我らが浅草橋含めた鳥越神社周辺のエリアは、「鳥越祭り」から年が明けるといっても過言ではないほどに、鳥越祭りを中心にまわっている地域でもあります。祭りのために1年を一生懸命生きる、それがこの町の人たちから感じられる江戸っ子的な魂! 編集部も毎年楽しみにしています。
2年前から、鳥越神社の撮影腕章をつけて祭りの様子に密着してきましたが、今年は、御神輿YouTuberとして活躍されている「KKチャンネル」とコラボして、KK氏が宮出しから宮入りまで、ひたすらにライブ配信を続けました! 12時間以上にわたって撮影を続けたKK氏の偉大なる功績をご報告する意味でも、各町会から町会へと渡りめぐった神輿の行方を、町会ごとの映像で追いかけます。
それでは、いざ……ワッショイ!!!!!!!!
※以下、2つの動画は当日のライブ配信動画です。
また、本祭の前日におこなわれる「南部六ヶ町連合渡御」も撮影してきたので、まずは前夜祭をお楽しみください。
以下からは、各町ごとに全行程を追いかけた映像になります。ぜひ、町会ごとにお楽しみください!
昭和100年、宮元、魂の担ぎ!喧嘩に怒号と激突する誇り
宮元の次は浅三だ!編集部が仲良しな「葉もれ日」店主も参加!
柳二の千貫神輿渡御は毎年熱い!
浅草橋が緑に染まる!柳壹南の千貫神輿渡御
浅草橋の細い路地を進む! 柳北の千貫神輿渡御
やっぱり危険だ二長町! 激しくカッコイイ千貫神輿渡御
危険!小島二西にこの道は狭すぎた!大迫力の千貫神輿渡御!
鳥越壱も同好会担ぎも熱く見ごたえある千貫神輿渡御!
喧嘩もあった今年も激しい小島一の本社神輿渡御
西三筋!見惚れてしまう同好会担ぎの千貫神輿渡御!
こんな狭いところを曲がるの!? 激しすぎた三筋南の千貫神輿渡御
以上、ここまでが午前の部でした。以下からは午後の部へと突入します!
どのハチマキカラーも素晴らしい! 三桂の千貫神輿渡御!
町を水色に染めた! 東三筋の千貫神輿渡御
ここもけっこうもめた! 三筋北の千貫神輿渡御
下谷を思い出す光景の菊屋橋の千貫神輿渡御
浅草通りは圧巻! 喧嘩もあった北松山の千貫神輿渡御
美しく華麗な担ぎ! 南松山の千貫神輿渡御
栄久千貫神輿渡御!二度も喧嘩に!完全ノーカット
永住も喧嘩!これぞ江戸っ子の激しい本社神輿渡御
とにかく綺麗で素晴らしき! 七軒町の本社神輿渡御
ここも担ぎ手が多く大盛り上がり! 阿部川の千貫神輿渡御
大トリは小島二東!揉めた揉めたの喧嘩渡御!
鳥越祭は夜が凄い。宮入に向かう高張提灯が綺麗で一度はこの宮入の光景を見た事ある方もいると思います。宮入道中では宮元町会の激しすぎる熱い渡御が有名で、宮入道中=宮元のイメージが強いです。ですが、大ベテランの睦や、氏子23町会から集められた200名以上の推進員の担ぎも素晴らしいです。宮入道中の開始から宮入までを一本にまとめてるので是非ご覧ください。
睦・十八ヶ町推進の宮入道中(木遣り有)
浅草橋を歩く。とのコラボでライブ配信から各町の神輿渡御映像まで、すべての撮影をしたのが、KKちゃんねるのKK氏です。YouTubeの概要欄のコメントを最後に記しておきます。
「鳥越祭の撮影は今年で6度目です。コロナ禍以降は宮入も撮影しておりました。そして今年は、宮出しから宮入まで全て撮影する事を目標にしましたが無事達成する事ができました。多くの担ぎ手や関係者の皆様にご協力頂き支えて頂いたおかげでやりとげられ感謝しております。」
ということで、最後に、「鳥越祭本社神輿渡御の全記録 宮出しから宮入まで22町会と睦・推進の映像」をどうぞ↓
また来年もトライする!?
鳥越祭り 2025年6月7日・8日
撮影:KKちゃんねる
鳥越神社 東京都台東区鳥越2丁目4−1
はじめまして! 浅草橋にある古本屋「古書みつけ」のほぼほぼ店主、ゆかちゃんまんと申します。
実は浅草橋での勤務歴は15年を越えるのですが、小心者のためお店の開拓がほとんどできていないことに気付いた今日このごろ……。
浅草橋駅利用の度に目にしていた「食力 浅草橋店」もずっと気になっているお店の1つでした。
そんな食力へ「浅草橋を歩く。」編集部が取材に行くと聞き、私も編集部員見習いとして取材に同行して美味しい時間を過ごしてきました!

JR浅草橋駅西口を出ると、目の前に光る「食力」の文字。
気取らない店構えで、仕事帰りについつい吸い込まれてしまう居酒屋さんです。

「食力 浅草橋店」は、住吉に店を構える「お食事処 食力」の支店として2022年2月28日にオープン。
店外から見るよりも奥行きのある店内で席数も多く、おひとり様からグループまでたくさんのお客さんで賑わっていました。

浅草橋西口近辺の高架下にはさまざまな飲食店がずらり。そのなかでも気軽に暖簾をくぐりたくなる雰囲気が出ているのが食力
さて、まずはお酒がないと始まりません。(※大事なお仕事です)
「やっぱりメガでしょ!」ってことで筆者はメガ角ハイボールをチョイス。

でっかい!!! このサイズで550円(税抜)は有り難すぎます。

食力さんの魅力のひとつが豊富なメニュー。
メインになりそうな肉料理や焼魚、サクッと飲みに嬉しい一品料理や揚げ物、ガッツリ食べたい時や締めにぴったりなお食事etc……。シーンや好みに合わせて選べるラインナップとなっています。
人気のメニューは「食力自慢のオムライス」!
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とても魅力的だったのですが、こちらはランチでもいただけるということで後日にお預け。
この日はお酒に合いそうなメニューを欲望のままに注文しました。


取材日はかなり冷え込んでいたので、まずは温かいおでんと揚げ出し豆腐。
おでんの具材は全て80円(税抜)で、好きなものを好きな分だけたのめるスタイル。
自家製のお出汁は濃い目に見えますが、優しいお味で冷えた体にじんわり染み渡ります。
揚げ出し豆腐はおひとり様にもちょうどいいサイズ感。あったまる〜。


続いては腹ペコを鎮めるべく揚げ物を。食力名物メンチカツと牛タンのからあげ!
牛タンのからあげって珍しくないですか? スパイシーな衣をまとった牛タンがあとを引きます。
メンチカツはお店の方におすすめしていただいたのですが、これが本当に美味しい!!
肉感が強くみっちりとしたメンチカツで、食べ応えも抜群。
こりゃハイボールが止まらん……。

なんだか茶色い料理が続いてしまったので映え要員のめんたいチーズオムレツ!
ピンクとイエローが鮮やかでかわいい♡
明太子×チーズ×卵の間違いない組み合わせ。たっぷりのめんたいクリームが嬉しい。


お腹が膨れてきたので、ちびちびいける肴として鯵のなめろうと梅水晶をチョイス。
定番料理の安心感。これは日本酒が欲しくなる……!(取材なので我慢)

「最後に甘い物が欲しいなぁ」とメニューを眺めていたら、ありました! おさつ蜂蜜バター!!!
つやつやのさつまいもが別腹を刺激します。
さつまいもと蜂蜜の甘さにバターの塩味が加わったあまじょっぱい味わい。
デザートにもお酒のあてにもなる万能選手でした!

店員さんが描いたという謎のキャラがかわいい
これだけ堪能しても、まだまだ気になるメニューが盛り沢山の食力。
是非、その日の気分で自由に組み合わせて楽しんでいただきたいです!

なんと、近くにはカラオケバー食力も! 食力で盛り上がった後に「食力はしご」もできちゃいます♪
浅草橋の夜を満喫してください!
食力 浅草橋店
住所:東京都台東区浅草橋1-11-5 1F
営業時間:11:00〜23:30
定休日:日曜日
文/ゆかちゃんまん(古書みつけほぼほぼ店主)
写真/伊勢新九朗
浅草橋に居を構える株式会社アングルが贈る、さまざまなアイデアグッズ……「d+」というブランドを徹底的に取材してきました!
メスティンで炊き上げる極上のお米を堪能したばかりではなく、d+の魅力をとことん深堀りいたします。
日本人の〝お米愛〟は世界一だ。
近ごろのお米の高騰化にともなう狂騒めいた出来事を見ると、「主食であるからそれは当然」と理屈で考える以上に、その愛(あるいは欲望)の深さをしみじみと感じてしまう。
読者の皆さんも胸に手を当ててみたら、こんな心の声が聞こえては来ないだろうか。
「いつだって美味しいお米を食べたい」
あるいは……。
「美味しくて炊けたお米を食べたい」
というような。
筆者はそんな〝声〟が聞こえて来る1人だ。いや、そんな〝声〟に悩まされて来た1人と言った方が良いかも知れない。実は常々、「我が家の安い炊飯器ではどうもお米が美味しく炊けない!」ことに不満を覚えていたからだ。……この度、筆者の悩みはめでたく解決しそうだ。
今回の取材で出会ったアイテムで炊く、極上の白飯によって。

そう、メスティンである。
こちらは株式会社アングルが贈る、d+(ディープラス)というブランドのメスティンだ。
キャンプ愛好家にとってはお馴染みのアイテムだが、改めて説明しよう。
メスティンとはアルミ製の飯盒のこと。四角形の弁当箱型のフォルムをしており、炊飯の他、パスタなどの麺類やアヒージョ、シュウマイをはじめとする蒸し料理も作れる調理器具だ。この万能性ゆえにキャンプ以外でも一人住まいの方の自炊にも重宝されており、〝メスティンレシピ〟を謳う料理レシピ本も数多く発売されている。
ただし、d+のメスティンはそんじょそこらの同製品とはワケが違う。まずは下記の画像をご覧いただきたい。

