東京下町・鳥越おかず横丁。
左衛門橋通りの門をくぐり、右手にある「港家」は昭和6年(1931年)から続く老舗和菓子店です。
こちらでは、毎年5月から鳥越まつりにあわせて、かき氷の販売が始まります(※9月末まで実施)。
近所の子どもが集まり、大人が涼を取りにくる昔から変わらないおかず横丁の夏の風物詩。
今回は、大人も食べたくなる港家の絶品かき氷を体験しましょう。
昭和6年創業 三代続く「港家」
浅草橋駅から徒歩10分、強い日差しの中、おかず横丁の氷旗を目印に歩いていけば港家に到着。
「こんにちはー。」
迎えていただいたのは、港家3代目の若林 昭一郎さん(通称:しょうちゃん)。
東京下町の老舗和菓子店、チャキチャキの江戸っ子&和装のご主人登場すると思いきや、今ドキなスタイル&物腰も柔らかいチャーミングなかたでした。
ご夫婦でのんびりと運営しているため、取材はほとんど受けない港家、そのためWebで検索しても情報もあまりでてきません。
港家は、しょうちゃんのお爺さんが始めたお店。
お爺さんは、もともと「自分のお店を持ちたい」と思っていたそうで、当時働いていた上野から近い鳥越のこの地で昭和6年に和菓子店をオープンしました。
船のように人が行き交う港のような場所したいと「港家」と名付けられました。
しょうちゃんは、鳥越で生まれ育った下町っ子。
商売が大変だからと、ごはんだけ炊いておかずは商店街で調達するおかず横丁の全盛期を知っています。
そのころは、この辺りには映画館が3~4つ、パチンコ屋さんもあったそうです。
大人気、和菓子店の技と実力を感じる港家のかき氷
港家のかき氷、まず、そのメニューの多さにびっくり。
小学生でも気軽に食べられる200円の赤文字メニューから、和菓子店ならではの本格的なかき氷まで。
お値段もかなりお手頃です。赤文字メニューは昔は100円だったとか。
「赤い字は本当に赤字なんだよ。」と笑いながら教えてくれました。
奥さまが手際よく作るかき氷。
氷は、筑波の純氷を使用。天然氷ではないけど氷屋さんから仕入れている美味しい氷です。
できました、宇治あずき(白玉トッピング)と特製あんずみるく(白玉トッピング)。美味しそう!
注文ごとに淹れる濃厚な宇治抹茶シロップ、氷の中にも港家特製粒あんが入っています。そしてもちもち柔らかい白玉。
あー、これはおいしい。おとなの美味しさ。
氷は頭がキーンとならず、身体の熱が下がっていきます。
特製あんずみるくも食べ進めていくと、中から大きなあんずがゴロゴロ登場。甘酸っぱいあんずのと練乳の甘さが最高。シロップもたっぷり使用しているので、最後までおいしい。飲み干しちゃおう。
かき氷のメニューは、全て奥さまが考えています。
ジャムは使いたくないと、ブルーベリーやマンゴー、あんずの蜜煮は全て奥さまの手作り。
老舗和菓子店の技と実力がギュッと詰まったかき氷は、美味しいものを知り尽くした大人にこそ味わってほしい味。
夏は休みが多い和菓子店で、息子さんが生まれたタイミングで始めた夏のかき氷販売。
40年経った今でも地元で愛されています。
この日も、ご近所さんがサクッと食べて帰られていました。
本格的なおいしさのかき氷が気軽に味わえるお店、家の近所にあった最高ですね。
ちなみに、店内にはベンチが2つ置かれていますが、ゆっくりする感じではありません。美味しくサクッと食べて帰る&席は譲り合いましょう。(そのためスマホの使用もNGです。)
テイクアウトしたい港家の和菓子
かき氷があんなに美味しいなら、定番の和菓子も絶対おいしいはず。
港家、夏のイチオシは水饅頭。
本来葛粉で作る水饅頭ですが、葛粉と寒天で作っているので、冷蔵庫で冷やしても柔らかいのが特徴。
つるんとした冷たいのど越し。上品な甘さのこしあん、とっても美味しいです。
定番の茶饅頭とふぶきも安心していただける美味しさ。
「今まで饅頭を食べたことがなかったような子が、かき氷をきっかけに食べてくれるようになった。」と、しょうちゃん。
子どもたちがかき氷を食べに来たついでに、しょうちゃんの作ったお饅頭を買って帰る。これぞ、地元に根付いた和菓子屋さんの姿です。
おかず横丁で、いつまでもそんな風景が見られるといいな。
毎年春と秋のお彼岸や、7月15日の(※東京の)お盆前後にはおはぎが登場、毎月第2と第4土曜日はお赤飯の販売もします。
ありそうでなかなかない気軽に食べられる本格的絶品かき氷。
このあつーい夏、1度味わってみませんか?
撮影・文:UKOARA
港家(みなとや)の基本情報
住所:東京都台東区鳥越1丁目15−1
営業日:9/30まではなるべく休まず営業中
営業時間:月ー土 10時~18時頃、日・祝 12時~17時頃