浅草橋は屋形船の町!「船宿 三浦屋」お花見クルーズ全行程完全レポート

贅沢な 人の涼みや 柳橋

歌人・正岡子規が「柳橋」を詠んだ俳句のひとつで、花柳界として栄えた神田川沿いの町は、芸者遊びや舟遊びなど、当時は〝贅沢〟な町として知られていた。

とはいえ、今はすでに花柳界は衰退し、かつての料亭は廃業、ほとんどその名残りが見られなくなってしまったが、〝舟遊び〟だけは健在で、「浅草橋」から「柳橋」にかけては、今でも川岸に屋形船が所狭しと並んでいる。

柳橋から浅草橋を望む。

そして、現在では、その光景こそが、この町を象徴する景観のひとつともいえるだろう。

町のレビューサイトとして歩いてきた「浅草橋を歩く。」としては、いつか屋形船レポートしたいと願っていたのだが、屋形船は基本は〝貸し切り〟、10人以上の仲間を集めなければならなかったため、なかなか取材を実行することができずにいた。

ところ……、編集部で去年つくった町のガイドブック「浅草橋FANBOOK」のスペシャルパスポートの適用期間が終わり、その打ち上げという名目ならば、人が集まるのではないかと妙案ひらめき、適用期間の終わる2022年3月31日の翌日、4月1日エイプリルフールに乗船してみることにしたわけなのである。

いざ、行かん、浅草橋お花見クルーズ!

バシが誇る屋形船「舟宿 三浦屋」御案内

浅草橋の舟宿の中でも、ひときわド派手な外装を誇るのが「舟宿 三浦屋」で、創業は江戸時代にさかのぼる。

そもそも、「浅草橋」は、浅草寺への門前橋としても有名で、江戸郭内の日本橋と浅草をつなぐ橋として、たいへんな賑わいを見せていた。

隅田川の対岸には、江戸随一の歓楽街といわれた両国があり、そこから吉原方面への渡し船が行き交う、水運の要衝でもあった。そういった背景があり、昭和初期までは、川沿いに料亭や舟宿が軒を連ね、今では考えられないが、とてつもなく華やかな場所だったのだ。

三浦屋は、そんな時代から連綿と家業をつなぎ、歴史の生き証人として、現代にも江戸の粋を伝え続けている。

と、ついつい老舗店は歴史レポートになりがちなところがあるけれど、三浦屋の歴史や舟宿の歴史については、別取材にて深堀りしていこうと考えているので、今回は、とにかく、屋形船とは何なのか? どんなふうに楽しめるのか? について、全行程をたっぷりとっぷりフォトレビュー!

四の五の言わないんで、一緒に乗ったつもりで楽しんでみておくれー。

まずは、三浦屋前に集合。幹事は受付を済ませ、全員が集合するまでは、階段の下あたりで待つのが基本となっている。

とにかく乗り遅れは厳禁! 時間になると出航してしまうので、集合時間を少々サバ読んでおくことをオススメする。

※けれども貸し切りの場合は、「出航してもよいでしょうか?」という確認があったので、多少は融通はきくかと。

「浅草橋」から見た三浦屋。ド派手な屋根の色が、ほかの屋形船に比べて目立つうえに、浅草橋から最も近い位置にあるので利用しやすい。初めて浅草橋に降り立つ人にとってみたら、このくらいわかりやすい場所だとありがたい。

お花見の季節は、〝花筏(はないかだ)〟が見られる。水面を流れる桜吹雪を眺めているだけで、乗船前から得した気分になる。本記事はYouTube連動企画となるので、花筏の様子を動画でもお楽しみいただきたい↓

舟側から見た景観。右手に見えるのが「浅草橋」。

本日の舟がこちら「大江戸丸」。ここまでくると、もはや、ワクワクが止まらない。

乗船前にも〝花筏〟が……。舟着き場の下が、桜の花びらが吹き溜まる場所となっていた。

最大搭載人員108名! そんな大所帯で乗ったらさぞかしド派手な宴会になるんだろうなぁ。

いざ、舟の中へ……!

ということで、お次は、舟の中の様子を、お客さんがいない状態で見ていこう。

まずは、メインルーム。テーブルは掘りごたつ式になっているため、リラックスして乗船できる。和室での正座がキツい方にとっては嬉しい配慮だろう。老若男女問わず楽しめるつくりはありがたい。

舟に入ると、すでに前菜がセッティングされている。乗った直後に乾杯も十分可能なスタイルだ。

ご時世柄、マスクのサービスも。乗船記念にもなる!

トイレへと向かう扉が金色! このあたりのド派手さが、三浦屋の真骨頂か!?

まるでホストクラブのトイレ!? へと誘われるような、なんとも言えないゴージャスな気持ちにさせられる。戦国武将にたとえるならば、派手好きな秀吉テイストか!