これらは代表の堀氏が開発に当たって試した他社製品のメスティンおよびご飯釜だ。「世界でもっともメスティンを使った男」だと自負する堀氏だが、研究の賜物として、d+のメスティンは他社製品と比較しても使い勝手の良いハイエンドな出来栄えとなっている。


例えばコーティングと底角。
d+のメスティンは全体にマーブルコートが施されている。見た目の高級感もさることながら、料理が焦げ付きにくく汚れ弾きも良い。加えて従来のメスティンは角に米粒が溜まりやすいというデメリットがあったが、その点も底角をゆるやかな角度に設計することで解消。つけ置き洗いをする手間が不要で消毒用アルコールでさっと拭くだけで良い。そのためキャンプの時のみならず、水が貴重となる災害時においても活躍できる。

次にハンドル。メスティンを使った者ならわかると思うが、安い作りのものほどハンドルがガタガタと安定せず、何とも心もとない。一方でd+のメスティンのハンドルは安定感抜群のロック式。「調理中にハンドルがすぽんと抜けたらどうしよう……」と一度でも心に過ったことがあるメスティン愛好者は是非ともお試しあれ。ちなみにd+のメスティンの蓋はフライパン代わりに使っても有用だ。
キャンプギアは実践あるのみ。今回は堀氏がこのメスティンを使って、カレーライスを調理してくれると言う。時刻はちょうど昼飯時。はしたないことを承知で告白するが、ご馳走していただけると聞いた時、思わず筆者は心の中でガッツポーズをしてしまった。
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無論、現在のd+のメスティンが誕生するまでにも数多くの試作品があった。上記の写真の写るのはそのひとつ。ちなみに蓋の穴は温度が均一になっているか確かめるために開けられたもの。このような試行錯誤の結果、d+のメスティンは極厚の1.5ミリ(他社製品は基本的に0.8ミリから1ミリほど)。全体に熱が回り、炊きムラ・焼きムラが起きにくくなっている。

調理の準備が着々と進められていく。
さて、d+の製品は何もメスティンだけではない。調理の過程で我々編集部は堀氏が開発した数々のアイデアグッズを目の当たりにする。

例えばこちらの製品は自動炊飯シリンダー(※)。
右手に持つアルコールストーブに装着することで火力を抑え、メスティンで炊飯ができるまで燃焼時間を上げることができる優れもので、現在まで4万個を売り上げているヒット作だ。
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※こちらの製品は正確に言うと、同じく株式会社アングルが手掛けるIMCOというブランドのもの。今回の記事ではd+とIMCOの製品を併せて紹介して行く。

さらにこちらは電池要らずのゼンマイ式アナログタイマー。裏側にはマグネットが装着されており冷蔵庫などにもしっかりとくっ付く。ち、小さくてかわいい!
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おっと。〝くっ付く〟と言えばこちらの紹介を忘れていた。実はd+のメスティンは吸盤タイプの着脱式リッドノブ。単品でも販売されており、現在はベージュ・グリーン・グレー・ブラックの4色を展開中!
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さて突然だが、ここでひとつ皆さんに問おう。
災害時に使う燃料と聞くと何を想像するだろうか。
1分ほどシンキングタイムを設けるので、次に進む前にちょっと考えてみてほしい。シンキングタイム開始!!

ちなみにこちらが今回ご馳走になったカレーのルーである。熟考の末、伊勢代表はラムキーマカレー、筆者は濃厚ビーフカレー選んだ。濃厚バターチキンカレーも美味しそうだな~。
シンキングタイム終了! ……いかがだろう。大半の方が固形燃料かガスボンベを想像したのではないだろうか。従来は、それで良い。が、燃料の長持ち具合や安全性を考えるとそれらは最適解とは言い難い面がある。実は今回の取材で、我々編集部はその〝答え〟を見つけてしまったかも知れないのである。下記の製品だ。

ジエチレングリコール燃料である。……と言っても写真を見ただけではその凄味は伝わらないだろう。解説していこう。
ジエチレングリコール燃料の優れたところは主にふたつある。ひとつは継続して使えること。固形燃料などが一度着火したら使い切るしかない一方で、余った分はまた次に使い回せるのだ。
もうひとつは圧倒的な安全性である。ジエチレングリコール燃料の引火点は152度。濃度60パーセントのアルコール消毒液の引火点が26度程度だと考えると相当高く、直に火を近付けてもあるいはこぼしてしまっても大丈夫。過去には保管庫のガスボンベが火災に見舞われて大惨事になったことがある。その点を踏まえるとジエチレングリコール燃料は平時のみならず、災害でライフラインが不安定な時など思わぬ二次災害のリスクを軽減できる代物だと言えるだろう。
とはいえ、「引火点が高いということは炊事に使う時もすぐに火が付かないんじゃないの?」と疑問に思う方もいるだろう。……心配ご無用。それを解消するのがd+のアイデアグッズ。ジエチレンシリンダーという製品があれば、簡単に着火できてしまうのだ。論より証拠。調理の準備がてら実験してみよう。

向かって左が通常のアルコール燃料。右がジエチレングリコール燃料である。まずは通常のアルコール燃料に着火。

チャッカマンで簡単に火が付いた。一方のジエチレングリコール燃料はしばらく当ててもなかなか火が付かない。

では、ここでジエチレンシリンダーを設置。写真だとわかりにくいが右の受け皿の中にあるもうひと回り小さい皿がそれだ。すると……。

つ、付いた~!!
飛びっきりの奇術を見た時のような驚きが我々編集部に広がる。……奇術。いや、これは科学の力の結晶だ。種を明かそう。実はジエチレンシリンダーの中はメッシュになっており、毛細管現象(液体や気体が細い管や隙間を浸透して行くこと)によって瞬間的に火が付くのだ。……と言ってもド文系の我々編集部はその理屈をいまいち理解できなかったが、それでも子どもの頃の理科の実感で味わった感動を久方ぶりに味わった。

ちなみにジエチレングリコール燃料は注射器を使って量を加減することで、好みに応じた燃焼時間に調整可能。ちなみに写真に写る注射器、ポケットストーブもd+の製品だ。そして……。

それらを収めたd+おうちキャンプ炊飯セット※である。
さて、ここまでの記事の中で〝災害時〟というキーワードが散見するようにd+の製品は防災グッズとしても有用。防災グッズといえば購入してもついどこかにしまい込みがちだが、その点、おうちキャンプ炊飯セットは目に付きやすい本棚に収納可能。有事の際にも見つけやすい。
※ピンク色の方がフルセットタイプ。黒色の方がスタンダートタイム。ジエチレングリコール燃料はフルセットタイプにしか入ってないのでご注意あれ。ただフルセットタイプにもスタンダートタイムにも、今回の記事では紹介しきれなかったd+の便利グッズが入っている。

もちろん筆者が指摘するまでもなく、上記のセットはすでに防災グッズとして注目されている。昨年、d+おうちキャンプ炊飯セット(フルセット)は「第98回東京インターナショナルギフトショー 秋2024」にて実施された防災グッズ大賞展にてアイデア賞を受賞。防災グッズのセットは巷に多くあるが、日本人の生命線と言える炊飯に特化した数少ないこのアイテム、この機会にあなたの家の本棚にも迎え入れてはいかがだろうか。
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……だんだんと美味しい匂いがして来た。
カレーの完成にはまだ時間がかかる。その間、我々編集部は堀氏にキャンプ・防災グッズを作るようになったきっかけを聞いてみることにした。

堀氏が代表を務める株式会社アングルはそもそもノベルティ・オリジナルグッズを主に開発する会社。今期で26期を迎える。
ペットボトルに付くフィギアなど多い時には一千万個を作っていたが、未だに記憶に新しいコロナパンデミックによって株式会社アングル、そして堀氏は転機を迎えることになる。
「当社で作るグッズはイベントやキャンペーンで配布するもの。ところがコロナでそれどころではなくなってしまいました。会社の状況も大変でしたが、未知のウイルスで世界全体の先行きが見えない中、「真剣に人の役に立つもの作りをしたい」と思うようになったんです」
そんな折、堀氏はたまたまYouTubeでメスティンの動画を視聴する。

堀氏は昔からもの作りが大好き。少年時代にはオーディオ機器を自作したことも。また、株式会社アングルの業務としても、某映像制作会社の自然環境を映した映像の未使用部分からヒーリングビデオを制作したこともあるとか。そのような着眼点・企画力の高さがd+の製品開発にも活かされていることは言うまでもない。
「そのメスティンの動画が何だか気になって。実際に購入して使ってみました。すると思っていた以上にお米が美味しく炊けたんです。ただ使い勝手がどうにも悪い。「それならば世界で1番使い勝手の良いメスティンを作ろう!」と思い今に至ります」
堀氏のもの作り精神に火が付いたのだ。その後の飽くなき試行錯誤についてはすでに記事で触れた通り。結果、〝キャンプ〟という枠組みを超えた優れた防災グッズの数々が誕生した。
一方でコロナ禍の株式会社アングルの窮状は我々の想像が及ばないほど大変なものだったと思われる。そんな中で「誰かの役に立ちたい」という思いを強めた堀氏の人としての強さ(優しさ)に筆者は感服した。
そういえば、以前取材した「Studio 門出」の門出さんも、コロナ禍でハンドメイド作家の方々と出会ったことが、浅草橋での写真館のオープンにつながった。堀氏や門出氏のような方々がいたことは、巷に浸透する〝コロナの記憶〟の前では見過ごされがちだ。そんなコロナ禍の小さなサイドストーリーを取材して行くことも、我々「浅草橋を歩く。」の役割なのかも知れない。


さあ、お米が炊きあがった。

ご開帳~!!


湯気立つ炊き立てほやほやの白米が眩しい。まずはカレーをかけずに一口。
う、美味い!!!!!!!!!!!!!!
この瞬間、筆者は自宅用にd+のメスティンを購入することを決意した。
近ごろは災害時にアルファ化米という急速乾燥させて長期保存に特化したお米が使われがちだが、味では断然にこっちに軍配が上がる!

