋」です。

あたたかみ溢れる古民家風の扉を開けると、壁には本がぎっしり! 店内には、懐かしいのに新しい、そんな不思議な空気が流れています。

店のオーナーは、書籍や雑誌の編集プロダクション「株式会社伊勢出版」の伊勢さん。そして、店長は、ブックライターとして活躍する堀田さん(※2023年3月より日替わり店主制へと移行)。つまり同店は、本を知り尽くした2人が手がける、本好きによる本好きのための〝本のワンダーランド〟なのです。

「浅草橋に事務所を構えて7年。本に携わる仕事をしているのに、この街には書店がないということに気づき、驚愕しました。そんな中、本を介して縁が深まった堀田さんと、〝だったら自分たちで書店をつくればいいじゃないか!〟と盛り上がり、そこからはとんとん拍子で話が進んだんです。浅草橋は、島崎藤村や池波正太郎、森鴎外、永井荷風といった錚々たる文人たちに愛された街でもあります。〝文学の街〟に本屋がないのはあまりに寂しいこと。そこで、たくさんの名作と人が繋がるプラットフォームを作ろうということになったのです」(伊勢さん)

本に対する熱い気持ちから生まれた「古書みつけ 浅草橋」。店名には、3つの願いが込められています。

「ひとつ目は、『お気に入りの本を〝見つけ〟て欲しい』という思い。2つ目は、この地がかつて「浅草見附(関所)」という名であったことから、『以前の〝見附〟のように、多くの人が行き交う場所にしたい』という思い。そして、3つ目は、『本を読んで得た知識や発見をご自身に〝実つけ〟していただきたい』という思いです」(伊勢さん)

店内中央には、お店を象徴する〝みつけの木〟がそびえ立っています。

本が実る木――本を愛するお店ならではの、とても素敵なモチーフです。

お店に常駐している店長の堀田さんは、先日、自著『気がつけば警備員になっていた。』(笠倉出版社)を出版したばかりの現役ブックライター。カウンター奥を事務所として活用し、店番とご自身の原稿執筆を兼任しています。

「基本的にはカウンター奥で仕事をしているため、『店頭でハタキを持ってお客様を監視する』という昔スタイルの接客はいたしません(笑)。加えて、僕は読書に夢中になっているので、積極的にお客様に話しかけることもほぼありません。なので、私の存在を気にする事なく、心ゆくまで本と向き合っていただけたらうれしいです」(堀田さん)

そんな〝NO接客〟を筆頭に、お店には独自のルールが。自由気ままでゆるりとした経営スタイルがあるからこそ、訪れた人もラフな気持ちで気兼ねなく本を吟味することができるのです(※現在は、むしろ接客OKのお店に変化しています)。

「本を購入したい」「質問したいことがある」。そんな方は、カウンターに設置されている小窓を優しくノックしてください(笑)。という小窓は洒落ですが、カウンターにある呼び鈴を鳴らしていただければ応じてくれるとのことでした。

堀田さんは寡黙だけどとても優しい方。程よい距離感を保ちながら、あたたかみ溢れる接客をしてくれます。

古今東西、あらゆるジャンルの厳選書籍がラインナップ!

こじんまりとした空間ながら、ラインナップの充実ぶりは折り紙付き。中でもおすすめは、浅草橋・柳橋界隈を舞台とした作品のコーナーです。

厳選作品には手書きのポップが添えられているので、本を購入する際の参考にしてみてくださいね♪

「古本屋って、要らなくなった本が集まった場所でしょ?」

そんな概念を覆すのが同店の魅力。「ラインナップが偏らないように」と堀田さん自ら買い付けを行ない、古今東西の名作をバランスよく陳列しているのです。

中でも日本文学&外国語文学のコーナーは、堀田さんのセンスが光る充実の品揃え。「読んでみたい!」と思える本が必ず見つかることをお約束します。

店長のオススメコーナーも必見。このエリアは他の棚と大きく趣旨が異なり、堀田さんの独断と偏見によって築き上げられた珠玉の一角となっています。

「最近特に感銘を受けた本、今だからこそ読んで欲しい本などをその時の気分に応じて並べています。ラインナップは時期によって大きく異なることもあるので、来店の折々にちらりと見てもらえたらありがたいですね」(堀田さん)

文筆家の堀田さんならではの表現豊かなポップにも注目してみてくださいね♪

オススメコーナーの真下には堀田さん自身が執筆した著作も並んでいます。

お気に入りの本とあわせて、ぜひこちらの作品も購入してみては? どの本も、満足度◎な内容となっております!

