鰯(いわし)が絶品! 浅草橋駅と鳥越神社の間にある酒場「食楽」の新鮮で旬な刺身がすごい件。

浅草橋の呑み処の多くは、駅高架下沿い周辺地帯の至るところに点在しています。

だからといって、そこだけが「浅草橋」のすべてだと思ってしまうのは時期尚早ってなもんです。

そう、駅から多少離れた場所にだって、美味しい呑み屋はあるわけで……。

むしろ、そういうちょっと辺鄙な場所にこそ、隠れた名店があるというのは、呑兵衛にとってみれば至極当たり前の〝黄金ルール〟だったりするものです。

今回、ご紹介するお店はまさに知る人ぞ知る、というより、なぜこんな名店がこんなにもひっそりと街の片隅に埋もれていたのか、不思議で仕方がないと言ってしまえるほどに、「できれば誰にも教えたくない隠れ家酒場」だったのです。

「食楽」

打ち合わせなんぞどうでもよくなってしまうくらい、新鮮で旬な魚介類の数々に舌鼓をうちながら、「食べることの楽しみ」に酔いしれようじゃありませんか。

とにかく刺身! コスパ最強な刺身盛りを注文すべし

編集部には、もうじき定年退職の年齢に差しかかろうというベテラン編集者がいるのですが(※写真向かって左側手前に座っているオジサン)、彼は、大の釣り好き。

仕事そっちのけ、もとい、仕事の営業を絡めた釣り遊びにちょこちょこ出かけているほどの釣り通で、そんな彼をして、「こんなに珍しくて新鮮な魚をこの値段で提供できる店はそうそうない」と言わしめるほど、その季節柄にふさわしい旬な魚たちがテーブルを彩ってくれました。

この日、登場してくれたのは、アジ、イワシ、メバル、中トロ、アオダイ、イサキ、シマアジ、マダイの「オーシャンズ8」たち。

上部左からアジ、イワシの海苔巻き、イワシ、中央左からメバル、中トロ、アオダイ、下部左からイサキ、シマアジ、マダイというラインナップ。

見栄えのインスタっぷりだけでも酒が進んでしまいそうになりますが、写真もそこそこに、四方から怒涛の勢いで箸がレンズインしてきたので、私もカメラを置いて頂くことにしました。

まずは、わかりやすく誰もが知っている鯵(アジ)にトライ。ひと口食べれば違いがわかると言っても差し支えない旨味で、スーパーの刺身と比べるのは失礼かもしれませんが、もうこのコを食べただけで、この店にきてよかったと安堵するのは間違いありません。

メバルの歯ごたえ、アオダイの若々しさ、やわらかさ抜群のイサキに、口内でトロける濃厚シマアジ、どれもこれもひと品ひと品特筆すべきほど、というよりそれぞれの旨味パンチで全身がボコボコにされたような感覚(※表現、なんか違うと思うw)にうちひしがれて、コメントする間もなく、ただただ、「うめえ、うめえ」とバカのひとつ覚えのごときボキャ貧なつぶやきを繰り返していました。

見た目の美しさよ!しかも、それぞれこの肉厚っぷり!!

「こんな美味いイワシはちょっと食べられないぞ」

ベテラン編集者がそう豪語するイワシの刺身は、本当に一度、ぜひ食べていただきたいとゴリ推しさせてもらいます。

身はフワフワで、臭みは一切なく、正直、今まで食べてきたイワシの概念が吹き飛ぶほどの美味しさでした(※写真右奥とその左隣の海苔巻きがイワシです)。

曰く、「いろんな美味しい魚たちが食べているのがイワシなわけだから、イワシってのはそいつらよりも美味しいとも考えられるわけよ」

なるほど、「そのご意見、正解!」と思わず感嘆の声が漏れます。

弱い魚と書いて鰯ですが、もうその旨味の強さはハンパねぇっすわ!

魚偏に強という字はないそうですが、可能ならば、そんな字を当ててみたくなりますわ!

うまいことピンを合わせられなかったのですが、大将としてもイワシ推しのようでして、通常のイワシの刺身とは別に、きゅうりと一緒に海苔で巻いた海苔巻きなんぞもご提供してくれます。

この海苔巻きがまた格別に美味しく……。

豪華刺し盛りを男三人で食べ尽くしたあと……。

もう一回、おかわりまでしてしまいました。

ひとりでしっぽりと、コレだけで一杯呑るのも粋ですねぇ~!