そして、カレーを……。実食中、我々編集部は「やばい!」「すげえ!」という言葉を繰り返した。食レポとしてはどうかとも思う。だが、空腹時に本当に美味しいものを食べた時、人は言葉を弄することを忘れるものだ。

実は筆者、この日は朝食もまとめに食べていなかった。空っぽの胃を温かく満たすカレーライスに、大げさではなく涙がこみ上げて来た。



さらに鮭と味噌汁! 堀氏のおもてなしにすっかり甘えてしまう我々編集部。
締めのカフェオレとチョコレートを平らげた時には、何ともいえない多幸感に包まれていた。おうちキャンプ最高!!

お腹も満たされたところで、今回の取材もこれにて閉幕。
取材の最後に堀氏が述べた「このメスティンで作ったご飯を食べて災害時にも元気になってほしい」と語っていたことが印象に残っている。いわずもがな災害の時は体力の消耗が激しい。そんな時、間に合わせの非常食ではなくホカホカのメスティン料理を食べることができたら、それだけで勇気づけられるかも知れない。
現在、堀氏はd+のメスティンについて知ってもらうために、料理教室などさまざまなイベントを企画中。また、今回紹介した各種グッズも下記のオンラインストアで購入できるので、気になった方は是非ともご覧あれ。
浅草橋を歩く。のYouTubeでは炊き上げからの実食動画も公開中。記事とともにお召し上がりください。
株式会社アングル
住所:東京都台東区浅草橋1-6-1 浅草橋ビル3F
お問い合わせ:03-5833-5166
E-mail:info@an-gle.co.jp
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗
今回お邪魔したのは「肉汁餃子のダンダダン浅草橋店」。
人気マンガ作品「ダンダダン」の作中に登場するなど、近ごろさらに注目を集める同店が贈る、「究極の餃子定食」を食レポします!
浅草橋の美味しい食べ物屋さんを求めて東奔西走。そんな我々「浅草橋を歩く。」編集部が今回お邪魔したお店はこちら。

「肉汁餃子のダンダダン浅草橋店」さんです。
実は、グランドメニューの〝究極の餃子定食〟が美味であると、餃子に一家言を持つライターさんからタレコミがあったのです。とはいえ、編集部も負けず劣らずの餃子好き。そう安々と美味しい判定はできません。……そう思いながら暖簾を潜った我々は、その十数分後、究極の名が伊達ではないことを思い知らされました。
さっそく紹介に移りたいところですが空腹は最大の調味料とも言います。ここではまず、「肉汁餃子のダンダダン」が一体どのようなお店なのか紹介しましょう。
もしかすると、皆さんも一度はその名を街角で見かけたことがあるのではないでしょうか。
「肉汁餃子のダンダダン」の第一号店が開店したのは2011年調布でのこと。
「餃子でお客様を笑顔にしたい!」という思いのもと、研究を重ねて生み出された肉汁滴る極上餃子にリピーターが続出。日本各地に店舗を増やしています。
浅草橋店がオープンしたのは2020年10月。駅高架下にあるので、仕事帰りに一杯やるのにも最適なお店です。


店内の雰囲気はこんな感じ。
「街に永く愛される、粋で鯔背な店づくり」という理念のもとにデザインされた、まるで昔から浅草橋の地にあったようなアットホームな空間ですね。ちなみに「肉汁餃子のダンダダン」ではお店ごとに、その土地の特徴を表した壁画が独自に描かれています。
たとえば、浅草のかっぱ橋店には河童、仙台のお店には当地の英雄・伊達政宗などなど。餃子を楽しむことに加えて、各店ごとに意匠を凝らした壁画を観賞するために系列店を食べ歩きする方も多いとか。ネタバレ厳禁というわけではありませんが、浅草橋の壁画については敢えて伏せておきましょう。気になる方は是非とも、ご来店あれ!


皆さんの中には、ダンダダンというユニークな店名に関心を持たれる方もいるでしょう。……餃子が焼き上がるまでまだ時間があります。解説しましょう。
この店名はずばり、テンポを重視して名付けられたもの。「ホップ! ステップ! ジャンプ!」といった具合の小気味良い名前、確かに一度聞いたら忘れないですよね。少しでも多くのお客様に肉汁餃子に興味を持ってもらい、その味を堪能してほしいという強い思いが伝わって来ます。

最近ではマンガ・アニメ作品を通じて、肉汁餃子に興味を持ちお店に通ってくれるお客様も。その筆頭がお店と同名の人気マンガ作品『ダンダダン』です。幽霊や宇超人が登場するオカルティック怪奇バトルマンガで、累計発行部数は800万部超え(2024年12月時点)。そんな人気作の176話~179話に「肉汁餃子のダンダダン」が登場するのです。店名が結んだ素敵なご縁ですね。

川越店には『ダンダダン』作者の龍幸伸先生が取材で来店。現在同店には先生のサインが飾ってあるそうです!

そのほか、取材時には人気TVアニメ『忘却バッテリー』とコラボ企画(※現在は終了)を実施。過去にも『新テニスの王子様』や『ブルーロック』とコラボしています。次はもしかするとあなたの好きなマンガ・アニメ作品とコラボするかも?

さあ厨房の方から美味しい匂いが漂って来ましたよ。いよいよ待ちに待った究極の餃子定食の登場です!

ダン、ダ、ダーン!!
いかがでしょうか。こちらが巷の餃子好きのハートを鷲掴みにする極上定食の全貌です。

空腹がピークに達していたこともあって、「いただきます!」を言うのも忘れて、思わず餃子に箸が伸びます。
……び、美味!! 咀嚼した瞬間、口の中に溢れんばかりに広がる肉汁。「美味しい!」と言葉にしようとしたとき、口から肉汁がこぼれそうになり大慌て。なるほど店内に「肉汁注意」という文言が記されている理由がわかりました。こんなに味わい深い肉汁をこぼしてしまうとは何ともったいないことか!

タネも言わずもがな絶品なのです。野菜と肉の旨味が織りなす絶妙なハーモニー。一方でニンニクは控えめ。いやはや口臭の心配をしないで、昼間からこのクオリティーの餃子が楽しめるとは……。至福!
ちなみに、究極の餃子定食の販売が開始されたのは2024年4月1日。「肉汁餃子の美味しさをもっと知ってもらいたい!」との思いから生み出されました。さらに、究極の餃子定食に併せて今まで販売していたほかの複数の定食をなくしたと言うのだから、まさにダンダダンの叡智の結晶と言うべきメニューなわけです。そのため副菜も考え抜かれています。順番に堪能して行きましょう。

こちらは鶏出汁ワンタンスープ。味覚に優しく、ワンタンのもちもち食感がたまらない!

個人的には春雨サラダ(紫蘇風味)はかなりヒット。ほのかな酸味がクセになる!
とりあえず餃子とご飯を食べてから、ワンタンスープと春雨サラダで口内をリセットするのがベターな食べ方です。

国産温泉玉子はそのまま食べても、ご飯にかけても良し。筆者はそのまま食べました。口でとろける玉子もさることながら、ちょこんと乗った山椒唐辛子が良いエッセンスを加えているのです。

そのほかにも、浅漬けとしば漬けの2種類からなる山くらげ、練りタラコなどご飯が進むアイテムも。ちなみに練たらこは餃子に少し付けて食べてみても美味しかったです。
餃子定食と聞くと、どうしても餃子オンリーなイメージがありますよね。
「肉汁餃子のダンダダン」の究極の餃子定食は、副菜が名わき役ぶりを発揮。ただでさえ絶品の餃子をさらに美味しく食べるために工夫が施されているわけですね。そして、気になるお値段はこのボリューム感と満足感で1000円。これは確かに究極だ!
ちなみに、究極の餃子定食の美味しい食べ方は「肉汁餃子のダンダダン」のホームページ内でも紹介されているので、こちらも併せてご覧ください!

以上、今回は「肉汁餃子のダンダダン」の究極の餃子定食に舌鼓を打って来ました。
肉汁という名の幸福感が溢れ出す餃子と、それを一層引き立てる副菜は一度食べればリピート確実。浅草橋で働く皆さま、今度のお昼休憩は是非とも「肉汁餃子のダンダダン浅草橋店」にお越しくださいませ。
……一方で我々編集部にはひとつ心残りが。それはお昼に取材したため、餃子と一緒にビールが飲めなかったこと。

「餃子とビールは文化です。」という看板が掲げられている通り、ダンダダンの餃子はビールとの相性もバツグンなのです。
さらにほかにも気になるメニュー(個人的には取材中、餃子アイスというメニューに熱視線を送っていました)がちらほら。もしかするとちかいうち、「肉汁餃子のダンダダン 夜飲み編」の取材が実現するかも知れません。続報を待たれよ!
※店舗によっては実施していない場合もあるのでご注意ください。

肉汁餃子のダンダダン 浅草橋店
住所:東京都台東区浅草橋1-18-2
営業時間:(月曜~金曜)11:45~15:00、16:00~0:00 (土曜、日曜、祝日)11:45~0:00
定休日:なし
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗
浅草見附跡碑すぐ近くの「開智日本橋学園」。浅草橋の人々にとっては、「ああ、あの子たち!」となじみ深い反面、なかなか交流する機会がありませんよね。
なんでも、開智日本橋学園は今、町のみなさんとの交流を求めているとか? 浅草橋の新たな可能性を模索するため、今回特別に校内にお邪魔して来ました!

