寿司好きな海外からの観光客さん必見!4か国を使いこなす女将がいる浅草橋「すし栄」の全貌

「カウンターでお寿司を食べたいけどハードルが高そう」「おひとり様でお寿司はちょっと緊張する」。

そんな方にオススメしたいのが、今回ご紹介する『すし栄』さんです。

「どんなメニューが楽しめるの?」「オススメは?」などなど、皆さんが気になる疑問をおうかがいしつつ、おいしいお寿司ランチを満喫してきました!

地元の人のみならず、海外の観光客も多く訪れる人気のお寿司屋さん

やってきたのは、浅草橋駅から徒歩約5分の場所にある『すし栄』さん。

実は同店、地元の人々からは、「ピンク寿司」という愛称で親しまれているお店なのです。
その理由はというと……。

お店が掲げるこのピンク色の看板!

この看板を目印にお店を目指せば、道に迷うこともありません♪

店内はカウンター数席と6人テーブルのみのこじんまりとした空間。アットホームで温かみあふれる雰囲気が心地よく、ついつい長居してしまいそうな快適な空間作りがなされています。

お店を切り盛りしているのは、柔和な笑みが印象的な大将の会田得二(あいだ・とくじ)さんと、明るく気さくな女将さんのマリアさん。

マリアさんはフィリピン出身で、タガログ語・英語・スペイン語・イタリア語の4ヶ国語を話せるのだとか! わーお、クワドリンガル!! そのため、海外から訪れる観光客の方も安心して食事を楽しむことができるのです。

「うちは地元の常連さんはもちろんのこと、若い世代の方や海外から来てくださる方も多いんです。訪れた方皆さんにお寿司を楽しんで欲しいという思いもあり、メニュー表にも英語を記載しています。妻が通訳として活躍してくれていることもとても心強いですね」(会田さん)

創業52年目。目指すは100年続く老舗の名店。

「お店は2022年で創業52年目になりました。私が10歳の時に父がこの場所で『すし栄』という看板を掲げたのが始まりです。私自身は高校卒業と共にこの場所で職人としての修行をはじめ、以来40年以上ずっとこの場所で寿司を握り続けています」(会田さん)

会田さんのお父様は、『銀座すし栄』で23年働いたのちに暖簾分けをしてもらい、浅草橋にお店を構えたそうです。

『銀座すし栄』は、昭和天皇の還暦祝いで寿司を振る舞ったこともある名店中の名店。還暦祝賀会では、会田さんのお父様もお寿司を振る舞ったそうです。

「私の得二という名前は『銀座すし栄』の名誉会長に命名してもらいました。変わった漢字を用いているので、初めて会った人にもすぐ覚えてもらえるんですよ(笑)」(会田さん)

『銀座すし栄』は、多くの寿司職人を輩出し、多いときは10店舗以上の『すし栄』が東京にあったといいます。しかし、後継者不足によりほとんどのお店が閉店。今ではこの名前は、浅草橋の『すし栄』と、『深川すし栄』から暖簾分けされた浅草の『すし栄』のみが残っているそうです。〝浅草橋〟と〝浅草〟に同じ名前のお寿司屋さんがあるため、ときどき荷物が間違えて配送されてしまうこともあるのだとか(笑)。

「後継者不足は、この業界にとっては深刻な問題ですよね。でも、中学生になる息子が〝将来は俺が継ぐ!〟と言ってくれているんです。このお店が100年続くとうれしいな、とは思っていますね」(会田さん)

時代の変化に合わせて、お店も少しずつアップグレードしています。

例えばこの6人がけのテーブルは、鍋を楽しめるように中央にIHコンロを設置。こちらのテーブルが想像以上に好評で、こじんまりしている分距離感が縮まり、会話が盛り上がるのだそう。

お客様の希望に合わせ、仕入れ内容を変えるのも同店の魅力のひとつ。

「常連さんからは〝明日行くから、貝類いっぱい用意しといてね〟なんて連絡が来るんです。貝好きな方がたくさんいらっしゃるので、多い時は貝だけで10種類以上あることもありますね。中には貝しか注文しないという常連さんもいらっしゃいますよ」(会田さん)

実は私も大の貝好き……♡ 「今度お店を訪れるときは、貝オンリーでお寿司を楽しみたい!」などと一人妄想を膨らませていました。

こだわりいくらや、おまけのいなり寿司も必食!

今回オーダーしたのは、1、2位の人気を争う「上にぎり」と「上ちらし」(ともに2,200円※値段は変動する可能性があります)。

同店はランチ・ディナーなどの区別がなく、いつ訪れても同価格でお寿司を味わうことができます。そして、同店は基本的に通し営業(状況により異なることもあります)。そのため、「ランチタイムに間に合わない」「中途半端な時間にお腹が空いてしまった」というときの使い勝手も◎なのです。

ご覧ください、この美しいサシが入ったトロ。ネタはほぼ毎日豊洲から送り届けられている超新鮮なものばかり。

一口噛み締めるごとに、口福を存分に感じることができます。

「いくらは、お店によって全然味が変わってしまうので、必ずご贔屓のお店から仕入れるようにしています。塩いくらに近い味付けで、ねっとり感といくら本来の旨みが感じられるとっておきのネタですよ」(会田さん)

「上ちらし」は、カラフルかつゴージャスなビジュアルで、眺めているだけでうっとりしてしまいます♡

酢飯の下には、直前に炙って香ばしさを出したアナゴが敷き詰められています。 握りとは異なる魅力が、このお重にぎっしり詰まっていますよ♪

そして、我々取材陣が感動したのがこのあら汁。

一見すると普通のお味噌汁のように見えますが、生姜がたっぷり入っていて、一口啜るごとに体がポカポカ温まってゆくのです。

このあら汁は、女将さんが考案したオリジナルの味付け。七味を入れると美味しさが一層アップしますよ♪

そしてそして、お店名物の「いなり寿司」が登場。

アテにもデザートがわりにもなるようにと、シャリをあえて少なめにしたいなり寿司は、黒糖のコク深い甘みが際立つ至極の逸品。ぜひぜひぜひ召し上がっていただきたいオススメの一品です。

美味しいお寿司をつまんでいると、美味しいお酒を飲みたくなってしまうのが世の常。

「オススメは奈良の酒蔵から直送してもらっている『切辛(せっから)』という超辛口の日本酒です。キリッとした味わいで、飲んだ人はみんな『切辛(せっから)』の虜になってしまうんですよ」(会田さん)

今度は尽くし&切辛を心ゆくまで堪能しようと心に誓いました……!

カウンター寿司デビュー店としてもオススメ

「カウンターありのお寿司屋さんが敷居が高い」というイメージを払拭する、柔和な雰囲気に包まれた『すし栄』。同店なら、肩肘を張ることなく、ラフな気持ちで食事を楽しむことができます。

ひとりでじっくりお寿司を味わうもよし、仲間と集い賑やかな宴を開催するもよし。あなたならではの〝すし栄タイム〟を過ごして、エネルギーチャージ&リフレッシュしてくださいね♪

店舗情報

「すし栄」
住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋3-12-5
営業時間:水曜~土曜11:30~22:30、日曜11:00~21:00
※コロナ禍の影響で営業時間に変動あり
※席数に限りがあるため、できるだけご予約をお願いしています。
定休日:月曜・火曜
お問い合わせ:03-3851-3031

撮影/伊勢 新九朗
取材・文/牧 五百音