ちなみに、釣り好きベテラン編集者は、しばらく前からこの店に通っていて、出版社さんとの打ち合わせ呑みでちょこちょこ利用させてもらっているそうです。

大将とも顔見知りになっていて、実はすでに焼酎のボトルキープなんかも(笑)。

次行ったときは、「浅草橋を歩く。」を見たで出してもらえる焼酎ボトルを入れてもいいかもなぁ……。

彼が言うには、「人と落ち着いて話しながら、ゆっくりと刺身を味わうには最適な店」との評です。

そのほか、刺身以外にも美味しい魚介のオンパレード

店内にも見やすくメニューが貼られていますが、手書きで書かれたメニュー表もあり、気になる酒肴の数々に心躍らされます。それらを眺めているだけでも酒が進んでしまいそう……。

と、そんな編集部がどうしてもコレはと思って注文したのが、以下、2点になります。

「名物!大きな桜海老のかき揚げ」700円。

これ、この状態だと大きさがわからないかもしれませんが、こうしてみるとどうでしょう?

手のひらを超える大きさ! むしろ小顔な人の顔くらいあるんじゃないでしょうか。

そして、食感はサクサクで、もちろんお味の方も絶品。野菜と桜海老がぎっしり詰まっていて、メニューには「白いごはんが欲しくなるかも?」と書かれていましたが、「瓶ビールがもっと欲しくなりました」。

そして、もう1品オススメなのが、タコのから揚げ。

タコからってメニューにあると間違いなく頼むようにしているのですが、使われているタコが肉厚で濃厚なので、食べ応えたっぷり!

これまた、ビールが止まらなくなる美味しさです。

箸休めとして頼んだきゅうりもまさかのステキな飾り包丁が入れられていて、吞兵衛心をくすぐってやみません。

刺身の盛りっぷりもですが、大将のこのひと品ひと品に対する繊細な心遣いに絆されます。

からの、「今はコレ!」という、カツオのたたきも頂きました。

「戻りガツオよりも、俺は今のカツオが好きなんだ」とうれしそうに大将が語ると、釣り好き編集者が答えて、「わかる、この若々しい感じがいいんだよな」なんて、そんな魚喰いたちの掛け合いだけでも「食楽」している気にさせられます。

そして、最後のシメとしてセレクトしたのは、鉄火、カッパ、納豆の「三食巻」700円。

推しは2品とか言いながら、きゅうりもカツオも三食巻も全部最強です。

常連さんらしき初老のご夫婦が横で三食巻を美味しそうに食べているのを見て、居ても立っても居られなくなり、そこそこ腹は膨れていたけれども、この色鮮やかなイロトリドリ巻を頂くことにしたのです。

この三食、正直、毎回、ラストにもってきたくなるほど、丁寧なお仕事がなされていました。

と、心もお腹も満たされていたところに、まさかのサービス味噌汁が登場。

豆腐とわかめのシンプルさ、そして、たくさん入った小ねぎがまたうれしいですね。

巻物&味噌汁でシメる喜びは、カウンターの鮨屋でフル回転で刺身からシメまで堪能したときと同様の至福感でした。

「食楽」店主・北井賢三さんに話を聞いてみました。

メニューには「店主」と書かれていますが、その仕事っぷりからは、「大将」がふさわしいと感じるのは私だけではないでしょう。

そんな大将・北井賢三さん、聞けば、彼はもともと寿司職人であり、神奈川県川崎市で20年以上鮨屋を営み、人生トータルでは40年以上にわたって鮨を握り続けてきたのだと言います。

その後、この地に移ってきたのは6年前、浅草にある「中華料理 食楽」のオーナーさんからこの店を切り盛りしないかと誘われて、海鮮料理の店としてオープンしたのだとか。

寿司職人は引退したけれど、寿司職人時代からの仕入れルートをいかし、そこらでは手に入らないような旬な魚たちでおもてなし、「美味しい刺身や寿司をリーズナブルに提供したい」と採算度外視したスタイルで、訪れる人々を口福にしています。

その心意気たるや、釣り好き編集者だけでなく、その場にいた編集部員2人も大将の丁寧で熱心かつ優しさを感じる仕事っぷりに、どっぷりと心酔させていただきました。

店内には、「みんなで食べて楽しい時間を」と書かれた色紙が飾られていましたが、編集部としては、「食道楽たちをうならせる」という意味もあるのではと感じました。

「駅から少し離れた場所には隠れた名店がある」。

まさに、呑兵衛たちの暗黙の了解を地でいく呑み処「食楽」。

すっかりこの店の魅力にハマってしまった私は、その一週間後にさっそく再訪し、また別の刺身盛りを楽しみつつ、焼酎ボトルをガツンと入れて、ほかの気になるメニューにも手を出してみたのです。

と、いうことなので、最後に声を大にして言わせて頂きましょう。

「浅草橋で魚が食べたくなったら、ぜひ食楽へ!」

文・写真/伊勢新九朗

このお店の特長
居心地の良さ
(4.0)
のんびり度
(4.0)
おひとり様
(4.0)
長居度
(4.0)