土曜限定の幻の名店! 下町生まれの東京土産・焼豚専門店「松屋」/鳥越おかず横丁

東京下町・鳥越おかず横丁に毎週土曜日しか営業しない焼豚専門店がある、しかもかなりの人気店。

これは行かねば!

雨の土曜日、まだ町が静かな午前中に向かったのは浅草橋駅徒歩8分の「松屋」。

一体どんなお店かな? ちゃんと購入できる?

「ゆーこあらがおかず横丁を歩く。」スタートです。

まるでベーカリーのような和モダンな外観の焼豚専門店「松屋」

おかず横丁を入ってすぐの焼豚専門店「松屋」
和モダンな店構えは、おしゃれなベーカリーのようです。
昭和4年に精肉店としてスタートした松屋、昭和の時代なら町の商店街に一軒はあったような「お肉屋さん」だったのでしょう。

看板や照明もすてき。

松屋は7年前に業務形態を変え、焼豚専門店として再スタートしました。
3代目の店主は、出版社で広告の仕事をしていたこともあり、センスの良い店構えに納得です。

雨でも次々にお客さんがやってきます。

「松屋」の営業は毎週土曜日のみ、1回に50~70個ほどしか作らない焼豚を求めて来るお客さんで開店前から行列ができています。

通常1時間半から2時間ほどで売り切れますが、雨の日は客足が遅いので実は狙い目なのです。

種類は5つ、松屋の焼豚(やきぶた)を買う

店を切り盛りするのは店主の遠藤さん。調理から販売、PRまでお店の運営をお一人でされています。

タイル貼りの壁、回らない古いファン、冷蔵庫のなごりのシルバーの扉、オールディーズジャズが流れるノスタルジックな雰囲気の店内。
イメージする焼豚屋さんと違った、すごく粋。

東京下町ときくとちゃきちゃきなお店を想像しちゃうけど、遠藤さんは一人一人丁寧な接客をされるので、初めてでも安心してお買い物ができます。

松屋の店頭に並ぶのは、メインの焼豚、うずらの煮卵、そして瓶詰商品といたってシンプル。

松屋の焼き豚は5種類、
・東京X焼豚(東京 プレミアムポークTOKYO X)
・謹製焼豚(群馬県産 上州せせらぎポーク)
・黒豚(鹿児島県産 渡邊純粋黒豚)
・塩豚(長野県産 信州八ヶ岳山麓豚)
・鰹豚(静岡県産 浜名湖そだち)

部位は肩ロースバラ、モモの3種類。
サイズ(重さ)で大きなものから順に千貫、松、竹、梅、小梅、小粒に分けられています。

3日間かけて作られる松屋の焼豚。チャーシューではなく「やきぶた」
炊き立てのごはんにめちゃめちゃ合う、東京らしいすっきりとした辛口の味付けです。

賞味期限は冷蔵庫で1週間。
焼豚は毎日食べるものでもないし、1週間で食べきってまた買いに来てほしい。そんな気持ちで作られています。
東京土産としてはもちろん、地元の人の日々のおかずとして愛されているお店です。

松屋は瓶詰めの商品にも注目。
特に東京X焼豚味噌漬けは、同じくおかず横丁の名店「郡司味噌漬物店」が調合した特別な味噌を使用。
おかず横丁愛が溢れ、こちらも東京のお土産に最適です。

シベリア抑留経験から誕生!天然醸造の美味しさを伝える名店「郡司味噌漬物店」

東京土産として一躍有名になった焼豚専門店「松屋」

昭和の時代には賑わっていたおかず横丁。遠藤さんも商店街中を駆け回っていた小学生でした。
遠藤さんが3代目として松屋を継ぐとき、重要だったのが「自分一人でできること」
肉の職人でもある精肉店はできない、昭和の頃から人気だったコロッケやメンチカツなどの揚げ物は手間がかかって大変。
そぎ落とし辿り着いたのが、揚げ物と並ぶ人気商品だった焼豚。そして週1日営業のスタイル。

やるからには風穴を開けたい。おかず横丁にはなかった東京土産にできるもの、ローストビーフにも負けないものをオレが作る。
戦前から作られていたおじいさんのレシピの調味料を見直したり、焼き加減を変えるなど、日々アップデートをし、今の味に着地。

「こだわりすぎ、やりすぎじゃないか」という周囲からの心配の声をよそに、再スタートを切るとすぐ雑誌ブルータスの人気企画「手土産グランプリ特集号」でお声が掛かり、煮豚・焼豚部門で、いきなり準グランプリに選ばれます。
実力に運が味方し、あっという間に全国に名前が知れ渡る名店に。

これは、自信を持って「東京土産」として手土産にできる一品です。

商品を並べる器には遠藤さんの思い出を感じられるストーリーも。
国技館が蔵前にあったころ、おかず横丁周辺にも相撲部屋があり、朝潮、高見山、小錦など、当時の人気力士を見かけることも多かったそうです。
この辺りを歩くお相撲さんの姿は、遠藤さんの子ども時代の思い出。
精肉店のころは「蔵前国技館」へ肉をおさめていたこともあり、器は相撲にまつわるものを選んだそうです。

東京の味、松屋の焼豚を食べよう

それではいよいよ実食タイム。
今回は謹製焼豚(バラ)、黒豚(モモ)、うずらの煮卵、東京X江戸味噌漬を購入しました。

炊き立ての白いごはんに焼豚、煮卵、青菜、白髪ねぎを盛り付ければ松屋の焼豚丼の出来上がり。
タレは別でついているので好きな分だけかけます。

豚バラの脂のうまさ、肩ロースの食べごたえ、東京らしいキリっとした味付けのタレ(タレごはんもおいしい)。
そして、豊橋うずらの煮卵の美味しいこと!これはシェアしたくなる幸せな一皿です。

そして東京X江戸味噌漬。どんな味かな?
豚の脂で白く固まっているところもスプーンですくい取って……。

ほかほかのごはんにオン!
豚の脂が溶けだしご飯にからまり、豚のあまさとさっぱり系味噌味でごはんがススム。
味噌感が強すぎず、シンプルなのにとてもおいしい!!
これもお裾分けしたくなる東京の味。

浅草鳥越おかず横丁の基本情報

遠藤さんありがとうございました!

下町から誕生した東京土産。
その美味しさだけでなく歴史や雰囲気を感じられるのはおかず横丁の実店舗ならでは。次の土曜日は鳥越おかず横丁「松屋」に、焼豚を買いに行こう、東京を味わってみよう。

撮影・文:UKOARA

浅草鳥越おかず横丁 「松屋」公式サイト

住所:東京都台東区鳥越1丁目1−6
営業日:毎週土曜日
営業時間:11時~売切れ次第終了