個人的に興味を惹かれたのは、マニアックな本が並ぶ骨太な本コーナー。
妖怪、箱根駅伝、男色……普通の書店では見受けられないようなジャンルの本がずらりと揃った光景は圧巻の一言。店内でもひときわ異彩を放つコーナーが誕生していました。

レシピ本、雑学やエッセイ、自己啓発本も〝痒いところに手が届く〟ような絶妙なセレクト!

こんなにバラエティ豊かな本を取り揃えている古書店は、なかなかお目にかかれません。

「巻数が歯抜けになっていて揃わない……」という〝古本屋あるある〟も、同店では心配する必要なし。
「自分もそういう経験を何度も味わっているので〝漫画は全巻揃えておこう〟と思っています。漫画コーナーは小規模ではありますが、人気作もお得に買えるお宝エリアでもありますよ」(堀田さん)
見逃しがちな漫画コーナーも、チェックをお忘れなく!

「老若男女、どんな人にも楽しんでほしい」という思いから、児童書のコーナーにも力を注いだそう。
「世代性別問わずたくさんの人に楽しんでもらえるお店づくり。それが我々の一番大切にしているテーマでもあります。家族連れで、友人とともに、1人でじっくり。その人ならではの過ごし方を満喫してもらえたらありがたいですね」(伊勢さん)

店名にちなみ、棚以外の場所にも本が隠れているという遊び心も♡
宝探しのような感覚で本を〝みつけ〟ることができる魅惑のお店、それが『古書みつけ』なのです。

『古書みつけ』と当サイト『浅草橋を歩く。』の深〜い関係とは?

お店のロゴを見て「この文字の雰囲気、どこかで見たような……」と思った方はいませんか?
そんなあなたは立派な「浅草橋を歩く。」通。そうなのです。

実は、「古書みつけ 浅草橋」は、当サイト「浅草橋を歩く。」がプロデュースするお店。つまり、当サイトとは兄弟的な関係にあるのです。

「おかげさまで『浅草橋を歩く。』は大変好評を得ており、このサイト運営を通じて浅草橋の方々と交流する機会も増えました。今回『古書みつけ 浅草橋』をオープンすることができたのも、街の人々の多大なるご協力あってこそ。お店がオープンして、ますます〝浅草橋を盛り上げたい!〟という気持ちが強くなりました」(伊勢さん)

おまけ&次回予告

2021年10月8日、記念すべきオープン日。店内外にはたくさんの色鮮やかなお祝いの花が飾られ、当サイトや浅草橋にゆかりのある人々が集いました。

しかもなんと、オープン直前に東京新聞にて大々的に特集記事が掲載されるといううれしい出来事も! この記事を見てお店を訪れる人も多く、想像以上の賑わいとなったのです。

《「古書みつけ 浅草橋」は、浅草橋にある古民家カフェ「葉もれ日」の山口斗夢さん(向かって左)が空間デザインを担当。創作秘話はまたいずれ》

初日は、お店づくりに携わった〝浅草橋のアベンジャーズ〟も大集結! オープンに至るまでの思い出話に花を咲かせていました……。

【古書みつけ 浅草橋】
〒111-0052
台東区柳橋1-6-10 1階

élab Instagram:https://www.instagram.com/koshomitsuke.asakusabashi/

古書みつけ 浅草橋 HP

撮影/平柳 智子・牧 五百音
取材・文/牧 五百音