言問橋のたもとに建つ「浅草見附跡碑」は言わずもがな浅草橋のシンボルマーク。この地に江戸城の城門があったという〝過去〟を伝える石碑を眺めながら、はるか江戸時代の東京に思いを馳せる歴史好きは多いと聞く。
が、2024年12月某日、我々「浅草橋を歩く。」編集部は浅草見附跡碑の前に足を止めると、石碑ではなく〝未来〟の方角を仰ぎ見た。これは比喩の類ではない。浅草見附跡碑から左上に視線を移した先に校舎を構える「開智日本橋学園」。今回はそこにお邪魔して来た。

登下校する開智日本橋学園の生徒たちの姿は、この街の日常風景だ。とはいえ、古くから浅草橋に根を張るバシっ子にとっては、「開智日本橋学園」よりも、「日本橋女学館」の名のほうがピンと来るかもしれない。

「開智日本橋学園」は、「日本橋女学館」を共学化するにともなって、新たに付けられた校名である。共学化されたのは2015年※のこと。そう、今年でちょうど10年目の節目を迎える。
※正確に言えば、2015年4月から中学校のみ共学化。高校も共学化されたのは2018年4月からで、それまでは開智日本橋学園中学校と日本橋女学館の両方が存在していた。

「日本橋女学館」時代の面影を残す『清純』像。本を持つ左手は学問への意欲、胸元に置いた右手は内面の深まりと向上を象徴している
共学化と同時に、「国際バカロレア」というワールドワイドな教育プログラムを導入する。その国際バカロレアのほか、校風などについてはのちに述べるとして、ここでは学校を作り変えるとい事業それ自体に想像力を働かせてみよう。授業の整備、生徒募集、保護者の方々との協力関係……。それらが一朝一夕で終わらない作業であることは門外漢でもなんとなくわかる。
校長の近藤健志先生は、この10年の歩みを「学校としての土台作りだった」と振り返るが、相当なエネルギーが必要だったことだろう。
現在、多くの関係者の努力が実り、〝土台〟は固まってきた。そうしたなかで近藤先生は〝次の10年〟を眼差す。先生が見つめる開智学園 日本橋学園の未来について聞いてみた。

「浅草橋の方々との交流を深めることです。実は「開智日本橋学園」の前身、「日本橋女学館」は100年以上前に、当時の街の方々が「これからは女子教育が大切だ」と半歩先の未来を見すえて設立した学校だったんです。そういう経緯があるので、女子校だった頃はお祭りに参加するなど、浅草橋の方々との交流が盛んに行われていました。」

「開智日本橋学園」の校長・近藤健志先生。ビジネスマンから教員に転身した異色の経歴を持つ。解放された校長室に生徒たちが訪れて一緒に昼食を取るなど、後述するような先生と生徒の距離が近いという開智日本橋学園の特色を何より体現する人物でもある
開智日本橋学園と浅草橋の間にそんな過去があったとは。お恥ずかしい話、浅草橋にところを構えながら我々編集部は知らなかった。近藤先生のお話を聞いて、「一新亭」のご主人でありアマチュア写真家でもある秋山武雄さんの写真を見た時のように、歴史の影に埋もれた浅草橋の人々の痕跡に触れたような思いがした。
「当校と浅草橋の方々との交流は、時代の流れとともに少なくなって行きました。そして女子校に対するニーズも減少したことでリニューアルされたのですが、今こそ学校の元来の特色を取り戻す時だと考えています。〝City as a classroom〟という言葉があります。日本語で言うと〝街が学校〟という意味です。浅草橋という街はお店や施設が充実していて、さまざまな活動をされている方がいますよね。そのような地元の方との交流、お手伝いを通じて、生徒にさらに成長してほしい。当校は、それができるポテンシャルを秘めています」
実は今回、近藤先生が取材を快諾してくれたのも、「浅草橋を歩く。」を通じて浅草橋の人々に開智日本橋学園の地域交流への願い(情熱と言い換えてもいい)を知ってほしいからとか。
我々編集部は言うなれば、開智日本橋学園と浅草橋の人々との橋渡し役というわけだ。責任重大だが、浅草橋がさらに盛り上がると思うと腕が鳴る。そのようなわけで、次章から、校風、そして、そこに通う生徒たちの魅力を紹介して行こう。

我々「浅草橋を歩く。」編集部は、近藤先生の案内のもと、校内見学に出発した。百聞は一見に如かず。実際の学校生活に触れたほうが、生徒たちの魅力がうかがえるというわけだ。
ここで、教育の基礎をなす国際バカロレア(IB)について簡単に解説しよう。
国際バカロレア(IB)とは、スイス・ジュネーブに本部を持つ国際バカロレア機構が提供する教育プログラム。世界の多様性を理解・尊重する精神に基づき、国際的に活躍できる視野・スキルを育むことを目的としている。現在日本には、開智日本橋学園を含めて200校近くの国際バカロレア認定校があるそうだ。

上記のような教育プログラムに基づくこともあり、語学を学ぶには最適の学び舎だ。たとえば、ネイティブスピーカー、また二言語を堪能に話せるバイリンガルの先生(ほかならぬ近藤先生自身がまさにそうだ)が何人も在籍して、生徒の指導にあたってくれているほか、美術、技術・家庭科の授業はコースを問わず英語で実施。生徒は通常の座学では養われにくい、コミュニケーションツールとしての英語力を身に付けることができる。

こちらは「開智日本橋学園」の英語教材。これらの本は先生たちが自ら書店で探し求めて購入しているとか
近ごろは、浅草橋にもインバウンドの波が押し寄せている。慣れない英語に四苦八苦するお店の方とお話しする機会も増えているが、開智日本橋学園の生徒がもしかすると救世主になるかもしれない。校内見学の途中、その旨を近藤先生に話してみると、先生は過去に開智日本橋学園と浅草橋のお店がコラボレーションした際のエピソードを披露してくれた。

「「開智日本橋学園」の子たちは真面目で良い子たちばかり!」と語るインド出身の先生。先生は興味がある生徒にヒンドゥー語のレッスンもしてくれるという。そのほかにもフランスやケニア出身の先生も在籍している
「実はタイ料理さんの「パヤオ」さんのメニュー表を作らせてもらったことがあります。「パヤオ」にご飯を食べに行った生徒たちが「美味しいけどメニュー表をもっと良くできるはず」と言うので、「それなら提案してみたら?」と。すると、「パヤオ」さんも快諾してくださって。ご承知の通り、当校には英語ができる生徒が多いのですが、メニュー表の表記等でその力を発揮できました。今から7、8年前のことでしょうか。その時制作したメニュー表は現在でも使用していただいています。」
「浅草橋を歩く。」でも過去に「パヤオ」さんを取材させてもらっているが、まさかあのメニュー表が、生徒の作だったとは……。海外からのお客さんとのコミュニケーションに苦労している浅草橋のみなさん、是非とも開智日本橋学園とのコラボをご検討あれ。メニュー表作りに限らず、力になってくれるはずだ。

一方で、「パヤオ」さんのメニュー表作りのエピソードを聞くと、どうやら生徒たちのポテンシャルは語学力に留まらないようだ。行動力が高いと言うべきか。主体的に考え実行に移す力に非常に長けているという印象を受ける。
近藤先生によれば、このような生徒たちの行動力の高さは、校風が関係している。
それはずばり、〝自分で動く〟ということ。
普通の学校では先生が指示して、生徒たちはそれに従うということが基本。テストでも先生が黒板に書いた知識を再現できるかどうかを問われる。だが、それだけでは子どもたちがこれからの時代を生きて行く力が培われないというわけだ。
生徒たちが主体的に自分で動く。そのために先生たちは生徒たちのサポート役に徹する。


ビジュアルアートを専攻する生徒たちの作品。生徒たちは過去の芸術家の作品を学びながら想像力を育み、1年をかけて自らの作品の構想を練る
「当校は生徒と先生の距離がとても近いです。先生たちには目線を下げるようにお願いしています。上から目線で「こうしろ、ああしろ」と指導するのではなく、生徒たちが何かをやりたいと言った時にはまず相談に乗ってあげる。それから「失敗しても良いからやってみよう!」と背中を押してあげる。もちろん生徒たちはまだ子どもなので、やりたいことを実現する方法がわかりません。そこを一緒に考えてあげることが大切だと思っています」

主体性のみならず、開智日本橋学園の授業では生徒たちの論理性が磨かれるような工夫が先生たちによって施されている。たとえば、国語の授業では生徒たちがおススメの本をプレゼン。それを先生ではなく生徒たちがフィードバックする。要点をまとめる力・伝える力が磨かれ、学校OBの中には学校生活での経験が就職活動でも活きて、面接に通ればほぼ合格できた」と語る者も
生徒たちの主体性は受験希望者向けの学校説明会でも発揮される。学校説明会では生徒たち自らの意思で参加して、学校生活について解説してくれるという。

国際的な問題をディベートする模擬国連部に所属するKさん。その他にもバレー部や調理部でも活動するなど、学校生活をアクティブに楽しんでいる
「「先生たちがやると良いことばかり言うから本当のことがわからない!」と(笑)。結果、生徒たち自らが組織化して、受験希望の子とそのご家族のために学校案内をしています。生徒が1人付いて「この学校はこうなんですよ」と校舎を回りながら解説して行くのですが、夏だけで1000組ほど案内していますね。案内役の生徒のトレーニングも上級生が行っています。話す内容などについて我々はなるべく干渉しないようにしています」

Aさんは半分近くの授業を英語でおこなうディプロマプログラム(DP)コースに所属。曾祖母の営む旅館のある地域を英語で紹介することで海外からの観光客を呼び込みたいと考えているとか

開智日本橋学園を「先生と接しやすい学校」だと語るSさん。彼女も将来は得意な英語を活かせる職業に就くことが夢だと語る。
そのほか、遠足などの学校行事についても委員会化されて生徒たち主導でおこなわれているとか。
校風に惹かれて、もともと主体的に行動できる生徒たちが集まって来る面もあるだろう。しかし、そのような生徒たちの個性も上から抑えつけては育たない。普通の学校、あるいは私たち大人は無意識にそれをしてしまいがちだ。生徒の主体性に重きを置く学校は数多くあるが、開智日本橋学園ほど情熱を持って取り組んでいるところは少ないだろう。
学校生活を通じてマインドセットされた〝自分で動く〟習慣は、大学進学後も大いに活きているようだ。大学に進学後に「ゼミやサークルでリーダーシップを取りやすい」「自分のやりたいことを大学にプレゼンして採用された」など、OBの声が近藤先生のもとに届いているという。
「これからも生徒たちが自分の意志で動ける環境を作って行きたい」と力強く語る近藤先生。
生徒ファーストな先生たちに見守られながら、今日も生徒たちはスクスクと成長している。



完成したばかりだという「開智日本橋学園」の屋上運動場。人工芝は体育の先生のこだわりで敷かれたもの。通常の人工芝よりも汚れにくいとか
そういうわけで、校内見学もこれにて閉幕。取材終了後は主に30~40代で構成される我々編集部内で、「うちの子も是非とも入学させたい!」という感想が続出した。……と同時に年甲斐もなく、「自分も入学したい」という意見も。やりたいこと・勉強したいことがあってもなかなか実現できず悶々としていた少年・少女時代の自分をふと思い出したからだろう。思い出してしまうぐらい、この学校の生徒たちの姿は輝いていた。

近藤先生のパソコンに貼られた〝beat yesterday〟のステッカー。〝明日を超えろ〟という意味で穏やかだが内に情熱を秘めた先生を何より表している
さて、記事中でも紹介したように、開智日本橋学園は現在、浅草橋との交流を望んでいる。もちろん、営業との兼ね合い、また学校側として授業の一環であるなどいくつか制約がある。それでも生徒たちと共同で1つのプロジェクトに取り組むことで、我々は新しい浅草橋の可能性を見出せるはず。
ちなみに「エトワール海渡」では、自社のコミュニティスペースを使って生徒たちとの共同授業を開催。浅草橋と開智日本橋学園の交流はすでにはじまりつつある。
我々「浅草橋を歩く。」も一緒に何かできないか目下検討中だ。もしかすると近々、生徒たちが執筆した取材記事が掲載(筆者よりも文章が上手だったらどうしようと若干ビビっている)されるかもしれない。こうご期待!