いよいよ出発! 本日のコースは?

今回の参加者21人が全員時間通りに集合し、定刻通りに出発!

まずは、三浦屋の案内人である木戸愛さんから、乗船のお約束などがアナウンスされる。事前に彼女と打ち合わせをすることで、舟でめぐるコースなども相談することができた。なんでも明るく楽しくお答えくださるので、何かあればいつでも気軽に声をかけてみよう。

今回は、まずはお台場方面へ向かい、「佃島」の桜狩りへ……。その後、再び浅草橋を通過しつつ、東京スカイツリーの下にてお花見、一時間ほど停泊するというコースとなった。

舟がスタートすると、ライトアップされた様々な橋を眺めることができる。こちらは、永代橋。この永代橋のプチ版が柳橋だって知っていました?

永代橋を通過すると、視界が開け、佃島近辺へとたどり着く。ほかの屋形船などとも遭遇し、舟遊び気分が盛り上がってくる。

佃島の桜並木。高層マンションとライトアップされた桜の迫力よ。このあたりでしばし停泊して、記念撮影。

まだ夜風がしみる時節だったけれども、非日常的な空間に寒さも吹き飛ぶ大人たち。

いったん、クルーズ宴会へと戻ってから小一時間舟を走らせて今度は、逆サイド、東京スカイツリーに到着!

イメージとしては、ここにたどり着くまでの間に、酒宴は盛り上がり、皆いい感じにできあがっているタイミング。

本来ならば、もっとライトアップがされているそうなのだが、コロナ禍ということで、光の祭典は自粛ということらしい。とはいえ、十分、テンションあがる美しさ。

スカイツリーと桜な構図もいい酒の肴になりますなー。※とはいえ、舟の屋根上での飲食は禁止です。

スカイツリー下でもしばし停泊したのち、舟は浅草橋へと戻っていく。

三浦屋内に飾られている花見の季節の情緒ある一枚。昼間のお花見クルーズも風流!

気になるお食事コースも完全解説!

「花より団子」ではないけれど、やはり、気になってしまうのがお食事。「屋形船の食事は美味しくない……」というレポートもあったりするので、実際はどうなのか!? いざ、一緒に「頂きます」!

着席すると、お通しよろしくつきだされているのがこちらの2皿。お新香と枝豆が同じ皿に盛られていることに驚くも、まずは、これらを肴に乾杯!

舟宿で舟盛りとは粋なもんで、新鮮なお刺身に舌鼓。個人的にはコリコリなサザエが〝ツボ〟だった。

アルコールはセルフサービスにて。生ビールも完備されており、しっかり飲み放題なのでご安心を。ちなみに、今回の乗船では、生ビール率が高く、これでもかという勢いでひたすら生ビールを飲み続けている席もあった。

さぁ、お出ましの天婦羅! 舟の中に厨房があるため、ちゃぁんと揚げたてが出てくるのがうれしい。

衣がうるさくなく、サクサクおよびフワッと感も味わえるため、さわやかに美味しく頂ける。

食後には杏仁豆腐。ひと口サイズで甘さも控えめ。これを食べ終わるころには船旅もいよいよクライマックス……。

参加した町の仲間たちとも大盛り上がり!

今宵は、総勢20人が集い、お花見クルーズを楽しんだ。皆、浅草橋にゆかりのある人たちで、多くの人が「浅草橋にいながらはじめて体験した!」とのこと。

記事を書きながら改めて感じたが、屋形船ツアーは、町の人たちと交流するにはもってこい! ということで、最後は、乗船してくれた仲間たちをご紹介!!

編集部員・増田(向かって右手)がついたテーブルには、当サイトではお馴染みの浅草橋勝手に親善大使・清水百恵氏と浅草橋在住のヨーコさん、さらには、古民家カフェ「葉もれ日」の斗夢さん(向かって左手前)、惜しくも閉店してしまった「81BURGER」の有賀さん(向かって左奥)が着座。

チキンカレーの辛さがいい!古民家カフェ「Coffee&Wood葉もれ日」の和モダン空間の心地よさ。

【閉店】看板犬&猫がお出迎え!「81BURGER」の自家製バーガーはやみつき必至!!

浅草橋に舞い降りたダンス教室「One Place Dance Studio」でレッスン体験♪

※ダンスレッスン記事は、清水百恵氏が体験レポート!

こちらは、浅草橋を歩く。編集部員でもあり、浅草橋FANBOOKの営業活動のお手伝いもしてくださった、はらぺこばんびさん(中央)、と、その彼氏さん(向かって左)、さらには浅草橋の吞兵衛・かおりさん(向かって右)。酒豪チームはとにかく呑みまくり!