開智日本橋学園
住所:東京都中央区日本橋馬喰町2-7-6
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗
2024年5月に開催された「浅草橋ハンソデ総選挙2024」。三度目となるイベントは、マロニエ祭りの会場内でおこなわれたこともあり、大盛況のうちに幕を閉じました。
あの興奮から半年経ってしまいましたが、総選挙にて総合優勝を果たした「一新亭」の、お祝いレビューを公開します。

浅草橋を歩く。ではじめて「一新亭」を訪れたのは、2020年。
その際の記事のタイトルが創業115年だったのだが、そこから早5年が経過、老舗洋食屋はいまだにその長寿を更新し続けている。
老舗力が勝ったのか、地元、浅草橋で開催された2024年の「ハンソデ総選挙」では見事総合優勝を果たし、「浅草橋に一新亭あり」を高らかに発信することができた。そんなまちの老舗洋食屋の魅力については、もはや、再三記事にしているため、どんなお店なのか、店主の秋山武雄さんはどんな人物なのか、については、これまでに記事を参照されたし。
とにもかくにも、一新亭といえば「三色ライス」に「オムライス」。

揚げたてのカツをおまけでのせるとその存在感は圧倒的で、食いしん坊たちの胃袋もいっぱいに満たす、浅草橋グルメを代表するメニューなのだ。
ランチビールもあるので、がっつりライスと共に昼から一杯呑むのも楽しいよ。

人気メニューのオムライスを背中にしょったTシャツでエントリー。

表の胸元には「since1906」の文字が刻まれた暖簾イラストが。

店主の秋山武雄さんは、アマチュアカメラマンとしても名を馳せ、いまも読売新聞でコラムを連載している。

第4回となるハンソデ総選挙では、「ぜひ、三色ライスのTシャツを!」という、ファンたちからの声も聞こえてきている。
2025年1月14日(火)には、NHKの『100年食堂』にとりあげられる予定で、TVを観たあとにこの記事にたどり着く方もいるかもしれないが、じつは、百年愛されてきた洋食屋に、今年、ある変化が起きることになっている。

長いこと親しまれてきた一新亭、その歴史の重みとかさなって、建物自体の老朽化が著しく、耐久性の観点からもこのまま維持していくことは難しく、リフォームを検討しなければならない時期にきているという。

秋山さん自身は、「後先もそこまでないからこのまま建物と一緒に……」なんて粋なことを考えていたようだが、娘ふたりが立ち上がり、「お父さんとお母さんの魂を継いでいきたい」というおもいから、リフォーム工事を決断したのだ。現在、6月あたりから解体工事を予定、いまの建物での営業は5月をめどに終止符をうつ。
いずれにせよ、大きな工事となるため、町の人、ファンの人たちと共につくりあげるとあるプロジェクトも計画中で、浅草橋を歩く。でも改めて発表する。この記事をご覧になった方々は、ぜひとも、我らが浅草橋の〝100年食堂〟の存続を応援してほしい。
「洋食 一新亭」
営業時間:11:30~14:30
定休日:土曜・日曜・祝日
お問い合わせ:03-3851-4029
文・写真:伊勢新九朗
3年続いた町のTシャツコンテスト、2024年は投票数が1000を超えるなど、大きな盛り上がりを見せ、今後さらなる拡大も期待されるイベントへと少しずつ成長してきているため、継続を望まれる声が多数聞かれ、今年も開催する方向で動いております!
続報は浅草橋を歩く。各種SNSで展開しますが、ひとまずは参加されたいという店舗は、年明け早々のいまくらいからデザインなど考案しておくと、スムーズにエントリーすることができるはずです。
それまでは、これまでの浅草橋ハンソデ総選挙の記事を振り返りつつ、今年の開催を楽しみにお待ちください。
ハンドメイドの聖地・浅草橋がおくるTシャツの祭典「浅草橋ハンソデ総選挙2024」、今年は第17回マロニエまつりにて開催が決定!!
引き続きよろしくお願いいたします。
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今回、お邪魔したのは写真スタジオ「Studio 門出」。
実は、Studio 門出が浅草橋にオープンしたのは、ハンドメイド作家さんとの交流があったからとか。
お子さんの素敵な写真を撮りたいパパ&ママの心強い味方になってくれるStudio 門出、そして代表のプロカメラマン・もんちゃんこと、門出格宏さんの魅力と併せて、とことんご紹介させていただきます!

街に根付き、そこに暮らす人々の人生に寄り添う。記念写真という手段で。街の写真スタジオの役割を改めて言葉にするなら、おおよそ、そのように定義できるだろう。

2023年末、浅草橋にオープンしたStudio 門出も、そんな街の人々と歩みをともにする写真スタジオだ。
オープンして日が浅いながら、すでにエントランスは下記写真のように、THE浅草橋という趣である。




これらの写真に写るのは、ひとつひとつ丹精込めて作られたハンドメイド作品。ご存じのように、浅草橋はハンドメイドの聖地で、「浅草橋を歩く。」でも過去に何度か街に軒を並べる各種資材店を取材している。Studio 門出はなんと、浅草橋で資材を仕入れるハンドメイド作家の方々の作品が展示されているほか、購入までできてしまう写真スタジオなのだ。
「いつか自分の写真スタジオ」を持ちたかったと語るStudio 門出代表・門出格宏さんが、浅草橋での創業を決めたのもひとえに彼女・彼らハンドメイド作家との交流があってこそ。
Studio 門出創業ストーリーを門出さんの言葉を借りながらひも解いていこう。

門出さんは、主に結婚式や七五三などの記念行事で出張撮影をおこなうプロのカメラマン。そんな彼のカメラマン人生は2020年、新型コロナウイルスの流行で新たな局面を迎える。コロナの猛威によって結婚式などのイベントの数が激減。このピンチを打破するために、門出さんがはじめたのがInstagramでの発信だ。
「Instagramを見ていると、写真の上手な撮り方を知りたいという方がけっこういらっしゃったので、撮影のノウハウを伝えはじめたんです。そこで出会ったのがハンドメイド作家の方々です」

門出さんは2007年にキャリアをスタートして、2024年でプロカメラマン歴は17年目。もともとは航空関係の研究所で航空機騒音の研究に従事していたが、カメラマンになる夢が諦めず転職したという異色の経歴を持つ。
ハンドメイド作家の方々は横のつながりが強く、評判が評判を呼んで門出さんのInstagramは人気コンテンツに成長。そしてコロナが五類に移行した2023年。「Instagramを通じてたくさんの人が私を知ってくれている今しかない!」ということで、門出さんはかねてからの夢である自らの写真スタジオの創業を決意する。
彼の夢を後押ししてくれたハンドメイド作家の聖地・浅草橋で。
「資材屋さんが並ぶ浅草橋は、ハンドメイド作家の方々にとって、一度行ったら帰ることができない街。軍資金が尽きないかぎり、1日中買い物ができてしまうんです。そんな浅草橋にみんなの拠点を作りたかった。みんなで集まって楽しいことができたらなと。最近も人気ハンドメイド作家の方のワークショップをうちで開催しました」

門出さんは現在でもInstagramでの発信を継続中。「もんちゃん道場」というオンライン上で写真・動画の撮り方もレッスンしている。
Studio 門出が目指しているのは、ハンドメイド作家の方が作品を制作する以外のすべてをできる場所。
作品の展示・販売についてはすでに述べたとおりだが、さらに、ハンドメイド作家の方々が自身で作品の撮影ができるフォトブースも設置されている。

綺麗に撮れるように門出さんがセッティングしてくれるので、カメラの扱いに自信がないハンドメイド作家の方々は、練習がてらに訪れてみてもいいかもしれない。

コロナ禍で対面の交流が制限された結果、恋人探しのマッチングアプリの流行を一例にSNSを通じた出会いを求める人が増えた。カメラマンとして新たな可能性を模索する門出さんと、自分の作品をできるだけ綺麗に撮影したいハンドメイド作家さんたちとの出会いも、コロナ禍が生んだ運命的なマッチングだったのだろう。

ちなみにハンドメイド作品の展示コーナー「もん de マルシェ」と言い、七五三などの撮影にも使えるアクセサリーの類も入手可能。現在棚を増設中で作品のラインナップは日を追うごとに充実している。

コロナ禍でInstagramの発信を通じて、今にいたる重要な出会いを果たした門出さん。一方で当時多くのブライダルカメラマンが、数が減った結婚式の穴埋めに東京駅などを舞台に新郎新婦を撮るウェディングフォトをはじめたのだが、門出さんの場合はどうだったのだろうか。
「私の場合は新郎新婦お二方だけを撮るウェディングフォトはどうもカメラマン魂が燃えなくて(笑)。新郎新婦だけではなく、ご両親、ベールボーイ・ベールガールを務めるお子さまなど、親族やご友人を含めた結婚式の人間模様の写真を撮るのが好きなんです。」
そう言うと、門出さんは担当した結婚式のアルバムを我々編集部に見せてくれた。そこに写るのは入場直前の新郎新婦、そして、新婦のお母さん。このお母さんはシングルマザーだという。娘さんを女手ひとつで育てたというお母さんの感無量な表情をとらえた写真に、門出さんのカメラマンとしての確かな腕前を感じてしまった。

「私自身も自分の結婚式の写真に写る両親を見てグッと来ます。私は3人兄弟の次男坊なのですが、〝次男あるある〟と言うか確かにあるはずの親の愛を感じられない時期があったんです。だけど写真の両親の表情を眺めていると、「ああ自分は愛されていたんだな」と実感できたんです。」
門出さんのお話を聞きながら、筆者は先ほどの新婦のお母さんの写真を眺め続けていた。面識もなく名前も知らない方の写真でも、何だか心が温かくなって来る。写真を通じて目には見えない〝家族の絆〟を感じ取ること。家族の記念写真が持つ大きな意味を知った気がした。
そして結婚式を終えたあとも、〝家族の物語〟は続く。

Studio 門出のエントランスには、ハンドメイド作品のほか、結婚式の写真撮影がきっかけで門出さんに継続的に撮影をお願いしているご家族の写真が展示されている。結婚式の写真にはじまり、第一子、そして第二子の誕生。1年、そしてまた1年と愛を育み、形を変えて行く家族の姿。「人生はマラソン」という言葉を聞いたことがあるが、門出さんは家族というランナーの伴走者のようにそのかけがえないの日々を記録している。



それにしても、どの写真も皆、いい笑顔をしている。
「私の撮影スタイルはお客様と友達になること。そのほうが自然な笑顔を引き出せるんですね」と語る門出さん。被写体になると人はどうしても身構えてしまう。とくにイヤイヤ期のお子さんは、カメラを向けただけで泣いてしまうなんてことも。

中央の写真は生後7日めの赤ちゃんの等身大写真。右下の写真は退院時の写真だが、パパさんのぎこちない抱き方と満面の笑顔が初々しくてほっこりする。なお、Studio 門出では赤ちゃんが1歳になるまでの撮影プランを用意している。記事の最後に料金表を載せておくので、パパさんママさんは是非ともご参考あれ。
「家族のとびっきりの笑顔を記録したい!」とお考えの方は、一度、門出さんにお願いしてみてはいかがだろうか。きっと、かけがえのない家族の〝伴走者〟になってくれるはず。

じつはこちらの写真は、Studio門出の斜め前にある、眉毛睫毛サロン&筋膜リリース整体の店「KAZAHANA」のご夫婦。
さて、笑顔に関連して筆者にはひとつ気になることがあった。それはStudio 門出のホームページに掲げられた「ママの笑顔は家族の笑顔」というキャッチコピー。これは一体、どのような意味なのだろう。門出さんに聞いてみた。
「実は家族写真の撮影が上手く行くポイントって、ママさんが笑顔でいるかどうかなんです。七五三の撮影などではお子さんが慣れない着物姿になるから、むずがることがあるんです。そのときママさんが「もうちゃんとして!」と言い始めると、そこから撮影を軌道に乗せるのが中々難しい。」
筆者にも七五三の撮影で履いたタイツが暑くて嫌で仕方がなかった記憶がある。あのときは、自分の感情を爆発させることに一生懸命だったが、その裏での母、そしてカメラマンの方の苦労があったと思うと今さらながら申し訳ない気持ちになって来る。門出さんはどのように対応しているのだろうか。
「私は事前の説明を心がけています。「お子さまがぐずることがあるけど、そういうことも成長の過程だと思って、1日笑顔で過ごせるようにしましょう」と。結婚式のときからお付き合いがあるご家族が多いこともあるのでしょう。そう言うと、皆さん私の言葉を信じてくださって撮影が上手くいきます」

Studio 門出では、お子さんが走り回って転ばないように、配線の類も床から上げている。そして設備面で何よりママさんに配慮したサービスにして、Studio 門出の最大の特徴がセルフ写真館だ。
セルフ写真館とは、お客自身でリモコン型のシャッターを押す撮影スタイルのこと。人見知りなお子さんの中には、カメラマンが撮影すると固まってしまう子も多い。そこで、カーテンを閉めてママとお子さんだけの空間を作り、ママさんにシャッターを押してもらうことで、お子さまのリラックスした表情を撮影してもらうのだ。もちろん、カメラや照明などの必要な設置は門出さんがしてくれる。

一番多いのは入籍記念(カップルフォト)、次にマタニティなど。確かにセルフ写真館は、どこにでもあるプリクラより特別感があって記念になりやすい。卒業式後に利用する方もいるんだとか。
Studio 門出のような本格的な写真スタジオで、セルフ写真館のようなサービスを実施しているところは珍しい。また、仮にあったとしてもカメラの高さの変更やズームができないところが多いが、Studio 門出では調整可能。価格もカメラマンの人件費がかからないため、相対的に安く※抑えられる。
※セルフ写真館は時間制限制。基本料金が3300円、ひとり追加ごとに+1100円(小学生以下+550円)。

編集長・伊勢もセルフ写真館で自撮りチャレンジ!

せっかくなので筆者も。稀代のイケメンである筆者の顔が写っていないのが少々残念である。

正面に設置されたモニターで、どのような写りになるか確認できる。
セルフ写真、シンプルながらも今までにない撮影体験ができて実に楽しい。Z世代は体験を重視するとどこかで聞いたことがあるが、案外若い子の間で流行するかもしれない。
ちなみに、もちろん、カメラマンである門出さんが撮影することも可。
撮ったその場でモニターで写真を確認できるというのも、大きな特徴で、モニターで確認しながら、お客さまの撮りたい写真を撮影することができるのだ。
これは、じつは、「写真を撮られる」という受け身ではなくなるという効果があるんだとか。
モニターで確認しながら撮影していくことで、カメラマンへの信頼度も増し、自然とお客さまとカメラマンが「一緒に作り上げる」撮影となる。結果的に、お客さまが大満足の写真が撮れるのだそう。

今回の取材を通じて感じたのは、Studio 門出が人々とのつながりを大切にする写真スタジオだということだ。
店内に飾られた記念写真やハンドメイド作品はもちろん、撮影時のお客様と思い出をうれしそうに語る門出さんをはじめとするStudio 門出のスタッフの皆さんからもそれを感じた。興味を持った方はぜひ、一度ご相談あれ。
門出さんは、自身のことをDream Grapherと称している。これは門出さんがカメラマンになるとき誰も賛成してくれなかったことから、「夢を応援できる人が増えてほしい。自分の人生を自分らしく生きる人が増えてほしい」という願いを込めて付けた肩書だ。

冒頭でも述べたように、写真スタジオは街の人々と歩みをともにする存在である。
Studio 門出は記念撮影を手段を通じて、浅草橋の人々の人生、ひとつの夢を実現して行く過程をサポートしてくれるにちがいない。
「大切な人の夢を、心から応援してあげられる人でいっぱいの日本にする!」と、取材の最後で門出さんは力強く語っていた。

Studio 門出
住所:東京都台東区浅草橋4-20-2 丸幸浅草橋第一ビル 1階
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜、水曜
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗
こんにちは、はじめまして。台東区周辺をぐるっとまわる!Gurutaiと申します。蔵前や浅草、上野や谷中、そしてここ浅草橋を含む台東区全域、ときには東東京全域を巡って飲食店やイベント、街の歴史、地理などを紹介してまわっています。
「浅草橋を歩く。」の投稿は以前から見させてもらっていた読者の立場でしたが、浅草橋にぜひおすすめしたいお店があるということで、記事を書かせていただくことになりました。
読者の皆さんは麻辣湯を食べたことがあるでしょうか?Gurutaiはあるときまでほぼ食べたことがなかったのですが一時期「あれ?麻辣湯って美味しいな…?」と気づいて少し食べ歩いていました。その中でのお気に入り、これは浅草橋でしか味わえないのではと感じて今も食べているのが今回紹介する「鳳凰麻辣湯 簡」の麻辣湯です。編集長の伊勢さんと一緒に行ってきました!
浅草橋という街は駅前の大通りが大きいこと、駅周辺にチェーン系のお店が多いことから路地に入った個人店が目立ちにくい街ではありますが、読者の皆さんであればそうしたハードルは軽々と超えていることでしょう。
しかしこのお店は同名の「浅草橋旅館 簡」の1階にあることから、営業中の飲食店であることに気づかれないこともあったりと、まだたどり着いていない人も多いのではないかと思います。地元の人であれば、「江戸蕎麦手打處あさだ」の裏手の路地にあるといえば伝わりそうです。

お店がある建物は、大きなアーチ型が特徴的な白いビルです。入口は2つに分かれていて、左側には「浅草橋旅館 簡」の看板がつき、右の全面ガラスの引き戸は「鳳凰麻辣湯 簡」の垂れ幕が掲げられています。外には大きな白い甕、立て看板が並んでいます。
店内はテーブル席が6席、壁際のカウンター席があります。店先には干物が吊るしてあったり漢方の瓶が並んでいたり、黒板にはその漢方の解説が書かれてあったり、そして長いこと漬け込んでいそうな梅酒の瓶…などとインパクトのある内観です。

奥の方には梅酒の瓶、酒が並んでいて、見上げる位置の棚に瓶が並んでいます。各テーブルに背もたれ付きの椅子が4脚ずつ、足元には荷物入れのカゴ、机の上には調味料のほかセルフの水とコップ、ティッシュなどが置いてあります。

上の方にある棚には多くの漢方、香辛料らしい瓶がズラッと。

木枠の棚から吊るされていたのは何匹かの魚の干物。

黒板に書かれていたのは「薬膳の一覧」で、丁子(クローブ)、当帰、龍眼、甘草などの効能が説明されています。

粉末の唐辛子や刻んだネギ、葉や茎の浮いたスープ。
麻辣湯とは麻(花椒などのしびれ)、辣(唐辛子などの辛み)をベースとしたスープで春雨や野菜を煮込んだ料理。簡のように本格派のお店ではそうしたポピュラーな香辛料だけでなく、漢方や薬膳を使って更に複雑味のある味わいを作り出しています。名前の通り辛い料理ではあるのですが辛さは調節できるので、得意というわけではないけど気になるという人にも食べてみてほしいメニューです。
実は先日、テレビ番組「マツコの知らない世界」でも麻辣湯回が放送されたため、このタイミングで注目している人もいるのではないかな……? と思います。春雨の代わりに中華麺を使ったり、春雨の中でもじゃがいもやさつまいもの春雨、緑豆春雨、そして板春雨や刀削麺など、思ったよりバリエーションがあることが番組でも解説されていました。
辛い、薬膳、体に良さそう、ダイエットにも向いていそうというイメージからか、特に女性に人気の高いメニューのように思います。このお店も実際に利用していても、外観の印象に反して女性客のほうが多いんですよね。
せっかく伊勢さんを連れてきたということもあり、今回は麻辣湯だけでなく様々なおつまみを食べてみたいと思ってお酒と一緒に注文してみました。これらはディナーメニューとして17時以降の提供となっています。
一杯目はやはり中華らしく、青島ビールですね。爽やかであっさりした味わいはタレのしっかりした自家製チャーシューの味付けに合います。