「好いとぉとよぉ」って言われたい!博多美人が出迎える浅草橋「すっぴん」の魔力

※ばんびさんのレポート記事がこちら↑

お次は、浅草橋のシェアハウス「リトルジャパン」代表の柚木さん(向かって右手前)、整体院「アネシス整体院」の宮下さん(向かって左手前/伊勢がいつも施術してもらっています)、人気スポット「東京タロット美術館」の佐藤さん(向かって右中央)、「居食屋 大樹」の料理人である多佳子さん(向かって左奥)、そして、老舗扇子店「松根屋」の大将・慶太さん(向かって右奥)。浅草橋を代表するお店の面々が集ったテーブル!

人々が集うホステルにしてカフェ&バー「Little Japan」は泊まるを超えた体験ができる場所

【施術者独立につき移転】水新菜館もエルペケーニャも!地元民が足繁く通う「整体 de UP」改め「エス・テラス整体院」

日本初!所有コレクション約3000種類!!浅草橋にある「東京タロット美術館」でタロットの魅力を存分に堪能してきました。

コロナ禍にランチ営業開始!浅草橋の人気酒場「居食屋 大樹」の定食のパンチ力

日用品から伝統工芸品へ――時代によって変化する商品の魅力を、世界へ発信する。「松根屋」代表取締役・山本慶大さんインタビュー

最後は、毎月「MJガレージマーケット」という青空市を開催している「キッチンカーシト丸」の渡邊さん&中西さん(手前のおふたり)、我らが浅草橋憩いスポット「居食屋 大樹」の店長・馬場ちゃん(向かって左中央)、編集部とご近所の「リベルタストーキョー」の羽角さん&山田さん(向かって左奥&右奥)。ここも酒豪たちが集い、ビールにワインにと大盛り上がり!

ご近所に笑顔を!浅草橋周辺の人気店も並ぶ「MJガレージマーケット」に遊びに行こう。

社長手作りの“ふわとろオムライス”がワンコインで! 大人気の「キッチンカー シト丸」ランチに舌鼓♪

浅草橋 大樹|このテンションが心地いい!串焼きに手作り壺プリンまで楽しめる居食屋へ行ってきました

浅草橋「LIBERTAS TOKYO」で気軽に楽しむアクセサリー作り(リベルタストーキョー)

【体験者募集!】浅草橋で楽しむ身近な〝ものづくり体験〟を「LIBERTAS TOKYO(リベルタストーキョー)」(AD)

よ、若大将! と言いたくなるくらい、着流し姿が似合う馬場氏。大樹は、浅草橋ッコたちが夜な夜な集まる、最強の呑み処。

この日は金曜の稼ぎどきにもかかわらず、店長職をさしおいて乗船してくれた。ので、二次会はもちろん、大樹!!

さぁ、宴もたけなわ……、ここでそんな馬場氏からご提案が。「百恵さんの唄が聞きたい!」

そう、先ほど紹介した、浅草橋勝手に親善大使の清水百恵氏は、浅草橋を歩く。編集部員でもありつつ、「新浅草橋音頭」なる浅草橋盆踊りソングの歌い手でもあることから、歌唱もお得意! ということ、屋形船といえばカラオケも! 試しておかなければレビュー記事としてはウソになるだろう、と意気込み、一曲披露して頂くことにした。

「リクエストは伊勢さんに」とのことだったので、僭越ながら、「木綿のハンカチーフ」をご提案させていただいた。大好きなんです、はい。

会場は大盛り上がり! やっぱり、歌っていいね!!

※ちなみに、中央でカメラをまわしているのが、伊勢出版の動画をほとんど担当してくれている高橋。

百恵さんの「新浅草橋音頭」の生唄は、チンドン屋さんとのコラボ動画にあるので、ぜひ、ご視聴あれ↓

はい。さてもさても、かなり長きにわたってレポートしてきた浅草橋の屋形船レビュー。

ついつい原稿が長くなりすぎな伊勢がおくってきたわけだが、この日の一部始終をおさめた動画にかんしては、後日、YouTubeにてアップ予定なので、あがった際にはココにリンクする予定だ。

後半は何やら浅草橋の身内ネタ感がすごかったけれど、兎にも角にも、屋形船の全貌についてもしっかりとお届けすることができたとは思っているので、ぜひ、乗船する前の参考されたし。ほかのお店にも乗って比べてみたりもしたいが、それはまた、仲間を集めてから……。一緒に乗りたい、屋形船で何か企画したいという方いたら、ご連絡をー。

浅草橋で屋形船を楽しむ!

文・撮影/伊勢 新九朗

店舗情報

「船宿 三浦屋」

住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋1丁目1−10
営業時間:(月~日)10:00~23:00
※コロナ禍の影響で営業時間に変動あり

定休日:不定休
お問い合わせ:03-3866-4041

船宿 三浦屋