緑色の小さめの青島ビールをそれぞれ注文。

刻みネギ、ごま、タレのかかった汁気たっぷりの豚肉。
そして伊勢さんが特に食べたいということで青菜炒め、キノコ炒めなどの炒め物も注文しています。

細かめに切ったセロリや空芯菜、にんにくや唐辛子で味付けされています。

キノコ炒めはしめじ、きくらげ、エリンギに豆もやしなど。

ディナーメニューは今回注文した青菜炒め(680円)、キノコ炒め(680円)、自家製チャーシュー(750円)のほか、黒酢酢豚(880円)、鳥の唐揚げ(680円)酸菜魚(高菜と白身魚の煮込み、980円)などが書かれています。
他のメニューも気になりましたが、このあたりにしておきました、が…結局最終的には食べ過ぎとなっていました。
次に注文したのは、かめ入りの紹興酒。なんと本当に、大きなかめに入った状態で販売されているんですね!

柄杓を使って白く塗られた大きなかめから酒を掬い出します。

氷を入れてグラスに注いだ紹興酒。とても濃い茶色。
個人で買う人もいるんでしょうか。紹興酒は飲み慣れていないのでこれ、という他との違いがわかるわけではないのですが……せっかくなので紹興酒もいいですね。
初めて麻辣湯のお店を利用するときは戸惑う人もいると思いますが、典型的な多くのお店でほぼ同じシステムが使われているので、一度行けばどこの麻辣湯でも適応できるはずです。
まず冷蔵庫の中にパッキングされて並んだ食材の中から、好きなものを選んでボウルにとります。ビニール手袋が用意されているところでは忘れずに使いましょう。

このお店ではボウルとビニール手袋が用意されています。

冷蔵庫にズラッと並んだトッピング食材。ボウルに食材を取っていきます。
この食材はお店によって様々で、簡を含め多くのお店で30〜50程度の食材が常時並んでいます。キノコ、肉、様々な水餃子やワンタン、空芯菜やパクチーなどの野菜といったもので、これを3〜4種選んでいきます。簡では通常3種まで、追加料金110円でこの食材を1つ追加できます。ちなみに、本場では取り放題レベルでこの食材をたくさんよそって食べるのだそうで、このシステムは日本に導入された際の標準のようです(他にも量り売りのようなシステムのお店もあります)。
Gurutaiはほぼいつも豚肉(またはワンタン系)、半熟煮玉子、パクチーを選んでいます。

ボウルにとったパクチー、豚肉、煮玉子。
気分によってここにキノコやその他の野菜を追加していますね。最近別の日に伺った際はパクチーの代わりに空芯菜、そしてフクロ茸をいただきましたがこれもおすすめです。
そして食材をカウンターに持っていき、辛さと麺の種類を選びます。簡では辛さが5段階(4以上は+70円)、お店のおすすめは2です。辛さやしびれが苦手な人は0も選べます。麺は春雨と中華麺(+50円)を選ぶことができますが、Gurutaiおすすめは麻辣湯らしく春雨。中華麺より若干軽い食感が麻辣湯を楽しむのにあっています。このお店で使っている春雨は太めでムチッとしていて意外と食べごたえもあります。

注文方法は壁の貼り紙でも説明されています。

チャーシューご飯と麻辣湯。ご飯は小さめの器ですがどしっとお肉が乗っています。

チャーシューご飯。脂でご飯がつやっとしています。

麻辣湯と杏仁豆腐。杏仁豆腐にはクコの実が乗っています。
価格は具材3種付き、そして更にセットで選べる杏仁豆腐またはチャーシューの乗ったご飯がついてきて、お値段なんと825円です。これ正直激安だと思うんですよね……。

春雨にはほんのり色がついてちょっと太め。
麻辣湯はそのビジュアルと構成要素からラーメンや担々麺に類似したものと思われがちですが、名前に「湯」とつくようにスープが主役の料理です。麺を食べてスープを飲む前にお腹いっぱいになるくらいなら、麺を減らしてでもスープを飲み干すほうがいいと思います。簡のスープは花椒や唐辛子、漢方、薬膳だけではなく、鳥と豚、そして様々な干物でだしをとった旨味があり、その味わいは複雑です。スープを味わうための春雨であり、具材なんですね。
一口すすると花椒や唐辛子と同じくらい強い様々な薬膳の刺激を受け、2辛で十分に汗は吹き出、そしてしっかりした旨味を感じ、更にレンゲが進みます。スープが残らないように少しずつ具や春雨を食べるのがいいと思います。

煮玉子。ラーメンのようですね。
具材は3種を標準としていますが、これにもりもりと追加で具材を注文する人もいます。以前の常連さんには10や20の具材を追加する人もいたそうで、そういう人が数人集団でやってきたら、彼らの訪れたあとには冷蔵庫が空になってしまう! ということもあったそうです。
……それは多少やりすぎかもしれませんが、Gurutai自身も、行くたびにだんだんと1度に注文する具材の数が増えていっています。そのうち追加食材10くらいは試してみたいなと!
店主の温さんはお一人で簡を運営しています。更に旅館の運営もしているため忙しそうですが、こうして手の込んだ料理を提供しています。今回取材のためにGurutaiも初めて温さんにいろんな話を伺いました。
東京でご夫婦別々のお店を切り盛りし、40年近く前から中華料理を提供し続けてきたそうですが、現在提供している料理のラインナップを見るに、町中華のようなポピュラーな料理とは異なる地方中華料理、いわゆるガチ中華寄りのものだったのでしょう。
当時を振り返り、その頃は死ぬほど忙しかったと懐かしそうに語ってくれました。休みの日にも馴染みのお客さんにお店に来てほしいと誘われたりと大忙し。そうした時期を経て、今後はもっとゆったりお店をやろうということで2020年浅草橋にこのお店をオープンしたそうです。

この4年でかなり年季の入った感じに色褪せた垂れ幕。鳳凰麻辣湯(フンファンマーラータン)簡とあります。
現在はほぼ麻辣湯オンリーのお店ですが、お話を聞いてからは麻辣湯以外のメニューを注文したときはバリバリと活躍していたときの温さんをイメージしてしまいます。
Gurutaiは今後もこの「浅草橋を歩く。」に記事を書きたいと考えていますが、普段の投稿はぜひInstagramを覗いてみてください。また、この日は更にハシゴした店もありますので、そちらの紹介もお待ちください!
文/Gurutai(@gurutai_tokyo)
写真/伊勢新九朗
鳳凰麻辣湯 簡
住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋2丁目29−6 田口ビル 1階
営業時間
昼営業:月曜〜土曜 11時30分~14時30分
夜営業:月曜〜土曜 17時00分~21時00分
(月曜のみ20時閉店)
定休日:土曜・日曜・祝日
地元民、バシッ子たちにとってはお馴染みのラーメン屋『山笠ノ龍』。
酒場が終わりを告げる深夜帯にシメのラーメンができることもあり、終電後も客足が途絶えない麺処です。
「毎日食べられる」の合言葉のもとに親しまれる、山笠ノ龍の博多ラーメンの魅力に迫りました!

酒飲みの多くが心ときめかせる魔法の料理〝シメのラーメン〟。これがどうにも美味いんです。
「我々は最高のシチュで美味しいラーメンを食べるためにお酒を飲んでいるのではないか?」。
……そんな哲学的(?)な問いに答えを出すのは別の機会に譲りましょう。とにかく、遅い時間まで営業しているラーメン屋さんの灯しそして味は、私たちの心に胃袋に優しく染み渡ります。
たとえば浅草橋では、今回ご紹介する山笠ノ龍がそんな〝優しい〟ラーメン屋さんです。

山笠ノ龍は浅草橋駅前の交差点を越えた先の通り沿いで、朝の11時から翌日4時まで営業中。今回はお昼過ぎに取材にお邪魔しましたが、遅くまで営業しているので、飲みの帰りの他、残業終わりの夜食としても最適のお店。事務所から近いこともあって、我々「浅草橋を歩く。」編集部一同も何かと利用しています。
もちろん、我々が山笠ノ龍のリピーターなのは使い勝手が良いからだけではありません。肝心要のラーメンの味も、言わずもがな格別なんですよ。論より証拠。まずはラーメンの写真をご覧入れましょう。

あなたのお腹を鳴らしてしまったならごめんなさい。こちら、味玉子にチャーシュー、きくらげが踊る山笠ノ龍の人気メニューの「特らーめん」(※味玉子&白ねぎは別途トッピングする必要あり)でございます。種類で言うと、豚骨ベースの博多ラーメン。ちなみに店名に掲げられている「山笠」も福岡の伝統的なお祭りである「博多祇園山笠」から命名されています。

さて、博多ラーメンと言えば愛好家が多い一方、その癖の強さから敬遠する方も多いラーメンですよね。かく言う筆者もその1人。博多ラーメン特有のこってりした味と臭みがどうも苦手。だけど、山笠ノ龍のラーメンに限っては箸が進む進む。まろやかな味わいのスープも絶品で、気付くと全部飲み干していてどんぶりの底がこんにちは。そう、山笠ノ龍のラーメンは従来の博多ラーメンと比べるとあっさり風味で、老若男女問わず美味しく食べられちゃうのですね。

店主である山崎さん。午前中の仕込み時間から日中は彼が店内を切り盛りすることが多い
このような独自の博多ラーメンは店長の山崎さんの研究の賜物。
実は山崎さんもいわゆる博多ラーメンが苦手だったのことです。そこでレシピに改良を重ねることで、浅草橋の人々に親しまれる現在の山笠ノ龍の味にたどり着いたというわけです。ちなみに、山笠ノ龍の博多ラーメンが、他店の博多ラーメンよりもあっさりして美味しいのは、豚足をたくさん使っているからとか。臭みもなくコラーゲンたっぷり!
「山笠ノ龍のラーメンは毎日食べられる博多ラーメン」と自負する山崎さん。普段は東京ラーメン派のあなたにこそおススメです。
山笠ノ龍はサイドメニューも充実。

次にご紹介するのはラーメンの心強いお伴「手作り餃子」でございます。ニンニクが少なめな一方で、ショウガたくさん包まれていてヘルシーなお味。筆者的には大ヒット!

お次は、「明太たま丼」。贅沢に盛られた明太子がたまらない!

半分ぐらい食べたところで、卓上にあるトッピングの「辛子高菜」を加えて味変。
ちなみに、山笠ノ龍は卓上の無料トッピングの充実ぶりにも目を見張るものがあります。

当然、ラーメンも好みの味に調整できるわけですが、今回は山崎さんオススメのいりごまと高菜をブレンドしてみました。

店長のお墨付きです。美味しくないわけがない!

高菜のほのかな辛さがアクセントとなり、香ばしいゴマの風味がラーメンの後味を上品に仕上げます。
ところで博多ラーメン=ニンニクという揺るぎない等式をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ご安心あれ。

山笠ノ龍では卓上に生ニンニクを常備。自らすりおろして、好きな量をラーメンに投入できます。

ニンニク効果でラーメンの旨味が引き立つ~。
一杯のラーメンでさまざまな味を堪能できました。
一度火が付いた食欲を止めることはできず替え玉も注文。
焦がしニンニク油がかけられた替え玉は一杯100円から。

このままで食べられそうな美味しそうな見た目ですね。

焦がしニンニク油が利いてまたガラリと味変。またまた別の「美味」に舌鼓を打っているうちに、さすがに我々のお腹も満腹に。幸せな気持ちでお店を後にしました。
先述した通り、山笠ノ龍は浅草橋を歩く。編集部も普段から頻繁に利用するお店。

しかし、どうやら我々は山笠ノ龍のほんの一面しか知らなかったようです。食べなれた食べ物でもちょっとしたアレンジでまた違った魅力を発見できる。……店長の山崎さんオススメのトッピングを試しながら、ふとそんなことを思いました。

朝から夜の遅くまで、浅草橋の人々に極上の博多ラーメンをお届けする山笠ノ龍。浅草橋を訪れた際は是非ともご賞味あれ。

らーめん 山笠ノ龍
住所:東京都台東区柳橋1-13-5
営業時間:11:00~4:00
定休日:なし
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗
バシッ子在宅ワーカーの心強い味方となるコワーキングスペース『ANOTHER DESK』がオープン!
共用の仕事場となるばかりではなく、地域コミュニティの拠点ともなり得る可能性を秘めたその魅力に触れてきました。

働き方改革が進むとともに、世の中に定着したコワーキングスペース。とくに自営業者やフリーランサーにとって、その存在はもはや必要不可欠だ。
とはいえ、コワーキングスペースが当たり前になるにつれて、本来そこに込められていた「願い」が希薄なものになっている感も否めない。
その願いとは「共創」だ。
そもそもコワーキングスペースは、異業種の者たちが交流して、イノベーションを生み出すことを期待された空間だった。その実現は当然簡単ではないにしても、今日本にあるコワーキングペースの多くが、単なる共用の仕事場の域を出ていないのはやはり残念なことだろう。
だが、「共創」という願いが掛けられたコワーキングスペースは日本にも少なからずある。
2024年10月に浅草橋にオープンした『ANOTHER DESK』もそのひとつだ。

まずは『ANOTHER DESK』の施設をみていこう。
『ANOTHER DESK』の所在地は浅草橋駅から徒歩で約3分の横山ビルの3階。以前、『浅草橋を歩く。』でも取り上げたフラワーショップの『花楽堂』のお隣である。

『ANOTHER DESK』を訪れた方は、まずカウンター席に目を奪われるだろう。目に優しいミントグリーンの壁を背景とする、さながらBarのような雰囲気。

「……秘密基地のようだな」。室内に入るまでのオフィスビルの景観とのギャップもあって、筆者は思わずそういう感想を持った。

こちらは人工芝を敷き詰めたワークスペース。靴を脱ぎリラックスした状態で仕事をするのに最適だ。

スタンディングで仕事をしたい方向けの昇降式デスクも完備。また、写真に写るチェアーはバランスボールに腰かけたように前後左右に揺れる仕様。体幹が鍛えられる他、長時間の座り仕事が自ずと抑制されるので体への負担も軽減される。

その他、根を詰めて仕事をしたいときに最適な集中ブース。コピー機やロッカーなど、コワーキングスペースに欠かせないアイテムももちろん揃っている。

そして、『ANOTHER DESK』は随所に昭和レトロな意匠が施されているのも特徴だ。

たとえば、洗面台や給湯室に使用されている可愛らしい模様のタイルはビルの落成時から変わらぬもの。古いものが活かされ現代でも輝きを放っていることは、浅草橋という街それ自体の特徴とも通底している。

実は、『ANOTHER DESK』が入る横山ビル、その当時としては珍しい女性建築家が設計したという。

このことを知ったとき、「――呼ばれたと思った」と回想する『ANOTHER DESK』代表の雲下加奈氏。ここからは彼女にスポットを当てみよう。
雲下氏によれば、自身が経営に携わる企業からの独立が『ANOTHER DESK』を立ち上げるきっかけとなる。まずは雲下氏の職歴をひも解いていこう。

「もともとはソーシャルワーカーとして働いていたのですが、『もっと人生経験を積んでから戻って来よう』と転職しました。当初は派遣社員でしたが、縁があって正社員に雇用していただきました」
その会社で雲下氏は女性初そして最年少の取締役に就任する。「たまたまだった」と謙遜する雲下氏だが、それが偶然の産物でないことは彼女の後の経歴を見れば明らかだ。「自分がやりたいことと会社の方針にギャップが生じた」ことで、雲下氏は当時の上司とともに独立。海外のビジネスマンの方を支援する会社を立ち上げる。
「日本は海外の方からすると、言葉はもちろん手続きが何かと複雑でハードルが高い面があります。日本の文化が好きで来日して来た方々が孤立しないように精一杯のお手伝いをして来ました」
雲下氏の会社はコロナ禍のピンチも潜り抜け創業20周年に。ここで彼女は新たな転機を迎える。

「会社が20周年を迎えるタイミングで私も年女になったんです。『新しいことをするなら今しかない!』と思って独立を決めました。とは言え、コワーキングスペースをやることは当初想定していませんでした」
雲下氏によれば、事務所を探しながら、浅草橋でコミュニティを作りたいという思いが強くなって行ったという。もともと場所作り、人と人をつなげることが大好きだったという雲下氏。コワーキングスペースは、そんな彼女の性分に合ったものだったのだろう。現在雲下氏は『嘉登美合同会社』のCEOを務めるかたわら、『ANOTHER DESK』を地域に根付かせるため邁進している。
ちなみに雲下氏は浅草橋ともともと縁深い。かつて浅草橋で営業していた名店『食楽』の店主が、何と雲下氏のお父様なのだ。『食楽』は美味しい魚介料理をリーズナブルな値段で提供するお店で、我々『浅草橋を歩く。』編集部も大変お世話になった。余談だが雲下氏が「父が元気なうちにもう一度お店をやりたい」という展望を聞いたとき、筆者のお腹は期待のあまり高らかに鳴った。
雲下氏自身もまた浅草橋の下町イズムを継承する人物である。

「うちは親戚も下町で自営業を営んでいます。だから自分の頭で考えて、世話を焼く人ばかり。そのDNAは私も受け継いでいるつもりです」
そう語る雲下氏の面倒見の良さを、彼女が歩んで来た職歴が何より証明しているだろう。エッセンシャルワーカーから外国人ビジネスマンの支援まで、雲下氏は一貫して困っている誰かを手助けすることを生業にして来た。開業してまもない『ANOTHER DESK』でも、そんな彼女の〝世話焼き〟な一面はいかんなく発揮されている。

「浅草橋に開智日本橋学園という学校があるのですが、そこで国際バカロレアというグローバル人材を育成するための教育プログラムを受ける高校生たちと知り合いになったんです。彼らがデザインの授業で作った制作物の展示や、ビジネスの授業のプレゼンの場として『ANOTHER DESK』を使って良いと提案したら、とても喜んでもらえて。また、そういう子たちと地元の人々をつなぐ場所として、浅草橋に還元できたら素敵ですね」

浅草橋の人々が老若男女問わず集まれる場所作り。その取り組みの一環として、『ANOTHER DESK』では浅草橋に縁あるお店や施設、アーティストの品を展示している。

僭越ながら、ここに『浅草橋を歩く。』編集部一階で営業する『古書みつけ』のアイテムを展示させていただく運びになった。
記事冒頭でも述べたように、コワーキングスペースとは本来「共創」という願いが込められた空間だ。コワーキングスペース発祥の地アメリカから遠く離れたここ浅草橋の地で、『ANOTHER DESK』は〝下町情緒〟というエッセンスを加えて、その願いを継承して行くに違いない。
最後に、かくいう筆者もまた日頃からコワーキングスペースを愛用するノマドワーカーの一員である。
「それならば記事は『ANOTHER DESK』で仕上げるのが礼儀(?)」ということで、10月某日『ANOTHER DESK』を再訪した。BGMが流れない静謐な空間に響く、パソコンのかすかなタイプ音。いつも以上に仕事が進んだ。現在、『ANOTHER DESK』ではマンスリー会員の50%オフや、1時間の無料体験クーポンなど今だけのお得なキャンペーンを実施中。
浅草橋近郊にお住まいで、在宅勤務やリモートワークの方、営業の合間にいつもカフェで人目を気にしながら仕事をしている方など、仕事が捗らずお悩み中の方は是非ともご一考あれ。
文/及川(古書みつけ日替わり店主のひとり)
写真/伊勢新九朗

「ANOTHER DESK」
住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-34-7 横山ビル3F
営業時間:10:00~19:00(土曜は16:00まで)
定休日:日曜日